防災のすすめ
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記事:もじゃリーマン(ライティングゼミ12月コース)
みなさんは、災害時の防災対策について、どれほど準備できているだろうか?
近年では、特に風水害が激甚化していて、土砂崩れや浸水による被害がニュースをにぎわすことも多い。
幸いにも、自分が住んでいるところは少し高台にあり、浸水の不安はほぼないが、敷地内に山を抱えているため、何かあった時には惨事になりかねない。
自分の住んでいるところは、700世帯を超える割と大規模なマンションである。
最初の竣工から20年ほどが経ち、住民もそれなりに年をとったり、入れ替わったりとしている。 そんなマンション自治会の有志から成り立つ自主防災会も何回か代替わりして今は3代目に当たる。 これまでも地域の防災訓練に合わせた安否確認や炊き出し訓練、消火実習、起震車や煙避難体験など、自治体や消防局の力を借りながら実施してきた。
ここ最近はコロナの影響もあり、あまり大規模な訓練などはできていなかったし、お祭りなどのイベントも軒並み中止となっていたので、久しぶりのイベントとして 「防災ツアー」 なるものを企画した。 自主防災会の各対策部(情報広報部、警備・避難誘導部、消火部、給食給水部、衛生部、休出救護部 が自治体のマニュアルに定義されているので、それに倣っている)に分かれて、それぞれが準備したものを展示し、体験するような企画である。 従来はこの時期「お餅つき」 をイベントとして行っていたのだが、この折なので食べ物を取り扱うのは見送ることとし、替わりになる何かとしてのアイデアであった。
自分は消火部の担当なのだが、20年たつとはいえ大規模な鉄筋RC構造のマンションでは耐火構造となっている。 そのため、「消化」 という活動として、正直あまりできることはない。 各家庭で火災が発生したときには、備え付けの消火器でまずは初期消火を試みてもらうが、天井などの燃え移った時には直ちに避難してもらうことを意識してもらうしかないため、掲示物としてのポスターを作成し展示した。 また、災害時の電源や照明の確保も消火部の担当となっているため、受水槽への水くみ導線への照明設置や、発電機の稼働実演などを行った。 ついでに、ちょっと離れている防災倉庫の見学も消火部の担当だった。
各部からの出し物も、なかなか手が込んでいてバラエティに富んだものだった。
情報広報部は、非常時の連絡体制や近隣との連携、在宅避難となる場合の名簿作りの手順など、パネル展示して説明。警備避難誘導部は、トランシーバーを用いて見学導線の誘導を実施。 衛生部は、簡易トイレを配布し、非常時の感染症等蔓延対策について説明。 休出救護部は簡易担架の展示と実演を実施した。
特に熱が入っていたのは給食給水部で、一世帯あたり必要となる一週間分の食料備蓄(これが、なかなか大量で長机2本分に積み重なるほどなので、「こんなに準備しておかなきゃいけないのか!」 と、インパクトを与えるものだった)を展示。 あわせて、非常時の調理法などを実演したので、普段から食事の支度をしている主婦の皆さんには興味津々だったようだ。 この辺りの調理法や、必要な備蓄量などは、ネットの情報を検索していけばいろいろ出てくるので調べてもらうといい。 また同じく給食給水部では、非常時に受水槽からの給水する方法などを実演しており、いざというときに水にはあまり困らなくて済む想定なので多くの人から感謝された。(見学してもらった受水槽では、100立方メートルほどの貯水がある想定なので、10リットルのタンクで全世帯が取りに来ても10回以上は賄える前提でこれがさらに複数台ある) 生活用水に不安がなくて済むのは大きい。
総勢200名超の住民が参加してくれて、昔からのなじみの顔ぶれも多かったが、普段あまり見られない倉庫や受水槽などを見学し、我々が準備していたことには感謝してくれる声が多かった。 自治会(自主防災会)としては、一切食料の備蓄をしていないので、不平を言うような人もいるかと思っていたが、防災倉庫に来る前に一世帯分でも大量の食糧備蓄が必要ということを目の当たりにしているので、あれを全世帯分備蓄するなど不可能というのも理解してもらえたのだろう。
そうやって、初めて行った「防災ツアー」 であったが、運営に参加した50名弱の努力の甲斐もあって、まぁまぁ盛況に終えることができた。 普段、自分たちはいろいろな設備とかを見ているのでよくわかっていたが、思いのほか自分のマンションにどういう設備があって、非常時にはそれが使えるのか? そうではないのか? ということがわかっていないというのもよい気付きとなった。
ちょっと大がかりにはなったが、いろいろな準備の必要性を訴えるには、十分にインパクトを出せたと思うし、 何よりもこういった活動を通じて、隣近所の人々の顔を見て知れるというのは、本当に緊急時にはきっと役立つことだと思う。
自分の住んでいる地域で災害時にどんな体制でどんな支援をしてもらえるのか? あるいは、自分たちである程度対応するためにどのような準備をしておくべきか? やってみて初めてわかることも多い。 是非何かの際に、自分・家族・地域の人々と防災について考える気かを持つことをお勧めする。
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