水槽で苦しんでいたクジラを海に助け出した言葉
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:ひめさとこ(ライティング・ゼミ平日コース)
「どうして、表彰されないの?」
「こんなに頑張ってるのに、
なんで、私は認められないの?」
私のチームは、営業成績が良かった。
部下は、表彰されるのに、
チームを率いる私自身は、表彰もされなければ、
出世することも……褒められることも無かった。
なんで?
上司や会社に不満が積もっていった。
「俺に褒めてもらいたいんか?」
上司にそう言われるまで
何が不満なのか? 自分でもわかっていなかった。
いや、褒めてもらいたいという気持ちさえ、
認めたくはなかった。
そんな私の気持ちを反映したかのように……
徐々に何もかもが上手くいかなくなっていった。
やがて……信頼していた部下も
私に愚痴を言い始めた。
「そこ、邪魔なんですけど……」
部下に追いやられ、居場所を失った。
誰かに助けてもらいたかった。
でも……私の中には、「助けて」という言葉が無かった。
「なんで? そんなこと言うの?」
「なんで? そんなことするの?」
「なんで? わかってくれないの?」
「なんで? なんで? なんで?」
やがて、過呼吸が始まるようになり……
パニック障がいと診断された。
「しっかり休んで、
元気になってから、戻って来い!」
上司から、そう言われた時も、
あー、私は、ここにいたら、迷惑なんだ。
でも……休んでても迷惑になるから、
早く戻って来なきゃいけない。
なんで、こんなカラダになったんだろう?
なんで、発作が起きるんだろう?
なんで、みんなみたいに元気でいられないんだろう?
なんで? なんで? なんで?
迷惑をかけてしまう自分が許せなかった。
仕事もできない自分が大嫌いだった。
早くなんとかしなきゃ!
病気を治して、
早く仕事に復帰するために、心理学を学んだ。
そんなある日、友達に言われた。
「元気になったら、どうするの?」
「もちろん、会社に戻るよ!」
「あのね。さとちゃんは、クジラなんだよ。
せっかく、狭い水槽から抜け出して、広い海に出たのに、
どうして、また、狭い苦しい水槽に戻ろうとするの?」
会社という水槽から、一時的に抜け出した。
確かにそうだった。
「でも……水槽から抜け出したら……生きていけなくなる。
ムリだよ」
「そう? なんとかなるもんよ?」
そんな言葉を聴きながら……他人事だと思って!
少しイラついていた。
仕事に戻れないまま……時は過ぎ……
会社に戻るか? 会社を辞めるか?
決断のタイムリミットが来た。
クジラの私は、水槽に戻らない。
という決断をした。
戻ることが、怖かっただけかもしれない。
病気が治ったわけではなく、
消えてしまいたい日々が続いていた。
そんな状態で、会社に戻っても、
同じことになるだろう。
今なら、わかる。
当時の私は、全身を使って、
「過呼吸」という症状を使って
「認めて」「わかって」「助けて」と
声にならない悲鳴を上げ続けていた。
「助けて」という言葉の代わりに
「死にたい」という言葉を発するようになっていた。
このままじゃだめだ!
薬を使わない精神科医の先生に出逢い……
薬を飲むのをやめた。
先生と講演会をするようになった。
少しずつ、何かが変わり始めた。
そんなある日、
「コーチングを学ぼう!」
起きた瞬間に、なぜか? そう思い、
コーチングスクールに申し込んだ。
コーチングを学んで……
コーチングをするようになって……
言葉が変わった。
「本当はどうしたい?」
あれだけ「なんで? なんで?」と
自分や周りを責めていた私が、
「どうしたい?」と自分にも言うようになっていった。
言葉は習慣だ。
いきなりは変わらない。
まだ、「死にたい」というクセも残っていた。
「死にたい」と布団にもぐり込んだら……
「本当はどうしたい?」と自分に聴けるようになっていった。
答えは、いつも「笑顔になりたい」
「そのためにできることは?」
「布団から出る」
その繰り返しだったが……
気が付くと、「死にたい」も「なんで?」も
全く言わなくなっていた。
言葉は電車のレールの切り替えポイントだ。
レールの切り替えポイントを切り替えると……
電車は、行く方向が変わり、目的地も変わる。
言葉も同じ。
言葉を変えると……
人生の向かう方向が変わり、目的地も変わる。
「なんで?」が「どうしたい?」になって……
切り替えポイントを切り替えたら……
私の人生は激変した。
あれから、何年、経っただろう?
「どうしたい?」を選択する度に
ひとつずつ、人生のレールが
変わったのかもしれない。
水槽でしか、生きていけない。
そう思っていたクジラは、今、全国を飛び回り、
社長になって、自由に海を泳いでいる。
人生は、おもしろい。
言葉が変われば、人生も変わる。
「本当はどうしたい?」
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