広島に原爆が落とされた日を知っていますか?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:ひーまま(2026年ライティング1年完全習得パスポート)
今年は、広島に世界で初めて原子爆弾が投下されて81年目になる。
今年も例年以上に暑い夏の一日だった。
被爆81年、広島市は平和記念公園で、原爆死没者慰霊式・平和祈念式典を行った。
朝から猛暑の中、世界中から平和公園には5万人ものひとが集まっていた。私も朝から家族4人で式典に向かった。
今年は小学1年生の孫もリュックを背負って平和公園を目指した。
主人は被爆2世、娘が被爆3世になるから、孫は被爆4世になるのだ。
ここ数年は式典に参加するには、平和公園の入り口に設けられた数か所のゲートを通過しないと公園内には入れない。
知ってはいたが、思うよりも早く一か所のゲートはすでに閉められており、私たちはメインの平和公園入口の方へと遠回りで向かった。
川沿いを歩いていると、高市総理が参加するからなのか、大勢の警察官と広島市の職員で数メートルおきに人間バリケードのようになっている。
7歳の孫が「おはようございまーす」と元気に声をかけながら行くと数人の警察官が「おはようございます」と返事をしてくれた。
孫もニコニコ嬉しそうだ。
平和公園入口のゲートはすでに長い列ができていて、8時15分の黙祷に間に合うだろうかと内心ドキドキしていた。
すでに屋根が設置されている席には入れず、大勢の人に混ざって、原爆投下時間の8時15分、一分間の黙とうをささげることができた。
世界各国の大使や要人が、今年は過去最多の123の国と地域から参列したという。核保有5大国のうちイギリス、フランスの大使が出席したが、アメリカは駐日大使が欠席、代理での出席となった。
現在の世界情勢の中では難しかったのか、ロシアと中国は欠席だった。
それが今日の情勢だが、平和公園の中は民族も、宗教も、老いも若きも言葉の違いさえ超えて、世界が平和になりますように。
世界の平和が実現しますように。
一日も早く世界から戦争が無くなりますように。
と一つの祈りがあふれていた。
後から様々な評論も解説も出てくるだろう。
新聞やテレビニュースも出るだろう。それでも2026年8月6日の朝は、人類が一つになって平和の祈りをささげた事実は変わらない。
平和祈念式典では、広島市の市長が毎年平和宣言を行う。
「核廃絶へ行動を」
「核なき世界へ行動を」とまとめた。
核兵器を、脅しの道具に使う世界の為政者は、まず広島へ来てほしい。
そして、既に平均年齢が86歳を超えた、被爆者の真実の声を、話を聞いてほしい。被爆の実相をまず知ってほしい。
私は、3年の研修を経て昨年末から「被爆体験伝承者」の認定を受け、平和記念資料館や修学旅行生の子供たちや、依頼があれば県外へも出向いて「被爆体験伝承の講話」をしている。
今年8月5日に、介護施設の「平和を語り継ぐ会」に呼ばれて講話をしてきた。
80名ほどの、身体に何らかの障害を持つ10代から70代の人たちが被爆の伝承を聞いてくれた。
車いすの人や、じっとしておられない人、耳が聞こえない人もいて、施設の担当者は恐縮していたが、私が早めに会場に入ると、多くの参加者が興味深々と言った風情で待ち構えてくれた。
会の実行も、その施設の利用者さんで、一生懸命にプログラムを考えてくれたことが伝わってきた。
講師としての紹介が丁寧にあり、私は「じっとしてなくても大丈夫です。大きな声が出ても大丈夫ですから、耳だけを傾けてくださいね」と1945年8月6日に広島で何が起きたのか、その後4日間の当時5歳10か月だった廣中正樹さんの体験のお話をした。
予想に反して、80人の障害を持った人たちが、実に真剣に一生懸命に話を聞いてくれたのだ。
講話中、私の目の前に座った少年は、私と目が合うたびにガッツポーズをしてくれて、うんうんと聞いている。
原子爆弾が炸裂して、地上の温度は3000度から4000度にもなり、半径2キロ以内の人間は大やけどをおいました。
少し強烈な写真や絵をパワーポイントで見せながらの話だが、真剣に聞いていることが伝わってくる。
廣中正樹君は、普通の朝が始まった夏の暑い日に、お父さんが爆心地近くを通過していた市内電車の中で被爆し、夜までかかって必死に家まで帰ってきたのだった。
背中に突き刺さった無数のガラスを抜いてくれと、5歳の息子に頼み、5歳の正樹君は、必死にペンチも使って抜こうとするのだが「おとうちゃん僕にはぬけんよ」とお母さんに代わってもらったのだった。
翌日、お父さんは36歳の若さで亡くなってしまう。
お父さんの遺体をほかの何十人の人と一緒に荼毘に付し、お母さんと一緒にお父さんの勤務先まで死亡の連絡に行ったのだった。
5歳の正樹君の見たままの4日間の話をして、最後に被爆者としての平和への想いを伝えた。
核兵器を作らないでください。
二度と戦争をしないでください。
一人一人の命は家族の宝です。命を大事にしてください。
世界中の人と話をして平和な世界を作ってください。
講話が終わって、何人かの人が感想を伝えてくれた。
「平和公園に行ったことがあります。あそこはお墓じゃね。たくさんの人が死んだのがわかりました」
「戦争は絶対にダメだとわかった」
「正樹君の話は大事だと思った」
そして「戦争はどうしたらなくなりますか?」
という素直で直球の質問で締めくくられた。
私は
「ニュースを見ても世界を見てもまだ戦争が無くなっていません。私個人の考えだけど、私は自分の中に戦争があると思っています。まだ嫌いな人がいるし、ケンカもします。だからなるべく自分の中からは戦争をなくして、どんな人とも話し合っていきたいと思っています。今日の話を平和の種にしてみんなで平和の花を咲かせたいと思います」と答えるのが精いっぱいだった。
身体が不自由でも、障害があっても、戦争と平和について何かやりたい。自分たちにできることは知ることからだ。との思いから被爆体験伝承者を呼んだと言っていた。
平和に向かって何か動こう。
みんなで語り継ごう。
暑い今年の8月5日と6日だった。
「世界平和のレシピノート」完成できるようにと祈った日でもあった。
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