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子供についての考えが変わっていく

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ハタナカ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
ご飯を食べ終わった従姉妹の子供が、一生懸命スプーンを持って自力でアイスを食べている。先月でようやく2歳。二ヶ月前に会った時は言葉を全く喋らなかったのに「楽しい?」って聞くと「うん」って答えてくれるようになっているし、ご機嫌になるとずっと童謡の同じフレーズを繰り返し歌っている。短期間で驚くべき成長である。しかもテンションが上がると「にこ~!」って効果音をつけたくなる笑顔をする。
 
……かわいいいいいい~!!
 
私は面倒を見る親戚面しながら、心の中は愛おしさが溢れて悶えまくっていた。
その2歳年上のお兄ちゃんは今年に入って随分お喋りになり、同時にやんちゃな行動が目立つようになった。従姉妹曰く、最近は毎日叱って大変だという。
それでも私の顔を見ると「あ!」という顔をするようになった。数ヶ月に1度会うくらいなのに私は「覚えてくれてるんだ!」と嬉しくなる。イヤイヤ期で全然言うことを聞かなくなってるのに、手を広げて「おいで」ってしたらちょっと恥ずかしそうに飛び込んで来てくれる。
 
……かわいいいいいい~!!
 
子供って可愛いな。
自分の血縁関係にある子供は特別な気がしてくる。たとえ将来忘れられるとしてもその成長に少しでも関わりたい、という感情になる。
 
私は子供の頃から、自分より一回り小さな「子供」が好きだった。
親戚の中でも習い事でも一番末っ子だったからお姉さんみたいな振る舞いに憧れていた。だから小さい子供を見るとつい世話を焼いていた。中学の頃、同期の年の離れた弟をいつも構っていたから随分懐かれて嬉しかったのを覚えている。
しかし高校での3年間はそうした子供とほとんど接することなく、そのまま大学生になった。二十歳を超えたくらいであるお祭りのお手伝いに行った時、私のいた屋台には子供が沢山来た。数年ぶりにまともに子供と接したあの日、私は明確に不安になった。
 
あれ? 子供ってどうやって話せばいいんだっけ?
 
後輩の女の子は慣れた様子で「じゃ、お姉ちゃんと一緒にやってみよっか」なんて自然に話している。私はぎこちなく「はい、じゃあ先にお金貰っていいかな」くらいしか言えていない。なんとつまらない対応だろうか。
その後もバイトやサークルで子供と接する機会は何度かあったがやはり驚くほどぎこちない。それどころか自由奔放で無限の体力がある子供に振り回されまくった。
 
昔の私はどうして子供が好きだったんだ……?
 
そんな違和感がずっとあるままモヤモヤしていたが、ある時気づいた。
即ち、私の方がもう「子供」ではなくなったのだと。
 
昔の子供が好きだった頃の私は、結局は同じ「子供」だった。
共感できるし何より自分も大人に守ってもらう立場である自覚があった。
しかし大学生にもなるとそんなことを言ってられない。学生と言えどもうどちらかと言えば「大人」に近い感性と立場になって、もう「子供」が遠く離れた存在に見えたのだ。
 
それに気づいてから、そういえば最近子供自体よりも親に苛立つことが増えたなとも気づいた。
店で走り回る子供、公共の場で叫ぶ子供、好き勝手に店内のモノを触る子供……そんな子供を放置する親を見かけると「何で子供に注意しないんだ」という気持ちになるようになった。
子供を見ながらその先にいる親を見る。それは自分が子供の立場だった時には全くなかった感覚だ。そうして「私はもう子供じゃなくなったんだな」と実感した。
 
大人になるにつれ、子供を取り囲む現実の状況や言説がどんどん見えてきた。ただただ「子供が可愛い」だけでは越えられないような問題や不安は山ほどある。ニュースやSNSを見ていると、子育てがいかに過酷かを思い知らされてばかりだ。
そうして段々と自分はそもそも子供が好きではないと思えるようになってきていた。
……そして冒頭の話に戻る。
 
色んなことを心配しているのが嘘みたいに、実際に親戚の子に会うと可愛くて可愛くて堪らなくなる。
会う度にただただ心が「可愛い」で埋まっていく。
そしてお別れすれば次会える日を心待ちにしてしまう。その時どんな風に成長しているんだろう、次会う時も名前と顔を覚えてくれているかな、などとワクワクしてしまう。
 
勿論実際の子育ての様子は本当に大変だなとも思う。
1日子供の相手をするだけで相当疲れるのに、これをほぼ毎日毎週毎月やっている従姉妹夫婦は本当に凄いといつも尊敬する。
しかしその大変さを上回るほどの子供がいることへの幸せがあるのかなあと、時折溢れる親らしさを見ていて感じる。
 
「子供がいる=幸せ」で、「子供がいない=不幸」だとは思っていない。けれど、子供がいなければ得られない幸せというのも、やはりある気がする。
子供がすくすく育って、それを見守れるだけで喜びがある。それは従姉妹の子供と関わるようになって初めて思うようになったことで、ネットの意見や他人の子供を見ている時には実感できなかったことだ。百聞は一見に如かず、実際の現場を見ることは大切だと感じている。
 
そんなわけで現実的な問題やただただ可愛いという感情といった子供を取り巻くあらゆる状況を、昔よりずっと理解出来るようになれた気がしている。私自身結婚したばかりのまだ子供がいない状況で、従姉妹の子育ての様子を知れているのは大きいと感じる。
 
将来的に子供を産むかは分からないが、もし産んだら従姉妹のように子育て出来ればいいなと思っている。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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