ルール嫌いな僕が、彼女のルールを守る理由
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記事:大和田光太(6月開講ライティング・ゼミ)
「わかった。守ろう」
ルールを守ることが嫌いだった僕は、彼女の一言を聞いて、納得した。
それなら、守ろうと思えた。
半年ほど、食卓での時間を窮屈に感じていた僕だったが、それなら仕方がないと受け入れることが出来た。
正直、とても恥ずかしい話であるが、僕は夕食のときにみんなが揃って「いただきます」をするということが出来ないでいた。
待てが出来ない犬ならば、かわいいものであるが、30代後半の男性が出来ないというのは、とても恥ずかしいものだ。
しかし、僕は彼女の言葉を聞いて、すんなり受け入れることが出来てからは、待てが出来るようになった。
今日はルール嫌いな僕が、彼女のルールを守るまでに至った経緯を、簡単にお伝えしたいと思う。
まず、大前提として、ルールには守った方が楽しくなるものと、そうでないものがある。
たとえば、スポーツのルールは守った方が楽しくなる。
野球やサッカーには、それぞれにルールブックがある。書かれているルールを守れなかった人は、審判によってゲームから退場させられてしまう。ゲームを見ている人たちも、守られた中だからこそ、熱狂的に楽しく観戦することが出来る。
だから、スポーツの場合はルールを守ることが良いとされていて、スポーツマンシップにのっとって、正々堂々と戦うことを誓います! と、大会の前には選手から選ばれた代表が大声で宣言するということになっている。スポーツが好きな人は、ああ、いつものやつが始まったと嬉しい気持ちになることだろう。
そして、反対にルールを守ることで楽しくなくなるものがある。
それは、学校の校則や、家庭のルールだ。学校では先生から言われたり、家庭では親から言われることになる。スポーツで審判がルールを守るのはよしとされて、判断が優れていると、すごいと言われるけれど、学校や家庭でのルールの判断が優れていたとしても、楽しい気持ちになることはない。
ルールを守るということにおいては、同じものであるはずなのに、学校や家庭になったとたんに、楽しいという気持ちが起きなくなってくる。
なぜか?
きっと、ルールの種類が違うのだと思う。スポーツの場合は、選手がお互いに競い合って、熱狂的なゴールへと向かっているので、ルールを守ることによって、ゴールへと向かいやすくなるからだ。
ところが、学校や家庭の場合は、ゴールを目指すためではなく、場所の秩序を守るためであるので、ルールを守ることは熱狂的なゴールへと向かうためではないからだ。
向かう場所が熱狂的なゴールではなく、周りへの迷惑を抑えたり、配慮をする気持ちを養うことが目的であるので、ルールを守れなかった人からすると、廊下に立たされているような気持ちになるのだろう。
念のために付け加えておくと、僕はルールが嫌いだからといって、積極的にルールを破ろうと言っているわけではありません。
単純に、楽しい気持ちで学校生活を送っていたり、家庭での時間を楽しく過ごしたいと思っていたときに、なんらかのアクシデントによって、たまたまルールを破ってしまったときに、しゅんとなる、あの感じが嫌なだけなのです。
なので、たくさんの人がいる中では、ルールは守った方がいいのはわかっているけれど、自分の家庭の中では自由でありたいという思いがあったので、お腹が空いて仕方がないときくらい、ルールはなしでいいんではないか? と思っていたのです。
だから、僕一人だけ先に「いただきます」と言って、先に食べ始めようとしていると、彼女に止められることになったわけです。
「みんなが揃ってからにしましょう」と。
最初は、言われるがままに彼女のルールに従っていたけれど、ちゃんと納得をしていたわけではなかったので、子供のご飯を用意するのが忙しかったり、自分の仕事に追われていたりすると、「時間がないから食べてしまおう」という気持ちになることが多かった。
なので、待てが出来ない犬のように、とにかくご飯を食べ終わらせないとという気持ちにもなってしまったのだ。
そんな犬のような僕の姿を見て、彼女は強く言葉を発するようになった。
なので、僕は彼女に聞いてみることにしたのだった。
(僕自身が待てが出来ないのはわかっているけれど)どうして、みんなで食べることがいいの? と聞いてみた。
すると、彼女が小さい頃、ごはんを食べるときは、みんなで食卓へ向かい
「いただきます」という言うと、彼女のお母さんが「はい、どうぞ」というのがセットだったようだ。
しかし、小学校6年生のときに、彼女のお母さんが亡くなってから、「いただきます」の後に続く「はい、どうぞ」という言葉がないことに寂しさを感じるようになったという。
なので、彼女にとっては、みんなで食卓を囲むときには、みんなで「いただきます」と言って、母親である彼女が「はい、どうぞ」というまでが一つのセットになっていたのだ。
これを聞いて、僕はちょっと後悔をした。
そんなに大切なルールだと知っていたら、ちゃんと守っていたのに。と。
だから、ルール嫌いな僕だったけれど、彼女の思い出のためにルールを守ろうと決めたのだった。
もしかしたら、学校や家庭においても、スポーツと同じく、ルールはきちんと守った方が楽しくなれるのかもしれないと、考えを改めた。
***
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