ブラック企業に勤めている人を放っておくと過労死してしまう理由
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:尾崎コスモス(ライティング・ゼミ2月コース)
私は7年間、ブラック企業に勤めていました。
しかしその間、自分がブラック企業に勤めていることに気づいていませんでした。
むしろ、「いい会社に入れた」と喜んですらいたのです。
なぜ、こんな感覚になってしまっていたのでしょうか。
周囲の人たちには、ずっと反対されていました。
最初は通勤について。
「なんでそんなに遠くまで通ってるの?」
という言葉は、聞き飽きたほど聞きました。
私は当時、片道34キロという道のりを、車で通勤していました。
都心部から郊外に通っており、行きは早朝であったため空いているのですが、帰りは毎日、地獄のような渋滞に巻き込まれていたのです。
しかし、『耳学習』にハマっていた私は、すぐにこの条件を克服します。
むしろ、一時間半の通勤時間も、耳学習に充てられる実りある時間になる、とさえ思っていたのです。時には二時間にも及ぶ通勤時間を、本のリーディングや音声配信アプリによって、私の夢である独立起業の手助けとなる知識を身につけていきました。普段からインプットが足りていないと感じていた私には有意義な時間となったのです。
次に出てきた課題は、残業時間です。
残業は、ひと月で100時間弱にもなっていました。
月に100時間というと、どのくらいか想像できない人も多いと思います。
私の会社では、月の出勤日数が23日と定められていました。これは、月に31日でも28日でも同じ条件となるものです。その残りの日数が休日となるわけです。
出勤日数が決められているため、100(時間)÷23(日)=4.34……、ということで、約4時間は毎日残業ということになります。
しかも、毎日一定の仕事量ではなく、日によって、2時間残業の時もあれば、6時間残業の時もあったのです。
これだけ聞くと、なぜ耐えていたのか、不思議に感じる人も多いと思います。
しかし、私は「今まで勉強してこなかったんだから、時間を切り売りするしかない」と考えていたのです。しかも、同じ現場で働いている先輩社員はみんな、口を揃えてこんなことを言いました。
「これだけ残業しても、残業代を全額くれる会社はなかなかない。いい会社だよ」
こういう言葉を毎日聞いていると、そんな気持ちになり、この魔法の言葉を辞職する直前まで信じていました。
そして次は、前にも少し出ましたが、休日の問題です。
書いた通り、月のうち、23日勤務をのぞいた日が休日となります。
つまり、月が30日なら7日、28日なら5日が休みとなるのです。
これは、10代20代の若者には限りなく少ないらしく、会議を重ねるたびに若い社員からは『提案書』が何度も持ち込まれました。
しかし会社は、意見に賛同するものの、改善はしない。それを何度も繰り返すうちに、諦めた社員が一人、また一人と退職していきます。
私は、「時間の切り売り」をするしかないと考えていたため、給料日の給与明細書だけを楽しみに過剰な残業を喜んで引き受け、休日も連休などほとんどない状態でも、「仕事があるってありがたい」と笑顔ではげんでいたのです。本来、非常識な考え方であるにも関わらず、受け入れてこられたのは、ひとえに『学力不足と感じている自分への後ろめたさ』です。
しかし、『学力が不足している』ことと、『時間を過剰に切り売りする』ことはつながりません。
私は、こんな環境で仕事をしてきたものの、ある時、起業に興味があったことも幸いして、心からやりたいことを見つけて、退職しました。
もし、私に、心からやりたいことが見つかっていなかったら、今でも働いていたと思います。実際に、辞める時には、多くの先輩方から、引き止められました。
「自分が悪い環境にいる」と思っていたら、人を引き止めたりはできないはずです。それができてしまうということは、彼らは現在の環境に、満足しているということなのです。
しかし、あのまま続けていたら、きっと彼らのように、『死んだ魚の目』をして働き続け、生きていることも、やりがいもなく、生涯を終えたのだと思います。実際に、捨てられるように辞めていった先輩たちを、何人も見てきたのです。
それでも、台風の目に入ると、台風が来ていることに気づきません。
自分は瀕死の状態なのに、そのことに気づいていないのです。私は、こうした現実を知っているから、過労死というものが、すぐ隣にあるものだと思っています。
今でも、“ブラック”といわれる条件で働いている人は、たくさんいらっしゃるでしょう。しかしこうした記事を書いても、その当事者には届きません。
なぜなら、この記事をはじめとする、そうした周りからの警告を、当事者は自分に向けてのものだと感じないからです。自分が、瀕死の状態だということさえ、気づきません。
私も、周囲の人に言われてはじめて、自分の顔色が悪いことに気づいたのです。
この記事を読まれたあなたの周りに、こうした瀕死状態の人がいたら、彼らの『心からやりたいこと』を見つけてあげてください。
「こっちの道のほうが、楽しそうだよ」
と、自然に誘ってあげてほしいと思います。
***
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