虹を見たあの日は
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:藤原 宏輝(ライティング・ゼミ9月コース)
「すごいキレイ! 見て、見て!」とベランダから、嬉しそうにはしゃぐ声に、私は急いでベランダへ駆け寄り、空を見上げました。
そこには、これまでに見た事のないキレイな虹が、大きく2本かかっていました。
「あれ? ついさっきまで、ものすごい勢いで、バシッバシッ! と地面を叩きつけるように、雨が降ってたのに?」と、一瞬思いましたが、次の瞬間には私は、無意識に視線を右から左へ移して、くっきり! はっきり! と、弧を描いている美しい虹に、感動しました。
「久しぶりに、美しい虹を見た」という嬉しさの反面「そういえば最近、虹なんて、ゆっくり見てなかったなあ……」と。何とも言えない、寂しさが襲ってきました。
「なぜ? こんなにも、感情があちこちに、行くのだろう」
幼い頃の私は、雨が降るたびに「今日もまた、虹が出るかも」と、お外を見ながら、どんどん流れていく灰色の雲を眺めて、雨上がりの虹を楽しみにしていました。
雨が止んで、空がだんだん明るくなり、虹を見つけると嬉しくて!
「虹って何で出来るの? 虹は渡れるの? 虹の向こう側に行けるの? おばあちゃまは、虹の橋を渡ってどこに行ったの? 虹の下には、何があるの? 虹の向こうは、どうなってるの?」
と色んな事を、母に聞いていました。小さな私にとって虹は、とても不思議だったのです。
ふと、現実に戻り「雨が降って、止んで、虹が出る。これって、私の人生そのものだなあ……」と、感じました。人生にはツライ時や悲しい時、嬉しい時や楽しい時が、色々たくさんある。
幼い頃は「大きくなったら、虹の向こう側に行ってみたい! こんな事をしたい! あんな事をしたい!」と、誰が何と言おうと、両親や誰かに何かを言われようと「私には、出来るもん!」って、
難しい事や嫌な事を、何一つ考えてなかった。楽しい事や好きな事だけに、夢中になっていたあの頃。
今の私は!?
‘今日という1日’に、毎日必死になり、部下や周りの人達の事、お客様の反応ばかりを気にしてる。
そんな、ずっと仕事だらけの人生だ。さらにいつも、つい
「誰かに、認めて欲しい。誰かに、分かって欲しい」とか「私は、こんなに頑張ってるのに、何で分かってくれないのッ! 私の気持ちは、言わなくても分かるよね!」と、自分本位になり、傲慢だった。と、落ち込みました。
これまで何十年もの間、私は幼い頃のように‘夢に向かって楽しんだり、何かに夢中になったり、夢を叶えられる為に頑張る!’そんな事はすっかり忘れて、仕事だけに時間を費やしている事に、知らず知らずのうちに、完全に自己満足に陥っていたのです。
「大雨でもまた、大好きな虹が出るかも。虹の向こう側には、きっと行けるんだ! と信じていた頃の私は、いったいどこに、行ってしまったのだろう? 大人になった今、私には何が、残っているんだろう?」
と、空っぽな自分に気付いてしまい、悲しくて、虚しくなりました。
そんな自分に「今までは、仕事を頑張ってきたから」と、抵抗したい気持ちもありました。しかし、美しい2本の虹を見たおかげで、すんなりと今の自分を受け止めて、素直に認める事が出来ました。
次の瞬間に、頭をガツン! と殴られたみたいになり「本当は何がしたいの? どうなりたかったの? 私に残された時間は、もう少ない。そうだ今、変わらなきゃ! 今、すぐやらなきゃ!」
と、強く思いました。
美しい虹を見て、瞬間的に幼い頃に心が舞い戻り「なりたい自分になる為に、自分の事を心から信じる! 今、この瞬間から仕事だけでなく、好きな事や、やりたい事にも、全力で時間を使う! 行ってみたい場所には、自ら進んで行く!」と決めました。
そう決めた瞬間から、何かが動き出しました!
ある日、お友達と公園を散歩しながらカフェを探していた時、今まで気づかなかった場所に引き寄せられるように入ったのが‘天狼院カフェ’だったのです。
店内に一歩足を踏み入れると、たくさんの書籍が、面白く並べてありました。
さらになぜか? 奥の方にこたつがあり「変な本屋さんだなあ……」と思いましたが、なんと! 書籍よりも、もっと! 興味深いものを私は、見つけてしまいました。
この絶妙なタイミング! それが‘ライティング・ゼミ’開講のご案内でした。
「やりたい事、これっ、これ! こういうの! やっと、出会えた!」という衝撃と、
「今、この瞬間から! すぐに、スタートだ」という思いが、沸々と湧き上がってきました。
こたつの中でその時に話した、お友達との会話は、気もそぞろでほとんど覚えていませんが、
「私は、ライティング・ゼミをスタートさせる。やりたい事をやる! 今から、書く事を一から学んでいくんだ!」と、心に決めた事は、ずっと忘れません。
その後は「私には可能性しかない! 何でもやれば出来る!」と、どんどん妄想女子になりました。
そして、女子高生の頃「文章を書く人になりたい!」と夢を描き、森瑤子さんの小説にハマり、お小遣いから何十冊も買い漁り、読みふけっていた頃の事も思い出しました。
それから、半年ほど仕事や色々ある事を整理し、9月からやっと、ライティング・ゼミをスタートさせる状態と時間を、創り出す事が出来ました。
こうして私は、虹の向こう側の未知の世界に、大きく踏み出しました。
‘虹を見たあの日’幼い頃の私に舞い戻り、本当にやりたい事を見つけ「これからも、夢に向かって生きていいんだ!」という思いと、今の自分に許可を出し、時には自分を褒めたり、励ましたり、叱ったりしながら、どんどん未来に向かって進みます。
これから、私が書いていく文章を、知らない誰かが読んでほっこりしたり、幸せな気持ちになったり。
‘書くことで、次世代に繋げていくこと’を形にする! と決めたら、何だかとってもスッキリ!
今までずっと、自分の本当の思いに蓋をして、気付かないフリをして、仕事だけを中心に生きてきた私にとって『虹を見たあの日は、人生の大きな転機』となりました。
その後、約1年。私自身が、どんどん変化する事で、周りにも様々な変化が、起き始めています。
***
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