メディアグランプリ

積読本を眺めながら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:かのん(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「趣味は?」と聞かれると「読書と散歩かな」と答えることが多い。すると、次に来る質問は「すごい量の本を読んでいるんだろうね。何冊くらい読むの?」となる。私は答えにつまる。
たしかに、バックの中に本は必ず入っているし、リビングの棚にもベッドのスタンド近くにも置いてある。本はいつもすぐに手に取れるところにある。
けれど、速読は苦手だし、ビジネス本は今必要な部分だけしか読んでいないし。と考えると、読み終えたと言える本は多くない。質問してくれた人が期待しているような答えはできない。
 
最近、ますます本を読むのが遅くなってきた。それに比例するかのように、積読本はどんどん増えている。
積読とは、本を買ったものの読まずに積み上げたままにしておくこと。
私の家には書棚はかなり多いが、それでも書棚からあふれた本がそこかしこに積み上がっていく。
今、この文章を読んでくださっている方の中にも、積読本あるよと頷いている人もいらっしゃるのではないだろうか? 私の周囲にも、積読派の人はかなり多い。
「いやぁ、つい本を買っちゃうんだよね。積読本は山のようにあるんだけれどね」
ちょっと困った風に、そしてちょっと嬉しそうに言う人が多い。そう、何故か、ちょっと嬉しそうに言うのである。
 
中には、こういう方もいる。(私の周りにも少数だが実在している)
「本はこの書棚に入る分しか持たない。1冊買うと、1冊は誰かにあげるか処分する」ときっぱり言う。「その1冊はどうやって選ぶの?」というのは愚問らしい。
そういえば、私の母校の先輩である樹木希林さんも、所有する本を100冊と決めていたらしい。下記の2冊の本を読んでみた。
『希林のコトダマ 樹木希林のコトバと心をみがいた98冊の保存本』 (著者:椎根和))
『百冊で耕す 〈自由に、なる〉ための読書術』 (著者:近藤康太郎)
結局、大事な本が2冊増える。(これは、読んだので積読本ではないが)
 
私なりに、積読本を減らす工夫はしているつもりである。
例えば、すぐに本を買わず、図書館で借りて読む。手元に置きたい本かどうかを決め、本当に欲しい本だけ買う。既に読んでいるので、書店で確認する必要はない。ネットで購入する。(書店に行くと、1冊だけでなく数冊抱えてレジに並ぶことになるので)
でも、図書館は貸出2週間という期限があるので、積読本は置いたまま、図書館で借りてきた本を先に読む。結局、積読本は減らない。
また、紙の書籍では場所を取るので電子書籍にすればいいと、一時期、電子書籍を購入していた。電子書籍に慣れていないからか、紙の手触りが恋しいのか、結局、電子書籍も読みきれていない。場所は取らないが、パソコンの中で電子書籍の積読本が増える。
 
失敗もある。積読本は読んでいないので、かなり前に購入した本を忘れてしまい、ある日、同じ本が2冊あることに気づく。この場合は本好きな人にもらってもらうが、一度も読んでいないため自分が所有する本がわかっていないということだ。(最近、本を管理するアプリを使い始めた。本を買ったらすぐに登録することにしたので、この問題は解決しつつある)
また、本屋さんに行かなければいいと思ったこともあるが、これも失敗だった。活力が無くなってきた。私は、散歩しながら書店に立ち寄ることで、日々のストレス解消やエネルギーチャージをしていたことに気づいた。
 
積読本を眺めながら、どうしようかとため息をついていたある日、友人からこんな話を聞いた。
「積読本は読まなくても目に触れるだけで、知的好奇心を刺激していることになるんだって。それに、本との出会いは一期一会。出会った時に買わないと、次、買おうとした時に買えなくなるかもしれないって」
この話のエビデンスは確認していない。どこぞの出版社か大手書店の情報かもしれない。
でも、私は救われた気分になった。実際に知的好奇心に影響しているかどうかはどっちでもいい。私が晴れやかな気持ちでいると、今まで肩身が狭そうに積まれていた本が輝きだしたように見えた。私は、知らずに積読本たちをお荷物みたいに感じていたのかもしれない。「ごめんなさい。どの本も大切な本だよ」と本に謝った。
そう、積読本、多いに結構じゃないか!
 
そして、思い出した。
私は子供の頃から本が好きで、本屋さんに行くとワクワクしていたことや、壁一面の書棚に本をいっぱい並べることに憧れていたことに。
 
既に、今ある本たちは一生かかっても読み切れないかもしれない。でも、私が選んだ本を大事にしよう。退職したらもっと読書しよう。ボケ防止にもなるしねと言い訳しながら、今は躊躇せずに本を買おうと思う。
 
そして、もう少し年齢を経てから、100冊蔵書に挑戦してみよう。私が亡くなる時に山のような本があったら残された人は大変だろうから、いずれは、私が選びに選んだ100冊だけを手元に置くようにしよう。(寿命はわからないので、大量の本を残したまま逝った時はごめんなさい)
 
「いつかは100冊蔵書!」を免罪符にして、今日も、これはどこに置こうかと買い込んだ本を持ったまま立ち尽くす。実は、これも楽しかったりする。
まだ暫くは、積読本バンザイ!の日々を過ごすことにする。

 
 
 
 
***
 
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2024-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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