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推し活は、私にとって海外留学であり、子育てに欠かせないものでもある

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記事:及川彩子(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「推し活」との出会い:
コロナ禍で、親戚が大人数で集まることをやめた義実家での年末年始。子どもたちと一緒にテレビで特番を見たり、マンガを読んだり、しゃべったりなどしてのんびりと過ごしていた。
小6の娘が、突然、「ママ BTSわかる? これ誰だ?」とクイズを浴びせてくる。名前あてクイズだ。BTSがK-POPのグループであることは知っているけれども、そもそも何人いるのか、どんな歌を歌っているのか、BTSが何かの略なのか、略ではないのか、何も知らない私は、当然、「これ誰だ?」には答えられない。興味も持っていないので、「わからないよ」と答えて会話を終わらせてしまうこともできる。
でも、することが特にない、お正月の午後。思春期に入りかけている娘の興味に付き合ってあげるのもいいか……と思い直し、「誰が誰だかわからないから名前教えて。そもそも何人いるの?」 と質問で返した。
スマホで画像を次々に変えて、「これ誰だ?」を繰り返すうちに、一人ひとりの違いを認識できるようになった。7人いるメンバーの顔と名前が一致した瞬間から、BTSに対する解像度が急に上がり、娘が録画していたBTSが出演している番組や、動画・SNSでBTSを追う日々が始まった。
 
「自分の好き」を整理する:
完全なる目の保養である自覚があり、「2人子持ちのおばさんの私がアイドルを好きになるなんて」という気持ちが湧いてくる。これって、ファンになったってことなのかな? いや、ただ動画見たりしているだけだし、そこまでじゃないか? 何に迷っているのか、わからないような戸惑いがあった。
 
誰かのファンであること について、出待ちルールや厳しいお作法がある特定のファンの世界にびっくりしたり、自分の「好き」とは違うと線を引いたりする意識が、それまでの私にはあった。
でも、線引きってなんだ?「あなたとわたしは相いれない」「あなたの好きを私は理解できない」「私の好きを理解してくれなくてもいいです」お互いの存在を、「推しがいる」という立場としてではなく、「〇〇が好き」の「〇〇」で区別するような考え方をしていた。
 
同じファン同士でも、ファン歴は何年? あのグッズは買った? あのツアーは行った? 課金した? 歌やドラマ、情報全部追えてる? などなど、好きの濃度・深さ・熱量を、人と比べて優越をつけるような感覚があった。「そんな意識があったのか。でも、好きってそういうことじゃないよね」と、気づかせてくれたのが、BTSに対する自分の推し活だった。
 
わたしのBTSに対する推し活:
わたしの推し活は、「メンバー同士でわちゃわちゃ楽しそうにしている様子を見る」ことと、「楽曲を聞く」こと。テレビや動画、配信サービスで見ることができる・聴けるものが中心の、お金を遣わない、私なりの、推しに対する活動だ。
「BTSの7人のうち、誰が好き?」という問いへの答えは「全員」。なぜなら、「わちゃわちゃ楽しそうにしている様子を見る」のが好きなので、ひとりずつの活動よりも、複数人での絡みを見ることのほうが楽しいし、7人全員でのわちゃわちゃが、一番幸福度が上がる。世界的に有名な人気のあるアイドルだけど、自分の日常と同じようなどうでもいいことで爆笑していたり、おいしそうにご飯を食べていたりする映像を配信サービスで見つけて見ていると、「幸せに過ごしてほしいな」 と親のような目線で微笑んでしまう。楽しそうなメンバーの様子にほっこりした気持ちになって、その結果私は癒される。
楽曲を聞くのも、登録しているサブスクの範囲内。サブスクに課金はしているけれど、BTSのためだけに課金しているわけではない。
 
もしかしたら、私の「推し活」は、一般的な「推し活」ではないのかもしれない。
でも、私は「私なりの推し活」ができれば、それでいい。
 
 
推し活は、わたしにとって、「海外留学」であり、「子育てのヒミツ兵器」:
海外留学の経験をした人から、「留学中に、価値感が変わった」 そんな話をよく聞く。自分の常識が世界の常識ではないことを知り、人と違うところがあっていい、自分は自分でいい。人と違いがあることを認めあうことが健全なんだ。それを身をもって実体験できるのが、留学経験なのではと思う。
子どもからのクイズで始まったBTSの推し活によって、わたしは、「自分の好き」を肯定することができた。自分を肯定できたことで、自分も自分なりに頑張ろうと思えて、穏やかに前向きな気持ちになれる。小さい子どものように、心のままに体が動くような、自然とワクワクした気持ちがわいてくる。
そして、ほかの人の「好き」を認められるようになった。「それぞれ自由に好きを持つこと」を認めあえることで、人との共通点が広がった。
 
私にとって、推し活は、価値観の見直しがもたらされる海外留学ぐらいのインパクトがあった。
 
誰かが何かを「推している」、そう聞くと、今なら、「好きって大事だよね!私も推しがいます!」と返している。それが、同じ対象でなくても、話題の入り口としては十分な共通点になっている。
 
それに、一番身近な推し活仲間である小6の娘とは、日々お互いが得た情報を交換しながら、楽しい時間を共有している。BTS以外のほかの「推し」の情報も聞かせてもらいながら、心が通うコミュニケーションの1つになっていると感じる。
BTSがメンバー全員でそろって活動を再開する2025年まで、
思春期中の娘との大事な共通の話題としても、娘と自分、そろって「推し」ていきたいと思う。
 
 
 
 
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2023-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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