やらないこと、決めちゃう?
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:あき(ライティング・ゼミ9月コース)
映画『セイ・エニシング』の主人公ロイドが、ガールフレンドの父親に将来の展望を問われるシーン。彼の夢はプロのキックボクサーだが、「軍隊には入らない」「売買で生計を立てる仕事はしない」と、まずやりたくないことを堂々と挙げていく。私は、その姿に衝撃を受け、「やらないことがわかっているって、なんて強いんだろう!」と感じた。
高校生だった私は彼に感化され、周囲が進学を当然とする中、「大学進学はしない」と宣言した。親や先生に反対されるのはわかっていたが、やりたくないことを手放した瞬間の胸の高鳴りを今でも覚えている。
私たちが日々直面する「やりたいことがわからない」という悩みも、もしかすると逆のアプローチで解決できるかもしれない。「やらないこと」を決めることで、迷いを終わらせる。その大切さを、50年生きてきた今、強く実感している。
「大学進学はしない」と宣言したのは、当時の私にとってやりたくない、かつ苦手なことナンバーワンが、学校で勉強することだったから。それは、私にとって初めての「やらないことリスト」の実践だったのかもしれない。進学しないと宣言し、大学進学というプレッシャーから自身を解放したことで、だったら代わりに何をやるのかを考える時間が生まれたのだ。
その結果、自分にはこれといってやりたいことがなく、仕事に役立つスキルもないという情けない現実に向き合わざるを得なかった。そして、一度捨てた選択肢である大学進学を選んだ。やりたいことが見つからない中、まずは大学に行くことで自分の道を見つけると覚悟が決まったからだ。
大学で、新たな興味と出会うことができ、それが今のキャリアにつながっていることを思うと、大学進学を選んで良かったと思う。それと同じくらい、あの時一旦は大学に行かないと決めてよかったと思っている。悩まずになんとなく進学していたら、今とは全く違う人生を歩んでいたはずだ。
やらないと決めたことで、やることがはっきりわかった。この経験は、その後人生の岐路に立つ度に戻ってきては、「まずやらないことを決めよう。そうしたら、きっとうまく行くよ」と、私に最初の一歩を示してくれた。
人生を左右する決断ほど大きくない、日常の些細な決断の際にも、何をやらないかは大切だ。ともすると、私たちの意識は何をやるかに囚われがちだからだ。
例えば、ToDoリストは目標を明確にするためのツールだ。けれど、書き出す項目が多すぎるとどうなるだろう? 不安や焦りが募り、終わらなかったときには罪悪感が押し寄せる。それは、心を縛りつける鎖のようなものだ。
「やらないこと」についてはあれだけ威勢よく語れるロイドも、キックボクシングについては、不安で歯切れが悪くなってしまう。やることが分かっていても、やりたいという気持ちがどんなに強くても、それだけでは目標に届かないことを知っているからだ。
この不安を軽減するために、ロイドはまずやらないことを決めたのだと思う。やりたいことに集中して向き合うために、見なくていいもの、考えなくていいことを意識的に決め、心と時間の余裕を作ったのだ。
ToDoリストが義務感を生むのに対し、やらないことリストは逆に、選択肢を排除して自由を与えてくれる。それは、忙しい現代における救いのツールだ。
私が「やらないことリスト」に入れているのは、この3つ:
誕生日には仕事をしない
→ 大した理由があるわけではないが、そう決断した。この日だけは何があっても休めるという心の余裕が生まれ、他の日の仕事のモチベーションが上がる。急な休日出勤の要請も、気持ち良く引き受けられたりする。また、家族が合わせて休みを取ってくれるようになったので、家族と過ごす時間が増えた。
家で揚げ物はしない
→ 面倒くさがりの私は、揚げ物の油の始末を3ヶ月しなかったことがある。油の入った鍋を見るたびにストレスになっていたので、食べたいなら買うと、決めた。料理が楽になったし、コレステロール値も下がった。たまに買って食べる時の特別感も高まる。
バスや電車で年上の人がいるときには座らない
→ 席を譲って断られたら恥ずかしいな、私も今日は疲れてるから座りたいし……と悩む時間を手放した。目上らしい人が視界に入ったら、立つ。モヤモヤしながら座って読書を続けるよりも、よっぽどすっきりする。
ToDo リストと違い、毎日作り直す必要がないし、毎日使うわけでもない。例えば、空いている電車に乗っている時は、特別他の乗客に注意を払うこともしない。ただ、ちょっと悩んでしまいそうな状況が近づいてきた時、悩み始める前にさっと助けてくれるのが、「しない」と決めていることだ。
「やらないこと」をひとつ決める。それは、意識の断捨離だ。断ち切った分だけ、心には余白ができ、そこに新しいアイデアや未知の可能性が舞い込む。そしてその余白こそが、人生の醍醐味を引き寄せる力になる。
私がもしリストに何か追加するとしたら、「帰宅後は、仕事のメールは開けない」だ。この小さな決断が、どんな未来を引き寄せるだろう? モノが散らからなくなり、心地よい空間で新しい趣味に挑戦する時間が生まれるかもしれない。リストに新しい項目を加えるたび、人生が少しずつ変化していくようで、わくわくしている。
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