果物を追熟してわかった、タイミングを待つことのメリット
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:鈴木あゆみ(ライティングゼミ4月コース)
「やってみたいことがあればすぐやってみる」
「人生はタイミングがある。タイミングが来るまでじっと待つ」
どちらもよく言われている、生き方の指針だ。
この2つ、どちらを優れていると思うだろうか。
私は「今すぐ」をずっと重視してきた。
何度も本や映画などで、待つことの良さを感じても、最短や最速といった「すぐ」に憧れた。
答えも結果もすぐ欲しい。時間をかけていたら置いていかれる気がする。
そんなふうに思っていたのだけど、最近、待つのもいいかもしれないと気づいた。
きっかけは、果物だ。
果物を買うようになって驚いたことがある。
1つ目は、旬の時間は短いこと。
梨を例にすると、遠くから果物売り場を眺めていた時は、7月から10月くらいまで梨があると思っていた。
しかし、実際には、時期によって品種が違うため、自分が好きな味の品種は時期を逃すと手に入らない。
しゃりしゃりとした食感でみずみずしい幸水は、7月から8月上旬くらいまで。
夏の後半から9月は豊水に変わる。豊水は食感がやわらかく、甘みが強い。
埼玉ブランドの梨、彩玉は8月中旬から後半の2週間ほどしか出回らない。
それも埼玉限定らしい。
この梨は幸水より甘く、水分もたっぷり。いいお値段がするのだけど、おいしくてこの2週間は散財してしまう。
梨だけでも品種によって買える時期が異なるなんて、意識したことがなくて最初はとても驚いた。
好きな味に出会える季節は短く、「次買おう」と先延ばしにすると、もう食べられないのだ。
果物を買うようになって知ったこと2つ目は、追熟するとおいしいこと。
果物は買ったらすぐ食べられるのだと思っていたけれど、果物によっては酸っぱかったり固かったり、甘みが少なかったりする。
そこで部屋に数日置いて、熟すのを待つ。これを追熟と言う。
追熟するとおいしさが爆上がりするのが、プルーンと愛宕梨(あたごなし)だ。
プルーンはスーパーにある状態では酸っぱくて、ちょっと食べにくい。
そこから1週間以上おいて、黒っぽくなり皮がシワシワになってきたら食べごろだ。
最初、ちょっとだけシワが浮き出てきたくらいで食べたらまだ酸っぱかったので、シワが増えるまで待つのがおすすめ。
濃厚な甘みと皮の酸味で、もだえる。
愛宕梨は、12月に出回る梨で、子どもの頭くらいの大きさがある。
最初に見た時は、正月の飾りか何かだと思ってしまった。大きすぎて食べられるとは思わなかったのだ。
これも追熟すると、「梨はこんなにおいしいの……」と感動する。
追熟は2週間くらいほっといて大丈夫。見た目は全く変わらないし、甘い香りが漂うわけでもない。ただじっと待つ。
しかし、待った分後悔はさせない。それくらいおいしい梨だ。
食べられるチャンスを逃さず旬を味わうことも、追熟して美味しくなるタイミングを待つことも優劣はない。これって人生と同じだなと思う。
「チャンスの神様は前髪しかない」と聞いたことがある人もいるだろう。
気になっていることや、やってみたいと思ったことは、すぐ取り組まないと、チャンスは過ぎ去ってしまうことの例えだ。
検討することは大事なことだけど、やらない理由を探しているだけのことはないだろうか。
次の機会を待っていたら、チャンスを逃してしまうかもしれない。
自分の今の気持ちに正直になるのも、幸せのひとつだと思う。
しかし、チャンスを掴んだ! と思っても、それがすぐ結果になるかというとそうでもない。
コツコツと積み重ねていく時間が必要なこともある。
また人生は不思議と、“その時”まで待たされることもある。
がむしゃらにやっても、さまざまな行動を起こしても、なんだかうまくいかない。前はうまくいったのに、同じことをしても全然通じない。
そんな時はきっと、熟れていい感じになる時まで待つタイミングなのだと思う。
待っている間、気をつけるのは腐らせないこと。
すぐ結果が出ないと、向いていないのかな、自分には無理なのかなとネガティブな気持ちになる。
人と比べる機会は山ほどあるし、自分ばっかりうまくいっていない気がして、投げ出したくもなる。
できていないことばかり見つめていると、だんだん自分を信じられなくなって気持ちが腐ってしまう。
追熟していると思うと、現実は同じでも過ごす時間が楽しみへと変わる。
今積み重ねていることが自分を熟すきっかけになると思うと、なんでも面白く感じられる。
待つというのは希望だ。
私が今取り組んでいることが何年先に熟すかはわからないけど、その日を楽しみに積み重ねていきたいと思う。
***
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