「いいね」という「お花」を贈ろう
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:西村美紀(ライティング・ゼミ平日コース)
「あなた、SNSで『いいね』をよくつけているけど、実際は中身を見ずにつけているでしょ?」
「いやいや、ちゃんと見ていますよ」
この知人との会話で、自分がSNSで「いいね」を人より多くつけていることに気づいた。
わたしは隙間時間ができるたびに、SNSを開き、友人知人の投稿を読み、「いいね」をつけていく。この光景は、悪く言えば「SNS中毒」と言えるのかもしれない。
しかし、当の本人は中毒というより、みんなに「いいね」という「一輪のお花」をプレゼントして回っている気分でいるのだ。
たくさんのお花を抱えながら、SNSという街を歩いて回る。
出会った投稿を見て、相手の表情・気持ちを想像しながら、その人にあったお花を選んでいく。
この「いいね」というお花は、渡しても、渡しても、減ることはない。だから出し惜しみせずに、たくさんの人にプレゼントできる。
わざわざ花束にしなくてもいい。
わざわざ立派な、長文のコメントをつけなくてもいい。
たった一輪のお花だけでも、相手を喜ばせることができる。
たった一度「いいね」を押すだけでも、「ちゃんと見ているよ」と相手に伝えることができる。
それに、一輪のお花くらいなら、もらって嫌な気持ちになる人も少ないはず。
大きな花束は、花瓶がないと生けられないし、生けても置き場所に困ることが多い。「こんな大きなものをもらっても……」と、相手の気持ちを重苦しく感じてしまうこともあるかもしれない。
一輪のお花なら、たいした金額でもないし、片手で「ありがとう」とサッと受け取ることができる。立派な花瓶がなくても、家にあるコップに生けるだけで様になる。
正直、いらないなら道端のごみ箱に捨てることもできる……もちろん、渡したその場で捨てられると悲しいけれど。
SNSの街を歩いていると、いろんな人の、いろんな場面に出会う。
今日のご飯について投稿している人。いつもよりちょっと手をかけて、何時間もじっくり煮込んだカレーを作ったそう。
「おいしそうだね。豊かな食卓になりますように」と赤いガーベラを渡す。きっとますます賑やかな食卓になるだろう。
次に出会う人は、ちょっと暗い雰囲気。病気になってしまい、なかなか回復しない現実に嫌気がさしてしまっているよう。
「辛いよね。でもきっと、病気は治るし、よい方向へ進むよ」という思いを込めて、白いスズランをプレゼント。優しい色合いが、落ち込んだ気持ちを癒してくれるはず。
さらに進むと、「結婚しました!」という友人とばったり。なんておめでたい!
「本当におめでとう。末長くお幸せに」とメッセージカードにしたためて、ピンクのバラを、ここは一輪といわずに、花束にして一緒に贈る。一生に一度のお祝い。少しでも彩りを添えられたらいいな。
巷では、「SNSを見ていると、幸せそうな投稿ばかりで嫉妬してしまう」という、「SNS疲れ」というものがあるらしい。
わたしも、この「SNS疲れ」を感じることがある。
自分にはじっくり料理を作る時間もないし、病気になったときに心配してくれる人もいないかも。結婚だって、自分は相手すら見つかっていないのに、周りの友人たちにどんどん先を越されたような気がして、焦ってしまう。
しかし、そういうときこそ「『いいね』という一輪のお花をプレゼントして回る」というイメージを思い出す。
みんなに配るためのお花をたくさん抱えて、街を歩き回る自分。
はたから見て、そんな姿が嫉妬にまみれたように見えるだろうか。「みんなに置いていかれる。どうしよう」と焦っているように見えるだろうか。
相手に似合うのはどのお花かな、相手の気持ちにぴったりなのはどの色かな、メッセージも添えたら喜ぶかな……そう考えているだけで、自分も幸せな気持ちになれる。
お花は、渡す人も、もらった人も幸せになるもの。「いいね」だって同じ。
嫉妬心を抱えながら、祝わなきゃという義務感にかられて押す「いいね」なんて、「よくない」。
どうしても、お花を抱えられないときは、SNSから離れて、ゆっくり休んでみるのもよい。元気を取り戻したら、たくさんの花を抱えて、また歩き出そう。
SNSは、距離があっても、忙しくてなかなか会えなくても、人と人をつないでくれるツール。せっかく繋がった友人知人と、せっかくなら良い関係を築きたいもの。
友人と会うときに、ちょっとしたプレゼントを用意するように、SNS上で会ったときにも「いいね」という一輪のお花をプレゼントしてあげる。
反射的に「いいね」を押すのではなく、ひとつひとつの投稿をしっかり読む。
お花も、ぽいっと投げ渡すのではなく、ひとりひとり、心をこめて手渡しする。
これからも、たくさん「いいね」というお花を渡して、自分の周りをお花と笑顔でいっぱいにしていきたい。
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