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大学受験ガチ勢のあなたへ贈る、大航海の参考書


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記事:はる(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
拝啓 18歳の私へ
 
突然ごめんなさい。私は5年後のあなたです。
先月は18の誕生日、おめでとうございました。お祝いというほど立派なものではございませんが、もうじき大人になるあなたを応援したくて、筆を取った次第でございます。
 
今はちょうど、毎日15時間も猛勉強する日々を送り始めてから2か月ほどたった頃でしょうか。食事の時間さえも惜しんで、毎日よくやっていますね。
実力よりも相当上の難関大学を目指しているあなたは、とっても忙しくて寄り道などする余裕もない時期だと存じます。しかしだからこそ、今のうちにお伝えしておきたいと思ったのです。
 
”その大学に合格するため” なら、そんな勉強はさっさとおやめなさい。
 
驚いてこの言葉を二度見三度見したのではないでしょうか。
無理もありません。だってあなたは受験生で、当然大学に合格するために必死に勉強してい最中なのですから。
ですかどうか不審がらずに、最後まで読んでいただけませんか。だってこれは、あなたの今している勉強が無駄にならないために、その勉強を経てしっかりと幸せになってもらうために、5年間で得た教訓を詰め込んだメッセージなのですから。
大丈夫、少しぐらい手を休めても、決してバチは当たりませんよ。
 
もう少し砕いてお伝えすると、こんなような意味になります。
 
”大学に行くことは一つの手段。やりたいこと、目指したいものを実現していくために、色々なことを学んだり経験したりするための場所です。だから、合格することが目的化して達成だけに集中し、他のことへの思考を一切停止する今のやり方は、あなたの将来にとって良いものではないのでやめなさい。”
 
23歳になった今振り返ると、大学は地図もコンパスもない大海原のような場所でした。敷かれたレールも、自由を遮る校則もありません。講義もサークルもアルバイトも、人付き合いもお金の使い方も、全て自分で決めるのです。
そんな無法地帯に考えなしで飛び込んだ私は、あっという間に迷子になりました。それまで偏差値ランキングや大学名の肩書きに身を委ね、自分の内面に対しては思考を放棄していた私は、従うべき羅針盤を持ち合わせていなかったのです。海に出ることだけを目指して、そこで何をしたいのかという肝心な部分が欠落していると、多くの時間を無為に過ごすことになってしまいます。
 
確かに、高き目標の達成には並大抵ならぬ努力が必要です。しかし時には少し立ち止まって己を省みることも大切です。勝ち取った大学生活が空虚で退屈な日々の連続にならないよう、今のやり方を少しだけ改めてほしいと切に願います。
 
では具体的にどう改めれば、従うべき羅針盤を持ち合わせることができるのか。あなたに是非実践してほしいアドバイスがあります。
 
それは、”如何なる時も本心に素直であること” です。人の意見は気にせず、自分の好きなものに従って行動を積み重ねてみてください。
 
これは、最初は少し難しいかもしれません。なぜなら今のあなたは、まるでカメレオンのような人だからです。幼い頃から周りの評価を気にして、期待されている像に自分を寄せる癖がありますね。褒められることが好きなあなたは、周囲からの承認を糧に頑張れます。しかしいつの間にかそれを確認材料として、なるべく正しい人生を歩もうとしていませんか? 今も名のある大学を志望して一生懸命だと思いますが、先生や親が喜ぶ大学をあたかも自発的な好みのように思い込んでいる節があるはずです。
あなたがこれから行く海には、”世間の言う正解” も、”皆から褒められる王道な人生” も、もうありません。ですので、それまでの蓄積を無視して嗜好や言動をコロコロと変える人間カメレオンになってしまってはいけません。目先の承認を得る為にその時々でかっこいい人を真似しても、自信につながらないどころか一層足元をすくうだけ。そんなことを繰り返しては、本当は何が好きなのか分からなくなり、いよいよ友だちも居場所もなくなります。
 
でも、そんな環境だからこそ、安心して素直になってください。
もう他の誰かの承認なんて気にする意味はありません。その人にとっての正解は、その人自身が決めるもの。その人の色は、その人の選択の積み重ねでつくられていくもの。
あなたも本心という羅針盤に従って行動していけば、4年間を振り返った時に、きっと幸せに満ちた思い出が沢山できていることでしょう。
 
あなたはエネルギー溢れる素晴らしい船長さんです。 憧れの海へ行くために一生懸命になれる力を持っています。でもだからこそ、その先の世界も自分で切り開いていける船長さんであってほしいと願います。
これから行く大海原で、どんなことを楽しみたいですか? そこでの経験を生かして、将来どの方角に舵を切りたいですか?
時に間違ってもいいんですから、あなたの道を進んでいくこと。他人の声に思考を委ねず、自分の本心に誠実に。是非、充実した大学生活を過ごしてくださいね。
 
どうかあなたがこれからも、心惹かれるものに囲まれた、色彩豊かな人生を歩んで行けますように。
心より応援しています。
 
2019年6月
23歳の私より
 
 
 
 
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2019-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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