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不機嫌な人を笑顔にできる?!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:関谷陽子(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
ああ、心から懺悔をしたい。
衛藤先生、ごめんなさい。あの時、心の中で「しょせんキレイゴトでしょ」って思っちゃって。
 
 
ドラッグストアの薬剤師としてパートを始めて、やっと2年になる。
その前は調剤薬局、さらに前は会社員をしていたから、ドラッグストアの業務としてはやっと慣れて、一通りのことはスムーズにこなせるようになってきた。
薬剤師とはいえ、基本的な仕事は他の皆さんと一緒。レジをうち、商品を並べ、担当する商品の発注をする。
中でも多いのは、レジ作業。基本的には1時間交代で、レジの時間がくる。
私の勤務時間は夕方から夜にかけてなので、主婦や会社員の人が多い時間帯。
 
 
ドラッグストアのパートを始めて、驚いたことがある。
レジにくるお客さんの多くが、なんとも不機嫌なのだ。
 
 
目を合わさないのは当たり前。笑顔なんてもちろんなく、それどころかなんだか妙に喧嘩腰の人もいる。
「レジ袋はご入用ですか?」の質問にも、「大丈夫です」と答える声は、さながら自動運転のよう。時々本当に自動で答えているみたいで、精算後に「袋は?」と聞かれることもある。
ええと、あなたが大丈夫って言ったから、つけてないんですけど?
 
 
なんでこの人たち、こんなに不機嫌なんだろう。
 
 
でも、私も反対側だった時は、そうだった気がする。店員は、なんでも知ってて当たり前。聞いたことにすぐ答えるのは、当たり前。分からないとか、時間がかかるとかに対しては、「仕事なめてんのか」くらいに思っていた頃があった。
 
 
ああ、ごめんなさい、あの時の店員さん。
そう思うとともに、同じくらい思い出すのが、ある心理学の講座での話。
 
私は数年前、民間の心理学スクールで学んだ。理由を簡単に言えば、体の健康だけではなく、心の健康に関しても、以前から興味があったからだ。
そのスクールの人気講師は、解説者でもある衛藤信之先生。
説明するのが難しいココロの仕組みを、世界で一番わかりやすく、そして面白く教えてくれる先生だ。
 
その衛藤先生が、ある日の講義でこんなことを話したことがある。
 
「人から与えられることを望むのではなく、自分から与える人になってください。
 自分にはそんなことが出来ない、と思う人もいるかもしれない。
 でもね、コンビニのレジで、バスを降りる時に、店員さんや運転手さんに、とびっきりの笑顔でお礼を言うだけでもいいんだよ。
 もしかしたらその店員さんは、あなたの前のお客さんに強い口調で責められて、心が疲れているのかもしれない。
 そんな時にとびっきりの笑顔でお礼を言われたら、嫌な気持ちが吹き飛んで、笑顔になれるかもしれないからね」
 
 
素敵な話だな、と思った。
でも、アマノジャクな私は、「でもま、出来すぎてる話だよね。しょせんキレイゴトでしょ」とも思ったのだ。
 
とはいえ、尊敬する衛藤先生のおっしゃったことだし、素敵だなと思ったのも事実。
それ以来、できるだけお店の人や運転手さんなどに、お礼や挨拶をするようになった。ぶっきらぼうで、少しでもアラを出したら追求してやるぞ、という厳しい私とはお別れをした。
私も与える人になりたい。そう思ったから。
 
キレイゴトだけど、それに載ってあげよう。
そんな気持ちでいた。
 
そして現在、私はレジをうつ店員の側になり、ぶっきらぼうで、不機嫌で、ピリピリしているお客さんが多いことにめちゃくちゃ驚いた。
あのう、もしかして私って、あなたの親の仇ですか?
思わずそう尋ねたくなるくらい、みんな怖い顔をしている。
 
でも、素敵な笑顔でやりとりをしてくれるお客さんもいる。ほんのわずかだけれど。
そして、そんな笑顔で対応された時、本当に心から癒され、ほっとすることが分かった。
今まで怖い顔をして、なんならイライラした声でいろんな要求をされたことなんて、一瞬で吹き飛んでしまう。
そんな素敵な笑顔の人もいた。
 
それに気がついた時、心からザンゲした。
衛藤先生、本当にごめんなさい。キレイゴトなんて思ってごめんなさい。
あなたが教えてくれた通りでした。笑顔って、こんなに力があるものだったんだ。
 
 
ザンゲの気持ちをしっかり表すために、今度はお客さん側にいる時も、満面の笑顔でレジの人に挨拶とお礼を伝えるようになった。
そうすると時々、無表情なレジの人が少し微笑んでくれることがある。そんなことが嬉しくなった。
 
そしてレジをうっている時も、やっぱり満面の笑顔で対応するようにした。
怖い顔をしている人も、アラ探しのようなイチャモンをつけてくる人も、きっと普段からストレスが溜まっているんだろう。
だから、笑顔を作る余裕がない。もしくはストレスをぶつけて、発散している。
そんなストレスフルな人たちが、少しでも心がやわらかくなったらいいな。そんな気持ちで、精一杯の笑顔で対応するようになった。
 
もちろん、ほとんどが事務的なやりとり。終始こちらの顔を見ない人もいるし、逃げるようにさっさと立ち去る人もいる。
でもたまに、最後の最後にお互いの目があって、少し遅れてちらりと笑顔を見せてくれるお客さんが、時々いる。さっきまで、本当に私を親の仇のような態度で接していたのに。
そんな時は、「ストレスまみれのあなたの心が、少しでも柔らかくなりますように」という思いが少し通じたのかな、と思って、めちゃくちゃ嬉しい。
 
そして、最初から笑顔が素敵な人に対しては、今日この後、良いことがありますようにとつい願いをかけてしまう。きっと、他にもそう思っている人がいると思う。
だからきっと、あの人は毎日、素敵なことが起きているに違いない。
 
笑顔で対応する、それだけで人を幸せにできる。
そればかりか、人から幸せを願われる人になれる。
こんな安上がりな上手い話はきっとない。ああ、先生、本当に私が浅はかでした。しっかり反省して、実践しているので許してね。
 
 
 
 
***

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2024-12-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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