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「南米」というと、なぜこればかり想像するのだろう?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:葉田さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
少し前だが、三浦雄一郎氏が南米の最高峰アコンカグアに登頂に断念したというニュースが流れていた。写真から、エベレストも登った86歳のプロスキーヤーが登頂を断念した無念さがしっかり伺えた。さらに、私には引き付けられたものがあった。三浦さんとアコンカグアのバックに写っていた「真っ青な空」である。
 
「そう! この空! 南米はこの空よ」
 
思わずつぶやいてしまった。
 
13年前、インカ帝国の都クスコで、たまたまであったインカの太陽礼拝の祭りのパレードをみていた。澄み切った青い空をバックに色鮮やかな衣装をまとった大勢の兵士、楽器を奏でる人達、担がれている王座に乗っている王、ダンサーたちが歌って踊っていた。高山病でふらふらだったが、色鮮やかな色彩、踊り、歌、ガイドさんが語ってくれた歴史はしっかりと覚えていた。
 
ふらふらで酸素吸入を限度いっぱい受けながら、バスでペルーとボリビアにまたがるチチカカ湖に移動した。チチカカ湖の青い空、それに映える美しい民族衣装を着た人々、リャマ、アルパカ、ピクーニャ、羊たちの動物、立派ではない教会、住居、自然に生えている花、草等に色彩の美しさに目を奪われた。衣類は赤、青。紫。黄色、緑等色とりどり、形やベルト、帽子、身に着ける小さな小道具まで、歴史、風習的に村や結婚の有無で決まりがあるとガイドさんは説明していたが、どれも美しい。真っ青な空をバックにどこを切り取っても絵になると思った。町の中でもクスコで見たような小さなパレードに遭遇した。兵士の色とりどりの色彩とにぎやかな楽団は同じだった。こういう小さなお祭りは日常らしい。
 
「普通の暮らしが美しい」
「歴史に根付いた風習が美しい」
 
意外と、マチュピチュやナスカ等の観光地よりも自然や風習の美しさが印象に残り、私の南米ラブ人生はここから始まった。
 
翌年、長期勤続休暇がもらえ、長期といっても5日間だが、躊躇せず、パタゴニアに行くことに決めた。パタゴニアはチリ南部とアルゼンチン南部にまたがった土地の総称である。南極に近いので冬が長く雪も多い。冬は飛行機が不定期。日本の12月から3月が夏季で観光シーズン。ふつうは長期に休めない時期のため、この休暇を有効に使わせてもらった。
 
行く前は、「風の大地」と呼ばれ、強風のため横に向かって生える木々、大きな音を立てて崩れる大氷河群をイメージしていた。
しかし、夢中になったのは、
 
「空の色が違う! 澄み切っている」
「木々の緑の色が違う! 透明感!」
「道端の 花の 紫の色、黄色の色が違う!」
「湖、川、水の色が違う」
 
パタゴニアの北の入り口 アルゼンチンのバリローチェで飛行機をおりた後の風景だった。 夕刻だったのに、色鮮やかだった。
 
ホテルに行くバスの窓から見える景色の色彩に釘づけになった。
 
「普通の風景が美しい」
 
翌日、近くの国立公園を回った。青い空をバックに緑、水、山頂の雪、紫、水色、黄色の花々の色彩は、透明さに輝きが増強していた。アルゼンチンからチリに観光しながら移動したが、花の種類が変わるだけで、透明な美しさは変わらなかった。
 
横に向かって生える木々や大きな音を立てて崩れる大氷河群を見た時も、曇っていたが、青い空はなくても、透明感は健在だった。光を浴びて 氷河が青かったのが印象的だった。しかし、なんといっても、飛行機を降りた時の風景の色鮮やかさが印象的だった。
 
私の南米ラブ人生は、しっかりアンカーを下してしまった。
 
翌年の年賀状にパタゴニアの透明感がある色とりどりの風景を印刷した。
反応は思っていた通りだった。
 
「美しくてびっくり」
「スイスみたいね。きれい!」
 
そして、多かったのが、
「南米って露出の高い衣装で陽気に踊っているのしか思いついていなかった」
 
そう、多くの人は南米というと派手な衣装でサンバを踊るリオのカーニバル、特に楽しく陽気に踊っている女性を思い浮かべるらしい。
 
「南米に行く予定です」
と言うと
 
「カーニバルに行かれるのですか」
聞かれる。
 
「イースター島に行きます」、とか、
「ガラパゴス島に行ってきました」
「チリからウユニ塩湖に行きました」
 
は、通じることがある。が、まずふつうはリオのカーニバルを想像される。
ブラジルにもイグアスの滝、パンタナール大草原、白い砂漠等、カーニバル以外にも美しいところはいっぱいあるのに、みんながみんな、なぜリオのカーニバルのみしか印象にないのだろう?
 
また、
「南米に旅行してきました」
と言うと
 
「ブラジルに行かれたのですか?」
と聞かれることも多い。
 
「南米ってブラジルだけじゃない」
「ブラジルって、南米の中で唯一のポルトガル語圏で少しイメージが違うのに」
 
新しく来た上司にも
「葉田さん、毎年夏休みはしっかりとって、ブラジル行くんだってね」
と言われてしまった。
 
「ブラジルじゃない。ブラジル以外の国の方がたくさん行っています」
 
念のため、別にブラジルが嫌いではなく、ブラジルにも4度行き、ブラジルの友達もたくさんいる。
 
なぜ、リオのカーニバルがこんなに印象が強いのだろう? 「南米」イコール「ラテン系」と言われ、陽気な雰囲気と派手な衣装をまとって楽しそうに踊る女性のイメージが合うからかなとも思う。「世界で一番有名なカーニバル」と言われているので無理はないが、しかし、それが有名すぎるために、他の素晴らしいものに目が行っていないのはもったいない。
 
南米は青い空に色彩豊かな自然がいっぱい。歴史も風習も生きていてどこを見ても絵になっている。
 
「日常の風景が美しい」
「歴史の溶け込んだ風景が美しい」
 
「南米」イコール「リオのカーニバル」だけではく、自然の美しさ、歴史、風習を含めた南米の素晴らしさをしっかり知ってほしい。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
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2019-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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