人生100年時代をタフに生き抜くために身につけておきたい「健康リテラシー」とは?
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記事:関口祐介(ライティング・ゼミ木曜コース)
近頃よく聞かれるようになった「人生100年時代」というキーワード。
厚生労働省の発表によると、今年の9月1日時点で100歳以上の高齢者の人口は約7万人となり、48年連続で過去最多を更新したとのこと。日本でもベストセラーとなった経済書「LIFESIFT」では、世界的に平均寿命は伸び続けており、2007年生まれの日本人の約50%がなんと107歳まで生きるとの未来予測を紹介している。私には3歳になったばかりの娘がいるのだが、彼女が100歳超のおばあちゃんになった姿をうっすらと想像してみる。はて、100年後はどんな世の中だろうか……。
私は楽観的なので、長生きすれば楽しいことが増えて良いよね! なんて能天気なことを考えていたのだが、雑誌オレンジページが実施した「人生100年時代」に関するアンケート調査をみると、世間の大多数はどうもそうではないようだ。
「自分は100歳まで生きたいと思いますか?」の質問に対し、「生きたい」と答えた人が12.6%で、「生きたくない」と答えた人が65.4%にものぼる。つまり、ほとんどの人がそんなに長生きしたくないと答えているのだ。そして、「長生きするには何が必要だと思いますか?」の第一位が「健康」、次に「お金」、そして「趣味・楽しみ」と続く。「100歳まで生きることに、どんな不安がありますか?」の質問にいたっては、答えのほとんどが「老化」に伴うカラダの機能に対する不安だった。2025年には団塊の世代が後期高齢者世代となり社会保障費が急増、医療も介護も絶対的な人手不足になると言われている。だから自分で何とかしなければならない。頭では分かっている、でも……。そんな不安を如実に示しているアンケート結果だと思った。
事実、健康ブームなどと言われて久しいが、現代人が以前より健康になったという話は聞こえてこない。世の中には、カラダに良いとされるモノ、コトに関する情報は溢れている。テレビの健康番組はゴールデンタイムに放映され、視聴率も軒並み良いと聞く。インターネットの普及により、自分で情報を収集し、比較することは容易になった。しかし、その多くは、断片的で偏ったものばかりに。どの情報が信頼性の高いモノなのかを見極める事が難しくなったともいえる。情報に触れる頻度が増えれば増えるほど、自分にとって最適な情報を選び取るのは難しくなる。つまり、一体何をして良いかわからない。多くの人が将来の健康問題に対して漠然とした不安を抱えるのは、まさにここに理由があるのではないだろうか。
では、人生100年時代を生き抜くための「健康リテラシー」とはどういうことか? ヘルスケア業界に身を置き、近年は健康教育に携わる私の立場から提言をしてみたい。
世にあふれる健康情報の中で迷子にならず、自分にとって最適な情報を選び取っていくために必要なこと―。それは、日頃から自分自身のカラダに興味をもち「セルフチェック」することだ、と確信している。1日24時間365日、人間の体内環境は常に変化しているのだ。セルフチェックの習慣を持たずに人生を進むことは、海図とコンパスを持たずに大海原に冒険に出かけるようなもの。自分の現在地を知らなければ、正しく航海はできない。
セルフチェックと聞くと「毎年欠かさずに健康診断に行っているから大丈夫」と安心する人がいる。確かに、医療機関等で定期的に検査をすることは大切なことだ。しかし、健康診断を受けているから安心、という思考は十分に注意しなければならない。多くの人が勘違いをしてしまうのだが、健康診断は健康になるために行くところではない。自分のカラダに悪いところがないか検査してもらうために行くのだ。逆に言えば、病気を見つけるための機会でもあるのだ。しかし、よく考えてみて欲しい。カラダの状態を知るのが1年に1回で十分だろうか? 毎日食べるものも違えば、カラダを動かす頻度、ストレスの度合いも違う。お天気だって体調に左右するのだ。病気はある日突然やってくるものではない。小さな不調が積み重なり、やがてその不調が慢性化し、大きな病気となって身に降りかかる。だからこそ、カラダの小さなサインを見過ごさず自ら調整する力を磨くのだ。それは食事を変えることかもしれない。運動することかも知れない。しっかり眠ることかもしれない。人間のカラダは一人ひとり違う。巷で流行っている健康法は決してあなたにとって最適な健康法であるとは限らないのだ。
人生100年時代では誰もが年を重ねることに無頓着ではいられない。バランスのとれた幸せを享受していくためにも、自らが健康であるということは、すべての土台になる。だからこそ、国や医療に過度な期待をすることなく、日頃から自分のカラダを確認し、適切なセルフケアを行う自立した意識が必要なのだ。
私は現在44歳。100歳まであと56年。できれば元気でひ孫と戯れていたい。そんな未来を見据えて、タフに生きねばならい。自戒を込めて。
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