メディアグランプリ

楽しめるか不安な野球観戦の前に。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ちくわ(ライティング・ゼミGW特講コ)
 
 
野球は普段観ない。
サッカーやバスケットの方が、動きがあって面白い。
私はずっとそう思っていた。
 
子供の頃、両親に連れて行ってもらった野球観戦で、
周りの人がいきなり大きな声で応援歌を歌うのに驚き、苦手になった。
大人になって野球好きの友だちに誘われて、
私も好きになれるかもと思いチャレンジした。
しかし、途中から飽きてしまい、VIP席に誰が座っていそうか考えてみたり、
ファウルボールになったボールの行方を追ってみたりと野球の楽しみ方が分からなかった。
 
そんな私が、このゴールデンウィークに野球観戦に誘われた。
行くと決めた理由は一つ。
前の職場の人たちに会えるから。
正直、今回も野球に興味をもてないだろうと思っていた。
 
しかし、今回は今までと違っていた。
野球のファンではなく、大ファンの人たちと一緒だったからだ。
この人たちのおかげで私は、野球観戦の面白さが少し分かった気がした。
 
駅で待ち合わせをし、野球場へ向かう間、
野球の大ファンの人たちの会話が聞こえる。
「今日勝たないと借金がつく」
「今日は絶対勝つ」
この会話を聞いてもワクワクはしない。
内心、何時に終わるかの方が気になっていた。
 
野球のルールは知っていた。
3アウトになったら、攻守交代すること。
3振したらアウトになること。
知っているのに楽しめないのは、野球が面白くないからだ。
そう思っていた。
でも、私は野球で一番大事なことを知らなかったのだ。
 
試合が始まってしばらくは面白さがわからないまま、ただ観ていることしかできなかった。
周りの応援に合わせて、一緒に応援歌も歌ってみたし、グッズも買ってみた。
球場でホットドッグも食べてみた。
ここまでで印象に残っているのは、
ホットドッグにのっていたハラペーニョという唐辛子が辛かったことだろうか。
きっと今日も野球の楽しみ方がわからないまま帰るのだと諦めていた。
 
しかし、6回の裏に相手チームの選手が満塁になったことで、
私の気持ちは変わっていく。
相手チームが満塁になると私の周りの席の人達の緊張感がいきなり変わった。
次に打席に立つ人がヒットを打つと1点相手に加算されるのだという。
その時、初めて知ったのは
ニュースでよく伝えられている『打率』がこの時に大事だということ。
野球の大ファンは、
「この選手は、去年の打率は良いけど、今年の打率は低いからヒットは打たないだろう」と、話すのだ。
今までスポーツ番組で『打率』のことをキャスターが話していても
なぜ、わざわざその数字を算出しているのか分からなかった。
正直、無駄な数字とさえ思っていた。
聞けば、打率がいいと言うことはその選手の調子が良いということらしい。
打率のいい選手を選んで、試合のメンバーを決め、
打つか打たないかかけのような感覚で見守るのだそうだ。
 
少し面白さがわかった気がした。
一人一人の選手の打率をみて、皆応援しているようだ。
打率が良い選手が打つのを観て「今年調子が良さそうだから打つのではないか……」と、
かたずをのむ。
打率が悪い選手が打つのを観て「今年調子悪そうだが、今日はどうか……」と応援する。
私が楽しめなかったわけだ。
ルールは知っているからと、野球の知識を深めようとしてこなかった。
その時のプレーに注目するサッカーやバスケットと違い、
野球は今年の調子や前回の試合の打率までチェックしながら、打つか打たないかを見守る。
ただ、観ているだけでは楽しめなかったのである。
 
結果、1−0で勝った帰り道。
コーヒーの焙煎所の経営を始めた友人の話しを思い出していた。
コーヒー豆は産地によって味が異なり、焙煎の方法もその産地によって変わる。
その豆について知らないと、焙煎方法を選ぶことはできないのだ。
しかし、ただ知っているからといって知識だけで焙煎が上手くいくとは限らない。
その日の温度や時間などを甘味して、焙煎する。
それでも焙煎を終えないと、どんな味になるかは不安が残る。
少し緊張しながら、味を確かめるというその瞬間は、
バッターが打った瞬間の気持ちに似ているのかもしれない。
そんなことを思っていた。
 
野球観戦の面白さは、まだまだ初心者の私には語れない。
ただ、私のように野球の面白さがわからない人は、
一度だけテレビではなく、野球場にいくことをおすすめする。
会場の空気と周りの人の緊張感を肌で感じると、一緒に応援したくなる。
そして、一番大事なことは野球の大ファンでずっと解説してくれそうな人と一緒にいくことである。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/82065
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-05-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事