痛みの原因は?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:前田尚良(ライティング・ゼミ日曜コース)
「痛え、また固いもの踏んじゃった」
とにかく激痛がする,歩くと両足にだ。
私は仕事上一日中歩いたり小走りで走ったりする。
時にはエレベーターのない階段も物を持って登る。
一日平均一万2千歩から多い時で二万歩近くも歩いている。
この仕事を続けて、歩くということはいかに健康上大切なことか身をもって理解できた。
以前の私は冷え性で血圧も低く血の巡りも悪かった。
かつては風邪もよく引いていたが歩くことで最近は風邪も引かなくなった。
しかし「歩く」ことの副作用がここ最近出始めてきたのだ。
歩いたり走ったりする時はかかとを上げて地面を蹴って前に足を運ぶことが多いはずだが、その時に一番重心がかかる足裏の部分に激痛がはしるのである。
感覚で言えば常に小さいサイズのサイコロを直接踏んだような状態で最初まめができたのかなと私自身は考えていた。
というのも少年野球時代によくバットを振っていると手の裏にまめができ、その部分の皮膚が固くなってきた経験があるのだが、そのようなものだと思っていた。
「それにしても、この常に石ころかサイコロを踏んだような状態ってなんなんだろう、まめにしてはおかしいな」
足裏を触って確認してみると痛くなる部分が固くなっており、そこを強く押してみるとこれが痛みの発生原因であることははっきりわかる。
最初のうちは我慢しながら仕事を続けていたが、だんだん酷くなってきているようで気になり始めてから数か月、ついに我慢ができなくなってきた。
長期で休めば多少回復するのかなとも考えたが、仕事上それも難しい。
なるべく足裏の指に近い部分に重心がかからないよう、かかとから着地して地面を強く蹴らないように足を小走りして運んでいく。
それでも何か固い突起物が足裏に当たった時には激痛が走った。
靴の中にティッシュを固めたものを痛みが走るあたりに入れてみた。
多少は楽になるようであるが、この仕事はすべての場所を土足で行けるわけではなく場所によっては土禁の場合があり鉄筋コンクリ―ト造りの階段を上り降りしなくてはならない。
その時は悲鳴を上げそうになる。
足裏の生地の厚い靴下を履いてみたが、それでもあまり効果はなかった。
ネットで原因を検索してみた
「脳や脊髄に関係のある中枢系の痛み」とか「足底筋膜炎」であるとかたいそうな症状がアップされている。
「いやーそこまで大げさな症状じゃない、まめのようなものだ」
私は勝手にそう判断してというか、そもそも医者にいくのが怖いのだ。医者に行くにはちょっとした覚悟がいる。
なのでドラックストアに行き、薬剤師に足裏を見せて相談してみた。
「うーんはっきりしたことはわかりませんが、まめであるならこのような絆創膏がありますが」
薬剤師はそう言って絆創膏を勧めてくれた。
これで解決したような気になり勧められた絆創膏を買って貼り付けてみたがあまり効果はなかった。
「うーんまいった、もうこれは病院に行くしかないわ」
とうとう私は腹をくくった。
病院に行くのなら外科か皮膚科か?
とりあえず、まめであるのなら皮膚科だろう、さきほどのドラッグストアから数百メートル離れた場所に皮膚科の開業医が存在していたので妻に相談してみた。
妻はアトピー性皮膚炎の持病を抱えていて、以前その皮膚科の病院に行ったこともあったが、ステロイド剤を勧められただけでそんなに良い医者ではなかったと助言してくれた。
妻はステロイド剤の深刻な副作用で痛い目に合った経験をしていたこともありそのようにアドバイスをしてくれたが、私にとってはたかがまめであるのでそこまで深刻じゃないだろうと、その皮膚科で診察してもらうことにした。
皮膚科に行き初診のアンケートのようなものを書き、順番を待った。まもなく私の順番になり医者にあらいざらい症状を説明した。
「じゃあーその足裏を見せてください」
医者はそう言ったので私は「まめの部位」を見せてみた。
とうとう運命の瞬間がやってきたのだ。
「手術になるのか、それなら麻酔かけて切られるのかな」
私は内心びくびくしていた。
「うーん、こりゃ魚の目だね、うん間違いない」
医者はそう軽いタッチで診断した。
「魚の目」
聞いたことはあるがそれがこんなにも痛いものであるとは。
医者はその特徴としてまめの中心部分が魚の目のようになっていることを説明してくれた。
「じゃーそこのベッドにうつ伏せになってください」
と医者はそう言って後の処置を若い看護婦にまかせたようである。
「え、どう処置するんだろ」
私は不安になったがそのように従うしかなかった。
まな板の上の鯉の気持ちがよくわかる。
うつ伏せになると当然足裏が上方に見える状態になるがどのように処置するかは私の角度からは見えない。
ただきれいだとは言えない足裏を若い看護婦に触られるのは気恥ずかしかった。
「まあそこまで足臭くないし、それどころじゃないか」
直接どう処置しているかは見えないのだが、どうも固くなった部位をカミソリのような刃物で削っているようだ。
「あれ、痛くないな。麻酔いらないんだ」
少しほっとした。
見えてはいないが、じゃがいもの皮むきのように削っている感じがした。
ものの10分か15分ぐらいで両足共削り終わったようである。
「はい、終わりました、起きてください」
看護婦はそう言ってティッシュペーパーの上に置かれた魚の目の削りかすを見せてくれた。
そして、自分自身の足裏を見てみると痛かった固い部位は取れ表面は穴が少し空いたようになっていた。
「また時間が経てば同じように固い部分が出てくるので、その時は軽石か何かで削ってくださいね」
看護婦はそうアドバイスしてくれた。
かかった料金も保険がきいてるので1500円ぐらいだった。
そして私は普通に痛みもなく歩けるようになった。
逆にその件で数か月も悩んでいたことが馬鹿馬鹿しくなってきた。
「こんなことならさっさと医者に行けばよかった」
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