試してみたら本当だった！夢を叶えるパスワード
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：村田 真知子（ライティング・ゼミ平日コース）
20代の頃、私の夢はアジアのいろんな国を旅することだった。その夢は、毎日行う何気ない行動で見事に叶った。
大学を卒業してから5年間、私は日本とアジアの国々の交流をテーマにした博物館で働いていた。担当したのは、中国や韓国、タイなどの日本と交流があった国々の日用品や衣装、楽器を展示し、体験を通してこども達に紹介するコーナーだった。アジアの国々には日本と似ているものもあれば、全く違うものもある。それをこどもたちに紹介して「すごい！」「おもしろい」と喜んでもらえることはとてもおもしろく、やりがいを感じていた。ただ、私にはコンプレックスがあった。一度も海外へ旅行に行ったことがなかったのだ。展示や企画を考えるときは、本を読んだり実際にその国へ行ったことがある人から話を聞いたりして形にしていた。だから、どんなに上手く紹介ができても、頭のどこかで自分の体験ではない話に薄っぺらさを感じていた。アジアの国の文化を知れば知るほど興味はわいていく。しかし未経験の海外旅行にはどうしても腰が重い。「お金がない」「英語があまり話せない」「どの情報を頼りにしていいのかわからない」とできない理由ばかり考えて、なかなか一歩が踏み出せないでいた。いつまで経っても夢を達成できない自分に「やっぱりできないじゃないか」と、自信をなくしたまま博物館の任期を終えてしまった。
ある日、インターネットのサイトをパラパラと見ていると、ある記事のタイトルが目に飛び込んできた。「パスワードを自分の目標にしたら人生が変わった」というものだった。その記事によると、パソコンなどにログインするときのパスワードに目標を設定すると、それが達成できるというものだった。実践した人の話によると、それ実践したお陰で離婚した前の奥さんを許すことができ、禁煙に成功し、行ってみたかったタイに旅行することができた。そしてさらに、新しい彼女にプロポーズできたと書いてある。ただ、1日２食のダイエットだけは成功しなかったそうだ。「そんな上手い話が本当にあるのかな？」と半信半疑だったが、試しにパソコンのパスワードに目標を設定してみることにした。
私が設定したパスワードは、「asiahego2015」＝「2015年にアジアへいく」という目標だ。私は毎日、ログインするときに「asiahego2015」と頭の中でつぶやきながらキーボードを叩いた。もちろん、それによってくじ引きで海外旅行が当たる訳ではなかったし、友達から海外旅行へ誘われることもなかった。しかし、毎日打ち込んでいると次第に意識が強くなったのか、数ヶ月後には博物館の後輩とミャンマーへ旅行する約束をしていた。初めての海外旅行だから、誰かと一緒に行きたい。しかし、ツアーではなく、マニアックなところを観たかったので、それに共感してくれる後輩を半ば強引に誘ったのだ。私たちは気が変わらないうちに、2016年2月のミャンマー行きの飛行機のチケットを予約した。
よし、これで安心して初海外旅行に行ける！と安心していたら、思わぬ形で人生初の海外旅行を一人で行くことになる。目標通りの2015年に。
当時、私には会いたい人がいた。森本喜久男さんという染織家で、カンボジアの伝統的な織物を復活させるために現地の人々と森を切り開いて織物の村をつくった人だ。テレビ番組でその生き様を知り、そしてがんで余命少ないことを知った。まだお元気なうちにカンボジアでお会いしたかった。
森本さんのFacebookをフォローしていたところ、ある日、驚きの知らせが届いた。森本さんがカンボジアで染め物のワークショップをするというのだ。日程はミャンマーへ行く1ヶ月半前の2015年12月。定員はたったの６名。「憧れの森本さんに染め物を教えてもらえる！」という期待と、「初めての海外旅行がひとり旅になってしまう！」という不安で頭の中はパニックになった。いったん落ち着こうと、Facebookを閉じ、考えに考えた。「後悔はしたくない。どうにかできるはず！」そう自分に言い聞かせ、参加申し込みのメールを送った。
２ヶ月後、私はカンボジアの村で森本さんから染め物を教えてもらっていた。夢のような本当に幸せな5日間だった。
その2年後の2017年7月、森本さんは永眠された。
私は、毎日の忙しさに流されやすいタイプだ。「やりたい！」とそのとき思っていても、いつの間にか忘れてしまっている。そんな私が、毎日パスワードに目標を入力したことで、目標を達成するために積極的にアプローチしていた。そして突然チャンスが現れた時に、高いハードルがあっても諦めずにチャレンジすることができた。さらに、これまでできていなかったことを達成したことで、自信にも繋がった。自分でも信じられないことに、昨年はインドネシアへ海外ボランティアに行くことができたのだ。気づけば2015年から毎年海外へ行っている。どうやら毎日入力するパスワードは、新しい自分にログインするためのパスワードになってしまうようだ。
私はまだまだアジアの国へ行きたいし、アジアの文化に関わる仕事にもチャレンジしたい。やりたいことは山ほどある。新しいパスワードで次はどんな自分にログインできるのか楽しみだ。
＊＊＊
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/57289
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠２階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね！」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
