箸づくりから自分の仕事の姿勢を見つめなすことになった話
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:荒木孝文(ライティング・ゼミ土曜コース)
ある日の日曜日「箸づくりワークショップ」というイベントに参加した。
内容としては「箸づくり体験」と「トークライブ」の二部構成となっており、私はトークライブに興味があって参加した。
しかし、今回の話は箸づくり体験で感じた話である。
箸づくり体験とはその言葉通り、実際に箸を自分たちの手で作っていくワークである。
作業工程としては、あらかじめ鉛筆のような形まで作られている竹を、鉛筆削りやカッターナイフを使って削っていき、箸の形に近づけていくというものである。
実際にワークが始まると、ナイフで竹を削っていく作業が意外と楽しい。
気づけばあっという間に一時間が過ぎたと感じるほどに作業に没頭した。
ただ、今回話をするのは箸づくりが楽しかったという話ではない。
意外なことに、箸づくりから私の普段の仕事が雑だなと感じた場面に遭遇した話である。
箸づくりが始まったとき、私は心のどこかで「素人が作るものだから、きれいにはできないだろうな」と考えていた。
もともと手が器用な方ではなく、学校の授業で工作づくりをした時も、満足するものを作り上げた記憶はなかった。
だから今回も綺麗なものは出来ないだろうと思いながら作業をしていた。
実際に、出来上がった箸はでこぼこした箸が出来上がっていた。
「まぁこんなものかな」と思いながら、自分が作った箸を見ていた時、
「実際にお店に売られているものみたい」という声が聞こえた。
声のした方を見ていると、同じテーブルで作業をしていた女性がつくった箸を見た人が、先ほどの言葉を発したようであった。
実際に、その女性が作った箸はとてもきれいに削られており、売り物だとしても違和感がないくらいの出来上がりだった。
それを見ながら、そういえばこんな言葉がさっき聞こえてきていたなと思い出した。
「(講師の男性)何回も真剣に見本の箸を見ていますね」
「(箸を作っていた女性)どうせ作るならちゃんとしたもの作りたいじゃないですか」
今にして思えば、これが私と女性が作った箸の出来上がりの差を分けたものかもしれないなと思った。
最初から大したものが出来ないと考えていた私と、どうせやるならちゃんとしたものを作りたいと考えていた女性。
見本の箸を見ようとせず淡々と作業していた私と、何度も見本の箸と自分の箸を見比べていた女性。
この違いが箸の出来上がりにも表れたのだと思った。
「そういえば、最近仕事に対して丁寧にやろうと思ったことがないな」
ふと、そんなことが頭に浮かんできた。
ちょうどこの時期は、仕事がうまくいっていなかった。
仕事に身が入らず、淡々と作業していることが多かった。
その影響もあってか、作った資料には誤字脱字が多かったり、資料の作り直しを上司から命じられたりすることが多かった。
この仕事の状況と、今回の箸づくりが見事に自分の中でつながったのだ。
資料作りも、女性が箸づくりでやっていたように、何回も完成イメージを上司と確認していれば作り直しを命じられることがなかったかもしれないし、お客様に伝わる資料をちゃんと作ろうという気持ちがあれば、誤字脱字もそこまで多くなかったかもしれない。
そんなことを考えていた。
そして、きっとこの女性は仕事に対しても丁寧にする方なのだろうと思った。
そして、もし私の作業工程を見ている人がいたとしたならば、ただ完成させるためだけに仕事をしている人なのだろうと思われたに違いないと思った。
そう考えると、今日の取り組む姿勢はもったいなかったなと後悔した。
女性のように、ちゃんとしたものを作ろうという気持ちを持って、何度も見本を見ながら作業していれば、私にもきれいな箸が作れたかもしれない。
そして、きれいな箸が作れれば、それが仕事にも良い影響が出たかもしれないと。
今日の結果としては後悔の残るものになってしまったが、
ただ、今日このことに気づけたということは、自分にとっては大きな出来事だったように思う。
言葉にしてしまえば、大したことないことなのかもしれないが、それが当時の私には全く見えていなかったのである。
今日、この場に来ていなければ、このことに気づくのはもっと後だったかもしれない。もしかしたら永遠に気づかなかったかもしれない。
そう考えると、今日このイベントに参加してよかったと思う。
もちろん箸づくりだけでなく、そのあとに行われたトークライブも実に面白く、それはそれで別に話ができるくらい内容が濃いものだった。
ただ、そこまで期待していなかっただけに、今回の体験は自分の中では大きなインパクトがあった。
しかし、まさか箸づくりから、自分の最近の仕事に対する姿勢を見直すことになるとは思いもよらなかった。
しかも、システムエンジニアをやっている私が、箸づくりというコンピューターを全く使わないものから気づかされるとは、実に面白いなと思った。
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