僕のビジネスを変えた使い捨てコンタクトレンズの割引券
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記事:黒崎英臣 (ライティング・ゼミ朝コース)
「どうしたらお客さんが来るんだろう……」
僕は、ビジネスに行き詰っていた。今から11年前に参加したシンガポールのセミナーイベント。そこで世界トップスピーカーたちのプレゼンテーションに触れ、「俺も話すことを仕事にしたい!」と内装業からセミナー講師にジョブチェンジ。しかし、ビジネスをどうやって構築するのか、どうやってセミナー講師として食べていくのかの知識もスキルもないまま、自分の想いの強さだけで講師業の道に入ったため、当然ながらすぐに行き詰ったのだ。
はじめのうちは良かった。派遣社員として日中は働きながら、講師活動をしていたし、当時通っていたコーチングスクールの仲間がセミナーに参加してくれていた。しかし、1年もしたぐらいで派遣契約は切れ、仲間もセミナーに来なくなった。いわゆるリスト切れだ。毎月入ってくる安定収入もなく、見込み客もいない。その時、僕は初めてわかった。自分が甘えていたことに。講師業で食べていくことを完全になめ切り、周りの仲間、環境に甘え切っていたのだ。一年経ってようやくコーチングスクール以外の人を顧客にすることを考え始めたのだ。
とはいうものの、何をどうしたら顧客を獲得できるのか分からない。とりあえず、ブログを作ってみた。異業種交流会にも参加した。カメラマンに写真を撮ってもらい、名刺も作って、色々なところで配った。ツイッターが流行りはじめたのでツイッターも始めた。メルマガも発行した。その当時、集客に効果があると言われるものは、一通りやった。「ブログ内でイベントをしたほうが良いよ」という情報を聞きつけては、1時間おきに1記事を24回連続投稿する『24時間耐久投稿』なることもやってみた。しかし、状況は全く変わらなかった。ブログのアクセス数は伸びないし、メルマガの登録数も増えない。ツイッターの反応もなく、名刺交換した相手からの連絡もモチロンない。全てが空回りしている。
「こんなに頑張ってるのに……」
労力に対して伴わない結果に、心がドンドンと疲弊していった。
その頃の僕は、コーチングのセッションを商品として取り扱っていて、ブログから体験セッションへ、そして定期契約という流れを作ろうとしていた。しかし、定期契約どころか、体験セッションの申し込みすらない。そこで僕は、体験セッションを無料にした。無料にすれば興味を持ち、セッションを受けてくれる人だろうと思ったのだ。ブログでも無料セッションをアピールした。名刺にも記載した。SNSでも発信した。ところが、無料セッションにすら申し込みがない。何故だ? その理由が分からなかった。しかし、すぐにその理由を僕は理解することになる。
ある時、僕は池袋の街並みを歩いていた。すると、使い捨てコンタクトの割引クーポンを配っている男性がいて、通りすがりの僕にクーポンを渡してきたのだ。しかし僕は、裸眼で両目1.2の視力。コンタクトは不要だ。たとえ無料でコンタクトが配られていたとしても僕は受け取らない。その時、はっと気が付いた。僕の無料セッションが申し込まれない理由、ブログが読まれない理由、メルマガの登録が増えない理由が分かったのだ。そう、人は要らないものは、無料でも要らないのだ!
僕がこれまでしてきたことは、社会から不要とされているものだった。僕にとっては大切なものかもしれないが、世間一般の人にとってはどうでもいい存在、言ってみればゴミだったのだ。正確にいうとゴミではなく、ゴミのような認識をさせてしまっていたのだが、いずれにしても相手にとって不要であることに違いはない。当然、そこに時間やお金をかけるわけがない。僕のブログもメルマガも、時間やお金をかけるだけの価値がないものだったのだ。
『要らないものは、無料でも要らない』この気づきは、僕にとって大きかった。自分が相手にとって不要だと認識されているのであれば、必要だと感じさせるものに仕上げればいいからだ。それから僕は、自分のお客様をジックリ観察することにした。
何に悩んでいるのか?
何に困っているのか?
何が欲しいのか?
何を解決したいのか?
僕のメンターのピーター・セージは、以前こんなアドバイスをくれていた。
「ライバルを観てる暇があったら、お客様を観なさい」
まさにその通り。お客様を観察することで様々なことが分かり、解決策も見えてきた。お客様の言葉遣いの癖や感情の起伏なども見えてくるようになった。お客様の言葉の奥にある本心を捉えられるようになり、必要とされるものを提供できるようになった。次第にブログのアクセス数も伸び、メルマガ読者も増え、セミナーが売れるようになっていった。こうして僕はセミナー講師を仕事にできるようになったのだ。
ビジネスをしていて、僕は常々感じることがある。お客様は、一緒にビジネスを創っていくパートナーであると。ビジネスというものは、売り手だけでは成立しない。売り手と買い手、双方がいてビジネスとして成立するのだ。以前の僕は、自分のことしか考えていなかった。買い手のことは全く意識になかったのだ。どんなに自分が頑張ったとしても、その意識の範囲内に買い手がいなかった。それではビジネスがうまくいかないのも当たり前だ。お客様のことを考える、そんな至極当然のことがスッポリと僕から抜け落ちていたのだ。
しかし、今ではハッキリと言える。お客様は、ビジネスパートナーだと。単なる売り手、買い手の関係ではない。ビジネスを一緒に創っていくパートナーだ。ビジネスを通じて一緒に幸せを創っていくパートナーなのだ。お客様をビジネスパートナーとしてとらえ、どうしたらパートナーに幸せになってもらうことができるか? を考える。それがビジネスの根底に必要だと、僕はいつも感じている。お客様はパートナー。僕はこれからもパートナーと一緒に幸せを創っていきたい。
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