還暦を迎えるので、一先ず車を紅くしてみた
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記事:山田THX将治(ライティング・ゼミ特講)
私は年明け早々に“還暦”を迎える。本心では、迎えてしまうと感じている。
周りからは“よく60年間もバカをやり続けられるものだ”と感心されている。
先に齢を重ね“還暦”を迎えた友人達の中には、還暦の定番“赤いちゃんちゃんこ”を家族から贈られた者も居る。余程嬉しいのだろう。笑顔の写真を、SNS等に上げて喜んでいる。
しかし、どう見ても“赤いちゃんちゃんこ”を着て微笑むオッサンの顔は、‘好々爺’に成り下がった様に見えて宜しくない。同じ思いの者は、赤いベストや下着、夏生まれの者は赤いTシャツなんぞをもらっている様だ。
もっとも、子供が居ない私には、“還暦祝い”を贈ってくれる家族・親族が居ないので、赤い変な物を贈られる心配も無いのだが……
ただ、天狼院やその他の集まりで、私のことを親愛の情と共に‘年寄扱い’してくる若者も多い。そのような者達に私は、
「来年は“還暦”だから、赤いものをくれ。ちゃんちゃんこは実用性が無いし、赤いベストやシャツは複数持っているからもう結構」
「欲しい‘紅い物’はただ一つ。紅い車だ。それも車高が低くて、馬が跳ねたエンブレムがついた車」
と注文だけは付けておいた。
多分、年明けの誕生日には、嫌という程“フェラーリ”のミニカーが届くことだろう。今でも腐る程、持っては居るが……
紅い車が贈られることは先ず無いだろう。何せ、価格が円建てで8桁になるのだから。そんな訳で、待っても来ない“紅い車”を待って居られないので、自分から車を“紅く”してみた。勿論、“フェラーリ”を買ったのではない。買える訳が無い。
“紅く”したのは、いつも‘足’として使っているコンパクトカーの方だ。しかも“紅く”塗装し直したのでもない。前の車と同じ車種なので、思わずそう思われそうだが、買い直した全く別の車だ。
実は、これまで乗っていた車が、車検を前にしたこの夏、突如として調子が悪くなってしまったのだ。始めは、始動時にブレーキが‘異音’を起こした。その内、ブレーキ音は収まったものの、今度はフレームから‘軋み音’がしてきた。9月に車検が来るので、その時にまとめて直してもらおうと考えていた。
ところが、夏真っ盛りの今年7月末、突如としてエンジンがストール(止まる)したのだ。それも、都心の都心“霞ヶ関の丁度、外務省の前でだ。慌てて何度か、エンジンの再起動を試みたところ、何とか復帰した。その数日後、今度は引っ越した先の近所に在るホームセンターの駐車場手前のスロープで、再びエンジンがストールした。今回は暫く(30秒程)そのままにしたところ、何とかエンジンを再起動させることが出来た。
いよいよこれはマズイと考えた私は、友人が営む自動車工場へ向かった。車の症状を報告すると、CVTという変速機の一部が滑っており、交換修理が必要とのことだった。車検費用を加えると、別の中古車に買い替える方が得策とのことだった。
ここ迄7年間、大事に乗ってきた車だったが、流石に12万kmの及ぶ走行距離は堪えた様だった。しかも、長距離を走る訳では無く、都内をチョコマカ走ることは相当のストレスを車に掛けていた様だった。
毎日の様に乗っていた私の愛車は、残念ながら買い替えとなってしまった。
折角買い替えるのだが、金銭的な問題から新車には出来ない。それならせめて、同じ年式の同じ車種にしようと私は考えた。そうすれば、車両感覚は変わらないし、新たに装置操作を覚える必要も無いからだ。
そして、“還暦”を迎えるので“紅い”色を探してもらった。幸運にも“紅い”同車種が、簡単に見付かった。しかも、“紅い”車に乗っていた前オーナー女性で、とても丁寧に乗っていらしたらしく、価格の割にはとても程度が良かった。
この車の写真をSNSに上げたので、これで誕生日に“紅いミニカー”が来る数は減ることだろう。
でも本心で私は、やはり“紅い跳ね馬”の付いたスポーツカーが欲しい。
この記事を書くにあたり、“還暦”を辞書で調べてみた。新しい発見が有った。
120歳の祝いを“大還暦”というそうだ。後60年先だ。
それだけの年月が有れば、周りの人達も出世しているだろうから、一人くらい私に“フェラーリ”をプレゼントしてくれる‘奇特’な人が出て来るかもしれない。
それに期待して、長生きを目指そう。
あ!!
120歳のお爺ちゃんじゃ、“フェラーリ”の固いクラッチが踏めないや!
前言撤回。
私、年明けに“還暦”を迎えます。
“紅いスポーツカー”をプレゼントしてもいいという‘奇特’な方を、絶賛募集中です。
勿論、来年でも、再来年になっても構いませんから。
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