感じ取ろう、アラームを
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:松縄竜弥(ライティング・ゼミ平日コース)
「このままじゃだめだ……」
ぼくがそう思ったのは、いつだったか。
高校三年の6月ごろ、テニス部の最後の大会も終え、ようやく受験勉強が始まった。まわりの人は、大きい予備校にとっくに入っていて、ぼくは完全にスタートに出遅れていた。
まともに勉強してこなかったぼくは、自分一人では勉強できないと思い、予備校に入ることにした。いまさら大きい予備校に入る気にならず、大して有名ではない予備校で受験勉強を始めた。
予備校に入って、最初の授業で講師からこんな質問をされた。
「君たちは勉強を始めるのが、早すぎる、早い、遅い、遅すぎるのうち、どれでしょうか」
遅いとはおもったが、夏休みに入る前だし、遅すぎるではないと思っていたら、
「遅すぎるんです!」
と怒られてしまった。
しかし、まだ受験生の自覚を持っていなかったぼくは、講師の授業も真面目に聞かず、のんびりとしていた。そんな状況で、成績が上がることはないのに、模試の結果を見るたびに落ち込んでいた。
そんなぼくに、気持ちの変化が現れたのは、夏休みを半ば過ぎた頃だった。
ぼくが通っていた予備校では、3段階のレベルにクラス分けされている。その中で、ぼくは当然、一番下のクラスだった。
英語の授業のとき、毎回単語テストをするのだが、一番下のクラスは、ぼくを含めて誰も勉強しない。
しかし、ほかの予備校に通っている友達の話を聞いたり、自分の模試の結果を見たりしていたら、ふと思った。
「このクラスにいたら、どの大学にも受からないかもしれない」
一度考えたら、とても恐怖した。
そこからは、危機感を持って勉強に集中した。ぼくのクラスのメンバーは相変わらず勉強していなかったが、ぼくはめげずに続けた。
そして、夏休みを終え、単語テストのや模試の結果が上がっていったことで、一つ上のクラスに上がることができた。
何よりうれしかったのは、一つ上のクラスでは、授業前にみんなが勉強していたことだ。
「ああ、勉強するのは間違っていなかったんだ」
自分の行動が、全て肯定されたかのように感じた。
そこからは、より勉強に身が入り、順調に模試の点数を上げていき、無事、第1志望の大学に合格することができた。
もしあのとき危機感を持たなかったら、もし一番下のクラスのままだったら、ぼくはどうなっていただろう。第1志望に受からず、同じレベルの人しかいないまま、這い上がろうとしなかったかもしれない。
そう考えると、あのとき、危機感を持てたのは奇跡と言ってもいい。ぬるま湯に浸かっていた自分が、周りに影響を受け、自分がいる場所が熱湯だと気付かされた。すぐに、いまいる場所から抜け出さないといけないと思えた。
第1志望に受からなくても、いつか危機感を持てるようになっていたかもしれない。でも、それは大学生になってから、もっと言うなら、社会人になってからと、どんどん遅くなってしまっていただろう。大学受験の時に、知識だけでなく、精神的な面でも成長できてよかった。
受験勉強をしていたころを思い出すと、ぼくにとって、危機感とは、アラームのようなものだと思う。
成長したり、変わったりするチャンスを、知らせてくれる。このアラームに気づけないと、せっかくのチャンスを逃してしまう。
人はみな、何かしらのコミュニティに属している。おそらく、なんらかの優劣がつくものが多いだろう。その中で、アラームを感じ取ることができれば、その人は他の人より、1歩、いや、2歩も3歩も前に進むことができる。
アラームが鳴るかどうかは、その人の気持ち次第だと思う。属しているコミュニティで、「このままでいいのか」という疑問を持つことで、変わるきっかけを得る、自分から探すようになる。
いまいる場所で、これ以上成長できないのなら、新しい場所をさがすのもありだ。
たしかに、変わることは怖いだろう。でも、変化がなければ、成長もない。勇気を出して、変わることができれば、きっと、自分の行動が間違ってなかったと思える瞬間がくる。
もし、これを読んでいるあなたが、現状に対して、少しでも疑問を持っているのなら、この文をきっかけにアラームを感じ取って、そこから抜け出す勇気を持ってほしい。あなたの近くにいる人たちは、否定してくるかもしれない。でも、変わろうとしたあなたを、僕は肯定し、応援する。きっと、あなたの行動が間違っていなかったと思える時がくるだろう。
……どうやらぼくにも、アラームが鳴ったようだ。次はどれだけ成長できるのか、とても楽しみだ。
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