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ポップシンガー、アイドル、ロックバンドの合同ライブに行ったらいい具合にカオスだった件

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記事:XV(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
昨年から、YouTubeで見つけたバンドのライブを何度も見に行っている。
そのバンドが演奏する曲はテンポが非常に速く明るい曲調であり、聞いていると気分が高揚してくるので、掃除、料理など面倒なことに取り組む時には気を紛らわせるために日々聞いているのだ。
そのバンドのリーダーは、アイドルなど他のグループに多数の曲を提供している。
 
バンドから楽曲提供を受けているポップシンガー1人、アイドル一組がそのバンドとともにライブを行うという。
 
そんなことができるのか。
バンドのライブは激しく、荒々しい。ポップシンガーのファンには敬遠されるのではないか。
アイドルのライブというと、閉鎖的なイメージ。色とりどりのはっぴを着てはちまきを締めて完璧に歌を覚えていないと追い出されるのではないか。
どういうことになるのか、野次馬根性丸出しで見に行くことにした。
 
当日、ライブ会場は年齢層も雰囲気もバラバラの人々が集っていた。
小学生低学年とおぼしき2人を含む家族連れ、会社帰りと思われるスーツの男性など、パンクバンドのライブ会場ではお目にかかれないタイプの人もちらほら。
それぞれのアーティストのTシャツを着ている人が多く、三大勢力は拮抗していることがわかる。
 
ライブの冒頭、バンドのリーダーが出てきて注意事項を説明した。
「育んできた文化が違うので、それぞれの文化を尊重してほしい」とのこと。
なんだか大げさな気がしたが、ポップシンガーの出番の時は、ポップシンガーの普段のライブの雰囲気に合わせて、アイドルグループ、バンドの時も同様、ということのようだ。
この言葉はライブが終わって思い返すと、3時間の公演を楽しむためにはとても重要な事柄であった。
 
1番手、ポップシンガーのライブは王道だった。その場で手拍子したり歌手に合わせて歌ったりと、曲を知っていれば誰でも楽しめる種類のライブだ。
難しいルールもないようで、私自身居心地が良かった。
 
2番手はアイドルグループ。アイドルのライブではファンもペンライトを持って楽しそうに歌って踊っていた。1人1人のエネルギー量が一番多いのは、間違いなくアイドルのファンだろう。
皆歌詞の合間にステージに向かって合いの手を入れているが、どんな言葉なのか聞き取れなかった。
家に帰って調べたら、あれは「コール」と呼ばれて曲そのものには含まれないそうだ。YouTube等で公開されている動画を見て「予習」していくとのこと。
ちょっと参入障壁が高いが、習得してライブで合わせられたら気持ちよさそうだ。
 
3番手がロックバンド。
ポップシンガー、アイドルだけを見に来た層は、ロックバンドの出番になると場所を譲って観客エリアのやや後方に行く。
(場所を譲っているのではなく、ロックバンドのノリを知っていて、危険を回避しているだけなのかもしれないが。)
 
バンドの楽しみ方は、音に合わせてぐちゃぐちゃになる開放感だと思う。
音楽に合わせて手拍子したり歌手に合わせて歌ったりする展はポップシンガーと同じ。
ただ、ステージ方向に向かって満員電車のように密集して立つ。そしてダイブ。ダイブというのは観客の手によって、客席後部からステージに向かって観客の頭上を人が運ばれていくことだ。
現地にいると狂気の中に身を置いている気分になる。まるっきりの狂気ではなく、観客席とステージの間に、運ばれた人の身体を受け止めてくれる係員がいることを知っていてのことだが。
 
「異文化」の人たちはこの雰囲気をどう捉えているのか。置いてけぼりを喰らっていないか。
 
それは杞憂だった。
バンドの演奏中にアイドルグループが再登場し、バンドがアイドルグループと共に歌い出したあたりから、ドラマのワンシーンのように「文化」の融合が始まった。
 
熱気と汗と歓声で混沌とした中、ペンライトを持ったままダイブする人々が現れ、一同で前方に送る。
バンドのリーダーの呼びかけに応じて、見知らぬ人同士肩を組んで歌う。
後方から押し寄せるの人の圧力に耐え、観客エリア最前列でアイドルとハイタッチをする。
3つのグループを一同に集めなければ決して現れることのない光景がそこにあった。
二度と体験することがないであろう、不思議な一体感とエネルギーに満ちあふれていて、身体から力が湧いてくる感じがした。
 
確信した。バンドのリーダーが作りたかったのはこの空気だったのだ、と。
 
帰宅後SNSを見ると、主催者により公演中に天井から会場全体を写した写真がアップされていた。
ステージを中心に混沌としたエリア。その外側で、ステージから少し離れた2階席でゆっくりと音楽を楽しむ人々、ホールの開いたスペースでペンライトを持ってダンスをする人々など、思い思いにその場を楽しんでいる姿が見える。
 
友人と音楽の楽しみ方について話すことがあったら、余り熱くならないよう気をつけつつ、この写真を証拠として当日の話を伝えたい、そう思った。
 
 
 
 
***

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2024-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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