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地酒祭で探す、新たな出会い


 

 

 

 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:井上今朝(ライティング・ゼミ、2026年1月開講、通信、4ヶ月コース)

 

ホテルの広間の壁にずらりと並んだ一升瓶と蔵元の人たち。

今日を楽しみに仕事を頑張ってきたと言っても過言ではない。

北海道の室蘭市にある、歴史ある酒販店が主催する地酒祭の日。

私の住む地方都市でこんなお祭りが開かれるとは。

そして、小さい子どもを連れて参加できるとは。

 

私は日本酒が好きだ。

明日世界が終わりなら、最後の晩餐は握り寿司(握ってくれる人がいるのか、という問題はあるけれど)と日本酒が良い。

 

初めてのお酒は、親の飲むビールを少し味見させてもらって苦いと思ったとき。

次は大学生。

大衆居酒屋で部活の先輩に飲まされた金魚鉢に入ったチューハイ、ビール、熱燗。

美味しいとは思わなかったけど、それは先輩たちと同じ世界に入れた気がして嬉しかった。

日本酒が美味しいと思ったのは働き出してから。

職場の同期と自分のお金で飲みに行ったお店は、和食とそれに合う日本酒を出してくれるお店。

飲みながら仕事に対する愚痴を言いまくっていたけれど、美味しいご飯とお酒はなんだか慰めてくれるというか。

お料理とお酒を合わせるという妙、それまで知らなかった知識を教えてくれる場所。

知的好奇心をかきたて、ネガティブな気持ちを吹き飛ばしてくれるような非日常な世界で、それに救われてきた。

 

ちゃんと勉強してみたいと思っていたとき、地元の日本酒バーで講座を開いていることを知った。

最大5人しか座れないカウンターに並んで座ると、毎回3本の日本酒が準備されている。

お米と水で造られた透明な液体は、どれも同じように見えるけど、比較することで見えてくる違いがある。

配られたシートに、お酒の色、香り、味を記録していく。

日本酒には4種類の分け方があり、それぞれ爽酒、薫酒、醇酒、熟酒という。

爽酒は、醸造酒や生酒で、軽快でなめらかなタイプ。

薫酒は、吟醸酒に代表される香りの華やかなタイプ。

醇酒は、純米酒や生酛造りの、ザ・お米なコクのあるタイプ。

熟酒は、その名の通り熟成された古酒で、普段はあまりお目にかからないタイプ。

私は、りんごやマスカットのようなにおいがする、香りの良いお酒が好きだと思っていたけど、飲み比べてみると、どれも良さがある。

その講座のみんなで、「日本酒ナビゲーター」という初心者向けの資格を取りに行った。

なんだ、その資格は。 

と、私も最初は思ったけれど、唎酒師(ききざけし)の弟分的な資格だそうだ。

難しくはなく、半日セミナーを受けるだけで資格が取れる。

日本酒の4種類についての講義もあり、実際にお酒を飲んで勉強できるのも良いところ。

料理とのペアリングも少しだけ体験できる。

私が勉強させてもらっていた日本酒バーの女店主は、唎酒師のさらに上位である酒匠(さかしょう)の資格を持っていた。かっこいい。

その講座へ通うのが、妊娠するまでは月1回の楽しみだった。

 

妊娠・出産・育児の間は、先輩たちから聞いてはいたものの、不思議なくらいお酒を飲まなくても大丈夫になった。

私、こんなに早く起きられるんだ。

頭がなんだかスッキリしている。

お酒のせいで今までなんて時間を無駄にしていたんだ、とまで思った。

けれど、子どもが卒乳したら、その気持ちはどこかへ行ってしまった。

 

普段は週末に自宅で飲むか、夏なんかは外で飲むこともあるのだけど、今回のような大きな規模のお酒のお祭りに参加できるのはなかなかない機会だ。

我が家の他にも子どもを連れて参加している人がちらほらいた。

20蔵ほどが、自慢の日本酒を携えて北海道までやってきてくれている。

酒蔵のある都道府県、銘柄、造り方などが一覧表になっている紙が配られる。

それを頭に入れてから、小さなおちょこを片手に各蔵の前に行き、蔵元の人から説明を聞きながら、飲み比べていく。

ひとくち、ふたくちくらいの量がちょうど良い。

 

そういえば若い人たちの結婚相手の選び方が変わったなあ。

私の場合、20代〜30代は職場を1-2年毎に転々としており、相手を見つけるのに苦労した。

当時とあまり変わらない環境にいる後輩の子たちからも結婚に関する話題はよく聞く。

でも私の時と違うのはマッチング・アプリがかなり活用されていること。

職場や趣味の場所などで出会った人がどんな人か、理解していくのは時間や手間がかかる。

年齢や職業、趣味、はたまた年収など詳細なプロフィールがあれば、効率よく自分に合いそうな相手を探せるのかもしれない。

 

お酒も種類を知り、その特徴から絞り込むと、自分の好きな味わいには辿り着きやすくなる。

結婚相手はたいてい一人を選ぶけど、好きな日本酒はいくつあっても良い。

今回集まった日本酒は、「酒は純米、燗ならなお良し」という先人の精神を引き継いでいるせいか、熱燗で提供する酒蔵が多かった。

春とはいえ、まだ寒いから木箱のお湯に浸かったチロリが可愛らしく並んでいる姿を見ると、気持ちまで温かくなった。

にごり酒を燗にした福井県のお酒、美味しかった。

島根県からも酒蔵が来ていた。

今年、家族で旅行しようと思っている出雲大社から歩いて10〜15分のところにあるという。

こちらも燗酒でおだやかな米の味。

旅行のときは行ってみよう。

新しいお酒を知ると楽しみも増える。

人生を楽しませてくれるお酒。これからもよろしくね。

 

≪終わり≫

 

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