知人の死
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:るるる(ライティング・ゼミ9月コース)
先日、驚くことがあった。
25年つきあいがある共通の会合の代表が亡くなったのだ。そのほんの2週間前に会合で会ったのが最後だった。その時は普通に元気そうに見えた。
でも他の人に言わせると、「確かにあの日は少し元気がないように見えた。いつもなら司会で長々もっと話すのに」とのことだった。
お通夜に伺った。大勢の人が来ていた。場所は五反田の桐ケ谷葬祭場の隣りだ。共通の知り合いと駅で待ち合わせて行った。
訪れる人が多いせいか、私と共通の知り合いAさんは別部屋に通される。ビデオで祭壇のある部屋が映されていた。お焼香を済ませ別な階で飲食タイムとなる。遺影もあった。
そこでAさんと共に思わず涙があふれそうになる。他の方々は亡くなった本人と同じ70代後半の方々が多いように見えた。そのせいか、あまり悲しそうなムードはなかったように見えた。にこやかに談笑しながら飲食していた。
自分も知っている人達に挨拶をし、焼香を済ませたということで落ち着いた気がした。
ふと、遺影は見たけれど実際に顔を拝むことはできないんだろうか、と思った。
Aさんに話すと「そうよね、無理なのかしら」という。それでも他の人に聞いたところ、できるというのでみんなで行った。
穏やかな顔だった。「今にも起き出しそうだね」そう誰かがいう。本当にそんな気がした。
香典は辞退します、と喪主である奥様からの伝言を聞いていたので持参しなかった。でも他の共通の知り合い達は供花を申し出ている人が何人もいた。祭壇は多くの花で彩られていた。
後日、Aさんとメールでやり取りして香典出さなかったし供花もしなかったので40日に一緒に奥様にお花を送りませんかと提案があった。そうですね、そうしましょうと即返信した。
それにしても25年も経ったなんて。
その頃、代表とは複数の会合で参加がダブっていた。良く合いますね、とお互い顔を見合わせた。そしてその頃、たまたま彼が新しく日本の伝統芸能をテーマにした鑑賞会を立ち上げるというのを聞く。NPO法人で興すとのこと。そこで人数が理事として最低10名いるので良かったらと誘われたのだった。理事とはいえボランティアであり、実際に行うことは当日の受付や関連チラシを配布したり、後は参加する人を集めるということである。
複数の会合に参加しているので、誘う人もいるのではと自分は期待されたらしい。
それでも参加はホテルで食事をしながら講師の話を聞き、その後歌舞伎や能、文楽など鑑賞する形態であり値段は安くなかった。
一度の参加で1万円ぐらい。見どころを聞く講座と翌週の鑑賞で2万円ほどになることもあった。最近はいつも半蔵門のホテルを使っていた。
いつかなど、確かこの法人を立ち上げて3年目だったか、ロンドンでジャパンフェスティバルを行うというので代表の提案で伝統芸能の芸人、琴奏者や三味線奏者らと共にスタッフの方々とロンドンへ出向いた。
ロンドンは小規模な劇場が多くあるそうでその中のひとつで私達はイベントを行った。大変好評だったと記憶している。
代表はかつて大手企業の初代ロンドン支店長だった。その時、7年間外から日本を見てもっと日本の伝統芸能を大切にしたいという思いでこの会を立ち上げると語っていた。
代表は企画の立ち上げから芸人との交渉及び打ち合わせ、そして集客も率先して行うということで8割は代表が動いての会合だったといえる。
年8回ほどの開催だった。たまたま3カ月前、初めてこの会合に参加ということで誘ったBさんは後から私にこう言った。「25年続いているのは間違いなく代表が魅力的だからです」そういうことをあまり考えたことがなかった私は、ああ、そうか。確かにそう、と改めて思った。
亡くなってまだ? もう? 10日経つがそれにしてもまだ信じられないような気がする。亡くなったなんて。
代表を含めスタッフみんなで訪れたイギリスのことなどもふと思い出す。私達はイベントが終わった後、ロンドンを離れせっかくだからと郊外へと足を運んだ。
イギリスに詳しかった代表が組んだプランだったのだろう。ピーターラビットの作者の別荘もあったという湖水地方や昔、城だった建物を現在はレストランに改築した場所でランチを堪能したり、オックスフォード大学の見学までした。
湖水地方は本当に童話の世界のようにきれいで緑豊かでかわいらしいところだった。元城だというレストランは趣があり壁には確か誰かの肖像画がかかっていたような気も。
オックスフォード大学は、あまりにも年季が入っていてびっくりしたのを覚えている。今上天皇はこのようなところに留学に来たのか、と。
そんなこんなが思い返される。それにしても人生って思っているよりずっと短いのかもしれない。やりたいことは早くやらなければ。改めてそう考えさせられた。
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