机の上は戦場
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:akko(ライティング・ゼミ9月コース)
もうこんな時間だ。
チクタクチクタク……
まずい。
時計の音、耳障りだ。
明日までに出さなければいけない資料が山積みなのに、時計のせいで気が散って仕方ない。
どんどん作業を進めなければいけないってわかってるのに、なんでスマホ見てるんだ。
もう一息だ、やってしまおう。
パチパチパチ……
ちょっと進み始めたぞ。
この調子だ。
でも、左側にある高く積まれた書類の山、気になるな。
ここに読んでない本もあったの忘れてた。
読んじゃおうかな。
ダメダメ。
せっかく調子に乗り始めたんだから、他の物に目移りしたら資料が間に合わなくなる。
ガサガサガサ……
チクチクチク……
なんだろう、この感触は。
重みまである。
視線を向けると、連なる大きな山々がそこにはあるではないか。
いつこんな山ができてしまったのだろう。
ついこの前までは山はなかった。
手は自由に動かせ、とても快適だった。
気が逸らされるものもないし、危険にさらされることもなかった。
やりたいことがやれてた。
なのに、いつこんな山ができてしまったのだろう。
この山はとても不安定そうに見える。
この山に触れても大丈夫なのだろうか。
絶妙なバランスでかろうじて立っている山。
今にも崩れそうに高くそびえたつ山。
頂には紙の城がある。
そうか紙の山なのか。
これが崩れたら作業スペースがなくなるんだ。
それはまずい。
仕事をはかどらせるためには、この山と戦わなければならない。
そう、机の上は戦場だ。
おや?
あれはなんだろう。
反対側に水が見える。
左手には紙の連山。
右手には水。
戦場にあるのは山だけではないのか。
水か。
どう表現したらいいのだろう。
旭山動物園に行ったときに見た白熊がいた水槽、とでも言えば伝わるだろうか。
旭山動物園は白熊が泳いでいる姿が見える作りになっていた。
なぜなら水槽がガラス張りになっているからだ。
気持ちよさそうに泳いでる白熊を見て感動したっけ。
楽しかったな、旭山動物園……
また行きたいな……
いっけない。
また思考が拡散してしまった。
まず紙の山から片づけよう。
なんだ、紙をどかしてみたらキャップが見つかったぞ。
白熊の水槽じゃなくて、ペットボトルだったのか。
紙の連山と、キャップをしていないペットボトルが乱立。
それらに囲まれて、手の置き場がない私。
ギュ、ギュ、ギュ。
よし良い調子だ。
これなら今日中に片づけきれるかもしれない。
ザザザザザー……
わー!
せっかく片づけてたのに、地滑りが起きた。
でもこれは所詮紙だ。
本だ。
気を取り直して紙は切り刻んでくれる機械のところまで運ぼう。
本はいっぱい入っているところに持っていこう。
仲間がたくさんいるから安心なはずだ。
結局ほとんどシュレッダーにかければいいものばかりだ。
なんですぐに分別せずに高く積み上げてしまったのだろう。
ペットボトルもまずはキャップをしめよう。
水が流れ机の上で行き場を失って漂ったら大変だ。
ここはパソコンを守るための戦場だ。
ふう。
なんとかやりきった。
さっきは狭小だったけど、作業できるスペースが確保できた。
あとは一気に資料を作成するだけだ。
快適っていいな。
パチパチパチ……
今、私は月曜日までに2000文字という課題のための記事を書いている。
どんどん書けて楽しいな。
ABCユニットを習ったから、スイスイ書けるではないか。
あれ?
なぜ?
なぜ、こんなことをしているのだろうか。
なんで私は今、記事を書いているんだろう。
たしかに左手側に高く積まれていた書類や本の山々は消えた。
右手側にあったキャップの空いたペットボトルもなくなった。
パソコンを打とうにも、書類の山々はすぐ雪崩を起こしたりして作業が止まったり、
キャップの空いたペットボトルが倒れてパソコンがダメになる不安もなくなった。
いや待て。
こんな記事を書いている場合じゃないんだ。
私は今日中に仕事の資料を完成しなければならないんだ。
明日の朝一で上司に見せないとこっぴどく怒られる。
なんでだ。
せっかく山々がなくなり、ペットボトルもなくなり、資料作成に集中できる環境を手にいれたのに。
なんですぐ気が散ってしまうんだ。
机の上は戦場は戦場だらけだ。
さっきみたいに、ひとずつ片づければいい。
そうすれば、必ずうまくいく。
戦術はひとつ。
やらなければいけないことをやるためには、気が散る環境をつくらないこと。
作業効率は、目につくものが多いほど落ちるからだ。
明日からは机の上にはパソコンだけにしよう。
***
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