タイムマネジメントをしたければお酌をやめよう
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Maki (ライティング・ゼミ4月コース)
私は日本手酌の会会長を自称している。
そんな会が本当に世の中に存在するのかどうかはともかくとして、とりあえず弊会所属メンバーは会長兼会員のわたし。なかなかの盛り上げを見せている。ちなみに当会設立の一番の目的は上質な「タイムマネジメント」を行うことである。
さて、会長である私は、リサーチとの名目で、夜な夜なビール、ワイン、日本酒、ハイボール、焼酎など、外食時はもちろん、家でもいただきものからコンビニものまで幅広いジャンルのお酒を楽しんでいる。
そんな酒飲みの私でも、というよりそんな私だからかもしれないが、好きではないお酒の席に出くわすことも少なくない。
● 内輪ネタなど「誰やねんそれ!」と多くの人の脳みそに「?」が付くような話題しかない、しかも愚痴で笑いを取るという謎の場
● (新卒でもあるまいし)飲める分量を超えて調子に乗って人に迷惑をかける酔っ払い
そして!
かの「お酌タイム」である。
実はわたし、お酒を本格的に嗜み始めたのはアメリカに留学してからだった。渡米したのはハタチになった後だったが、あちらの飲酒可能年齢は21歳。しかも日本と違い、必ず写真付きIDを要求されるから隠れて飲むこともままならなかった。渡米数ヶ月後、無事21歳を迎え、ようやくお待ちかねのお酒ライフがしっかり始まるわけだが、これにより、よくも悪くも私のお酒文化はアメリカ式が身につくことになる。
たとえば、少なくとも当時言われていたのが、女性が一人でバーに行ってはいけないということ。男性から誘われるのを待っている、というサインになるそうな。だからレストランであってもお酒を楽しむような場所には常に誰かと訪れていた。それが当たり前だったので、今でも一人で飲みに行くことはない。
他にも飲み過ぎていると店側が判断すると、客の注文を止めて帰宅を促すということも特徴的だったかもしれない。あちらではそもそもそこまでお酒に飲まれている人も少ないが、日本のように客に強く頼まれたからと折れる姿は見受けられなかった。
そしてお酌。基本的にはバーテンさんやレストランスタッフが注いでくれる。ホームパーティーなどスタッフがそもそも不在の場合は同席の男性が担ってくれる。一度私が注ごうとした時には、そんなことを女性がするものではないとたしなめられた。そんな環境が普通だったものだから、帰国後に最初に務めた日本企業の忘年会でぼーっと座っていると、年上の怖いお姉さまたちに上司たちにお酌をしろと大目玉を食らったものだ(ちなみに相当腹に据えかねたのか、次の日にも呼び出されてコンコンと説教された)。
ちなみに「やっぱりアメリカのレディーファーストって良いよね」という話をしたいわけではない。どう考えても「お酌文化」全般が煩わしいということをお伝えしたい。
煩わしいと感じる理由は2つある。
一つは私が酒好きであること。
もう一つは時間を奪われる感覚が苦手なことだ。
人生残り50年としよう。たぶんお酒を健康に飲めるのはもっと短くなる。そうすると楽しめるお酒の種類だって限られてくるのだ。日本酒の銘柄だけでざっくり一万以上はあると言うのに、勝手にボトル注文された得意でない味のお酒を、酌をされてずっと飲み続けているなんて肝臓の無駄遣いだ。酒好きだからこそ残りの限られた酒時間を有効利用したい。
そして次のお酒は自分のタイミングで頼みたい。例えば飲み干した後もしばらく余韻を味わいたい時もあるし、贅沢を言っておチョコを変えてもらいたい時だってある。時々酔っ払った同席者が勢いで、まだお酒が残っているカップに違う種類のお酒を追加してくることがあるのだが、あまりのショックで絶句してしまう。
さらに言うと「もう今日はここでいいや」という酔っ払い度合いや最後の余韻となる味も自分で決めたい。トイレに立ってる間に知らない間に継ぎ足されていて、それが好みでない味であったらもう台無しである。口内はもったりとし、帰路の足は重く、どっと疲労感が湧いてくる。
そう。要するにわたしの人生を豊かにしてくれる、お酒を楽しむ時間の価値を最大限に高めたいのだ。
そして、実はこの時間の価値を高める「感覚」こそがタイムマネジメントをうまくする秘訣なのだ。
時は金なりと言うが、実は時間はお金と違って実態があって数えられるものではない。だから、楽しい時は短く感じるし、上司の自慢話を聞かされてる時は長く感じる。あくまで感覚的なものなのだ。そしてその時間の感覚を調整してうまくタイムマネジメントをこなすためには「自分の残りの人生の時間を費やす価値があるのかどうか」の問いを立てることだ。
いかなる経験も、場所も、出会いも「無駄」なものは一つもないと心から思っている。ただ、残りの限られた酒時間を少しでもたくさんの好きな人たちと好きなお酒で楽しい時間を過ごしたい。だから今日も私は手酌の会会長として誰の手も煩わせず、しっぽりとお酒と会話を楽しみながら上手に時間を使って人生に彩りを添えようと思う。
***
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