私の親友はFacebook
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:木野 トマト(ライティング・ゼミ木曜コース)
あまり人見知りしないで初めてあった人とでも仲良く話せる。コミュニケーション能力が高い。などと言われることがある。とてもありがたい言葉である。確かに一人でふらっと旅行に行って初めて行く地元の飲み屋さんでカウンターに座り、ビールを飲みながらカウンターの大将やおかみさんとしゃべって過ごすことも少なくないし、何か習い事やセミナーなどに参加してもすぐに周りの人とも話してしまう。さほど人と話をすることは苦ではないのだろう。
しかし、実は「来るものは拒まず、去る者は追わない」という性格のため、その場で仲良く過ごすことは出来ても、その付き合いを長く続けるということが苦手である。だから実は友達が少ない。
そんな性格の私にも親友だと思っている友達がいる。Rとは高校生の時に初めて出会った。もうすでに20年以上の付き合いである。
クラスも部活も一緒になったことがない、と話すととても驚かれるが、私と同じクラスだった子がたまたまRと同じ中学で、紹介してくれたのだ。それから何かと話したり、漫画研究部の部室に入りびたりお茶を淹れながらマンガを読んだりと過ごすうちに仲良くなった。そのまま高校を卒業した後もずっと付き合いが続いている。
ある時、用事があって電話をしたところ通話中だったので電話を切ったら、数分後にRから電話がかかってきた。「さっき、電話したら通話中だったよ」とRに言われて驚いた。「え? 私もさっき電話したんだけど……」なんと二人で同時に電話してしまったために、通話中になってしまったのだ。実はこの「同時に電話をしてしまって通話中になる」ということが3回もあった。
大学生の時に私が大ファンだったギタリストが亡くなった時も、ファンによる後追い自殺が報道され、私もあまりのショックに後追い自殺をするのではないかと他の友人たちが心配して連絡してきた中、Rだけは「あんたが死ぬわけないよ」とあっさり言ってのけた。私自身も自分が後追い自殺をするわけがないと思っていたので、良くわかっていらっしゃると思ったものだ。
20代最後の夏も重要な決断をしたいと考えていた時に、ふわっと連絡を取ってきた。行きつけのバーで飲みながら「あのさ、実はさ……」と口を開きかけたら「何? 付き合っている人でもいるの?」とずばり当ててきた。もしかして探偵でも雇って私の行動を報告させているのだろうかと思ったのだが、Rに言わせると私はとてもわかりやすいらしい。それにしたって的中させてくる彼女も恐ろしいと思う。ちなみにそのあと「実は結婚したいなと思っているんだけど、今はやりの婚活という言葉に踊らされているのかな、とかもし断られたらどうしようと思っちゃって……」と話したら「断るわけないじゃん。いいから自分からプロポーズして結婚しちゃえ!」と発破かけてくれたのも彼女である。おかげさまでそのあと逆プロポーズして無事にこんな変人でも仲良く結婚生活を送れているので、背中を押してくれた彼女には感謝しかない。
Rは毎日電話するとか連絡を取り合うとかそういう仲ではないのだが、何か見えないところでテレパシーが通じるのかここぞという時に連絡が来る。彼女の一番すごいところはそういうゆるく、でもしっかりとした人とのつながりを、私以外の人とも決して途切れさせない「つながりの持続性」があるところなのだと思う。
私のように「そのうち連絡しよう」とか「相手から連絡が来たらいいな」とか思ったまま終わらせる人間にとって、彼女の力は本当にありがたくて、うらやましくて、ものすごい力だと思う。実は彼女のような力を持っている人こそ縁の下の力持ちのように居心地の良いコミュニティを作ることが上手なのだと思う。最近消息が分からない人でも、彼女に聞けば一発で居所がわかるなんて、まるで生きているFacebookである。
私のように誰とでもとりあえず仲良く出来る能力もそこそこ必要とされるのだとは思うが、今の人とつながる手段や頻度が多い時代には、なにかと四六時中つながっているのではなく、信頼しているからこそ、なんとなくつながっていて、たまに出会うとその時間を瞬時に埋められるような友情・つきあいがあることがすごい宝物なのではないかと思う。だからこそ彼女は私にとって長く付き合える親友なのだ。こんな適当な私とこれからも末永くつながっていてほしいと思う。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/62637
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。