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物は自分を映す鏡である


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記事:かず(ライティングゼミ・9月コース)
 
 
「なんでまだこんな物をとっておいてあるのだろう」
毎回いつもそう思う。そう思いながら物を処分するのだ。
 
時々物を処分することにしている。普段捨てるゴミ以外に。数か月に一回とか数年に一度とか決めていけるわけではなく、したくなった時にするという感じである。まだ使える、いつか使える。そんな理由で物を置いていると、さほど広くないスペースはすぐに物であふれかえってしまう。
そんなことを何回も経験していると、次第に自分がどんなものを捨てるか、言い換えれば使わないにもかかわらずとってあるかわかってくる。いつか使える、まだ使える、この理由は多くの人が共通する理由である。私の場合、それ以外にも捨てたものには共通項があることに気づいた。
 
それは「他人がかかわっている」ということである。
 
人からもらったもの、プレゼントもだが、何かの景品といったもの。もしくは自分が購入したのだが、人の意見があって購入したものがかなり多かったのである。
プレゼントはもらうと嬉しい。だが、残念ながら自分の好みにぴったり合うことのほうが少ないのではないだろうか。そして思いがこもっている分少ししんどいのだ。服やアクセサリーはこれを身につけなさい、という意味。もっと言えばこれが似合うようになりなさい、そんな風にも取れる。本は、こういう考えをしなさい、もしくは私はこの著者のような考えです。そんな無言のメッセージが込められているように思ってしまう。
何らかの景品は言うまでもない。消耗品はいい。だが、たとえ実用的であっても数年は使い続けるようなもの、キャラクターもののエコバッグ、全く好みではないマグカップ。こういうものはもらわないでお断りすることにしている。自分の日常に自分の好みから大きく外れるようなものは極力入れたくないのだ。
また、自分が買っていても、人の意見が入っているもの。これは一緒に買い物に行って服を買う、といったことである。自分一人だとおそらく買っていないものをつい買ってしまうのだ。相手をあまり待たせてはいけない、早く決めなければ、そういう心理が働いてしまっているのがよくわかる。
 
自分がきちんと選んでいないものを、使わないまま放置し、やがて捨てる。そういうことが多いことに気が付いたのだ。手に入れる段階で断れるものは断っておけばいい。そうすればろくに使わないまま処分することも、使わないことに罪悪感を抱きながら持ち続けることもしなくてすむ。
 
あとは「自分の執着、希望を反映している」ものたち。
 
この分野に詳しくなりたいと買い集めた本、理想の自分に近づこうと購入した美容グッズ、もう使うことはないであろう趣味の道具。
理想に近づくために努力をすることは悪いことではない。だが、現在使っていないということは自分で思っているほど実は興味がなかったり、単に今の自分を否定しているだけだったり、そんなことが見えてくるのだ。過去に興味があったことも、今必要ないのなら、処分したほうがいい。常にその物を使わなくなった自分をどこかで責め続けていることになるからだ。また必要になればその時に手に入れればいい。そう思えばいい。そう思えないのは、必要なものをすぐに手に入れられない未来をどこかで想像してしまっていることにも気づく。大体また同じものが必要になる可能性は、経験上あまり高くはない。将来再び必要になる可能性が極めて低いものをずっと部屋に置き続けて、見るたびにうっすらストレスを感じるほうが問題である。
 
人は変化する。生活スタイルや興味が変わるのは当然である。変化したのであれば、必要とする物が変わっていくのは当然である。どんなに豪邸に住んでいて、多く物を持てる状況であったとしても、人が一人で把握できるものの量というのはそれほど変わらないのではないだろうか。過去の思い出の物に埋もれて現在の生活に支障が出てくるのは本末転倒である。思い出の物は最も処分しにくいし、無理に処分する必要もないが、それでもある程度の限度はあるであろう。
 
「物買ってくる、自分買ってくる」とは陶芸家河井寛次郎の言葉である。
買い物に限らず、自分の周りにある物は、すべて自分を映し出しているのではないだろうか。絶対に使わないのがわかっている景品でも、もらえる物は何でも欲しい、という考えだったり、断ることができない自分の性格であったり、そういう物が不要なものを処分していると見えてくるのだ。
 
今年ももう残り少なくなってきた。大掃除とともに不用品の処分をする人も多いのではないか。さっぱりとした気分で新年を始められるように、「今」の自分に必要のないものはもう処分して、身軽になって新年を始めたいものである。
 
 
 
 
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2024-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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