あっぷあっぷしてるのは、相手のサルを受け取っているからだ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:しゅん(ライティング・ゼミ平日コース)
「はい」
コアラのマーチの小袋を渡された。
ストロベリー味だ。
「あ、ありがとう」
「やめないでくださいね」
10歳くらい年下の後輩に言われた。
一瞬何を言われてるのかわからなかった。
後輩に心配されているんだ。そんなにあっぷあっぷに見えたのかな?
そう思うと笑いが込み上げてきた。
「あはははは」
「もしかして図星でしたか?」
「あはははは」
人間は、ふいに痛いところを突かれると笑ってしまうらしい。
確かに、ここのところ仕事の負担と責任が増え、あっぷあっぷしていた。
あっぷあっぷしている理由の一つは問い合わせが増えたことだ。
ある商品開発の取りまとめをしているため
「この部分どうしたらいいですか?」
「これどうしますか?」
といった相談や問い合わせが頻繁にくる。
正直、「いや、知らないよ。自分で考えてよ。担当者でしょ?」と思う。
せめて「A案とB案のどっちがいいと思いますか? 私はA案がいいと思うのですが」くらいの質問にして欲しい。
そう思いながら、まぁそこまで言わんでもいいのかなぁ、と
「この部分どうしたらいいですか?」と聞かれれば
「この部分はこういうポリシーで作られているので、今回はこうしましょうか」と答えたり
「これどうしますか?」と聞かれれば
「ちょっと確認します」と言ってこちらで確認したりしている。
でも、こういったのが重なると本来やるべきことが全然進まなくなる。
例えるなら、仕事Aをしている最中に電話がかかってきて仕事Bの話が始まる。
電話が終わって仕事Bについて調べるかと思うと、「ちょっといいですか?」と後ろから話しかけられ仕事Cの話が始まる。
結局、何をしてたんだっけ? となる。
何も進まないまま時間だけが過ぎ、仕事Bと仕事Cが増えただけだ。
そんな感じであっぷあっぷしているのが周りからみてもバレバレなんだなぁと
コアラのマーチをもらった時には笑ってしまったんだった。
ある晩、お風呂の中でいつものようにスマホを触っていた。
スマホをビニール袋に入れて、電子書籍やYouTubeを見てぼーっとするのがストレス解消法だ。そのせいで長風呂になり、奥さんには「おっさんなのに(ドラえもんの)しずかちゃんか(笑)」とからかわれるが仕方ない。
購入済みの電子書籍の一覧をすーっとスライドさせてみた。
ある本が目に留まった。
「あっ、サルだ! しまった、すっかり忘れてた」
思わずつぶやいたその本のタイトルは「一分間マネジャーの時間管理」だ。
以前読んだとき、この本にでてくるサルのたとえ話で目から鱗が落ちた。
その後、あっぷあっぷしてる人を見かけるたびに、このサルの話を伝えて回ってたのに、私自身が忘れてるとは。
『あなたが会社の廊下を歩いていると、前から問題(サル)を抱えた部下がやってくる。
部下が「ちょっと問題があるのですが……」とあなたに相談を始める。
この時点でサルはあなたの肩に片方の足を乗せる。
あなたは次の打ち合わせに行く時間なので「わかった、その件については検討しておく」と言ってその場を立ち去る。
その時、部下が抱えていたサルは完全にあなたの肩に乗り移っている。
そして次の日にはその部下があなたに向かってこういうのだ。「あのサルどうなりましたか?」と』
最初に問題(サル)を抱えていたのは部下だったのに、
いつのまにかあなたがそのサルの面倒をみることになってしまっている。
あなたの肩にはそんな風に受け取ったサルがいっぱいだ。
あなたにもそんな覚えはないだろうか?
仕事だけじゃなく、親子関係や友達関係でも。
「ちょっと困ったことがあって……」
「わかった、私がなんとかしておくよ」
「ありがと~」ってやりとり。
相手のサルを受け取ってしまう理由としてはいくつかあると思う。
相手に嫌われたくないから。
自分がやった方が早い。
私がやらなきゃって思ってる。
でも、多分これいいこと少ないと思う。
相手の仕事を止めてしまう。
サルを私が握っちゃってる間、相手の仕事を止めてしまう。
しかも大量のサルを抱えちゃってるからなかなかサルの処理が進まないから相手の仕事を長いこと止めてしまう。
相手の成長する機会を奪ってしまう。
本来は相手がすべき仕事を私が代わりにやってしまったら、相手の経験ややる気や責任感を奪ってしまうことになる。
相手が依存するようになる。
相談すれば解決してくれるなら、サルが発生したらその都度サルを渡しに来るだろう。
そして、私のサルは増え続けることになる。
よし!
相手のためにも自分のためにも、相手が世話をすべきサルは受け取らないぞ。
ちょっと長風呂気味でくらくらする頭で再度決意した。
週明けが楽しみだ。
きっと、近づいてくる人がサルを抱えてきたのが見えるようになるだろう。
そして、そのサルを私に渡そうとするのも。
サルを置いていこうとする人にはにっこり笑ってこう言ってやるのだ。
「あなたのサルをお忘れですよ? 再度検討して結果をまた聞かせてくださいね」と。
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