ディズニーランドも私たち夫婦も完成することはない理由
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記事:沖ノ島大輔 (ライティング・ゼミ12月コース)
夢と魔法の王国、ディズニーランド。
皆さんはどんな想い出をお持ちだろうか。
日本にディズニーランドが開園したのは私が10歳のとき。
子供会の遠足でオープン直後のディズニーランドを訪れてから、40年が経とうとしている。
子供が小さい頃は年間パスポートまで持ち、毎週のように行っていたが、中学生を過ぎた頃から行く機会もなくなった。
そんなディズニーランドへ、20年目の結婚記念日、夫婦2人きりで10年ぶりに行こうということになった。
相変わらずの盛況ぶりと、相変わらずの進化。
アトラクションはもちろん、飲み物や食べ物を購入するのにも、お土産を購入するのにも、大行列。しかし、専用アプリができて、チケットも電子化、アトラクションの待ち時間も一目瞭然、プレミアアクセスといって、料金を払えば並ばずに時間指定でアトラクションに乗れるというシステムなど、この10年で変わらないもの、そして変わったものの移り変わりを目の当たりにした。
そんな中で、私たち夫婦が大人気アトラクションの120分待ちの大行列の出来事で感じた出来事をお話ししたい。
私たちの前を赤ちゃんを抱く若い女性が並んでいた。抱かれている赤ちゃんは生後まだ1年たっているかいないかくらいだろうか。冬空の寒い中、こんな子供を人混みに連れてくるなんて、と、まず今どきの若いもんは……というオジサン、オバさん発言の自分たちの変化に気がついてしまった。
私たちも年とったよね、と妻がつぶやく。
そんな自分たちも20年前には、生後9ヶ月の子供を連れて海外旅行してたっけ。
帰りの飛行機で具合が悪くなり、空港からそのまま病院、即入院などの経験。
今思うと周りからは冷たい視線で見られていたなぁ。
そんなことを思い出話をしながら、少しずつ行列移動は進む。
ふと、その赤ちゃんを抱く若い女性は、2名の男性とともに並んでいることに気がついた。
どちらが、この女性のご主人なんだろうね。
どっちだと思う?
最初はそんな素朴な私の疑問からだった。
今はマスクをしているので、子供でも大人っぽく見えたり、大人でも若く見えたりする。
前にいる方がご主人で、後ろにいる方は息子?
いや後ろにいる方がご主人で、前にいる人はおじいちゃんなんだよ。
えー、若いおじいちゃん?
私たち夫婦の見解はそれぞれだ。
あれ、後ろにいる男性と、女性は敬語で話してるぞ。
でもボディタッチしてる。
もしかしたら、前の男性はバツイチで、後ろにいるのは連れ子か?
ねぇ見て、男性2人、お揃いのデニムにお揃いのスニーカーを履いてる!もしかしたら、この2人はゲイで、代理母出産の関係なのかも!
私たち夫婦の妄想話はとまらない。
そのうち、女性から前の男性に子供が渡された。
やっぱり前の男性が赤ちゃんのお父さんなのか。
そして、もうすぐ乗り物に乗れるという少し手前で、赤ちゃんを抱く前の男性は列からはずれ、女性と後ろの男性の2人きりとなった。
親しげに話す様子だったが、
キャストの
お客様は何名様ですか?
の問いに1人ですと答え、
2人は並ぶことなく、
ひとりずつアトラクションに乗り込んだ。
この距離感に3人の関係性が尊重されたものなんだと私たちは理解した。
そして、アトラクションから出てきた若い女性は満面の笑みで、赤ちゃんを抱く男性のもとへと、歩み寄って行った。
きっと、奥さんが大のディズニーファンで、子育て中のリフレッシュをするために、旦那さんが友達を連れて、奥さんサービスをしてたのかなぁ。
確かに子供連れはいろいろと制約があるから楽しめないもんね。
優しいご主人なんだね。
今どきのスタイルなんだろうね。
ということで、私たち夫婦ふたりの話しはまとまった。
こんな寒い時期に、こんなまだ理解もできない赤ちゃんを連れて、自己満足も甚だしいと、いわゆる、今時の若者は発言をしている私たち夫婦が、アトラクション待ちの大行列の中で感じたほっこりした出来事。
120分待ちの時を忘れていた。
そして、ウォルトディズニーの名言を思い出した。
ディズニーランドが完成することはない。
世の中に想像力がある限り進化し続けるだろう。
その言葉に、私たち夫婦は自分たちを置き換えた。
私たち夫婦も完成することはない。
2人に想像力がある限り進化し続けるだろう。
人生の半分以上を共に歩んできた妻と、久しぶりに訪れたディズニーリゾートにはやはり夢と魔法が詰まっていた。
何時訪れても、何歳になっても、変わるものと変わらないものを見極め、思いやりと、夢と、希望をお互いに与え続けられる夫婦でありたいね。
そんな想いが湧いてきて、妻と久しぶりに手を繋いでみた。
恋人時代に戻ったとときめきというより、おじいちゃんとおばあちゃんになっても支え合っていこう感が強くなっていた。
私たち夫婦の恋は愛に変わっていた。
そんな幸せな時間を共有することができる、素敵な空間、まさに夢と魔法の王国、ディズニーランド。
皆さんもたまにはぜひ!
***
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