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ヨガを敬遠していた私が、ヨガをしている理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石田奈緒子(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
「今から動いてくれるご自分の身体に挨拶をしましょう」
 
今日も、ヨガのレッスンが始まる。
 
私がヨガを始めたのは、3ヶ月前。
週に2回は通っていて、アラサー独身女性として趣味を楽しんでいるように見えるが、始めたキッカケは失恋だ。
彼に振られた後、彼中心の生活や考え方だった自分に気づき、自分の心と向き合いたい、自分の軸で生きたい。
そう思った時に、始めたのがヨガだった。
 
ヨガは10年程前に、一度目のブームが来た。
2度目のブームは数年前で、それからは女性の習い事として定着しているらしい。
 
かく言う私は、ヨガブームに対して斜に構えていた。流行りに乗りたくないという気持ちもあったし、ヨガそのものに対しても、スポーツをする前の準備体操であり、スポーツ後のクーリングみたいな物だろうと思っていた。
ヨガをやっている人が必ず言う「絶対ヨガやった方が良いよ〜」も、価値観を押し付けられているように感じていた。
 
そんな私が何故ヨガを選んだのか。
 
自分を見つめ直そうと、思いついた物はいくつかあった。
ヨガ、坐禅、写経。瞑想でも良いと思ったし、集中力を高めるなら物作りというのも有りだ。
インターネットとにらめっこしながらもヨガを選んだのは、ヨガ教室がたくさんあり、(飽和状態とも言えるのかな)、体験教室もあり、ウェアさえあれば手っ取り早く始められるから。
でも、本当の本当の理由は別にある。情けなかったから誰にも言っていないけれど、失恋後に感じた心のグラつきが足元から来ている気がしてならなかったからだ。自信なんて微塵もなかった私は、地に足がついていなかったのだ。軸のない私に必要なのは体幹かもしれない、という単なる思いつきだ。
 
夕方と午前中の週に2回はレッスンに通っている。
午前中に行うレッスンでは、身体を目覚めさせる為に、先生がいくつかチャレンジポーズを組み込んでくれている。
名前から察する通り、キツさを伴うポーズだ。
スポーツとは無縁の生活を送っていた私の身体には、起き上がる・歩く・物を持つなど日常生活で使う必要最低限の筋力しかなかった。
ポーズが出来るからといって正解ではなく、今の自分がどこまで出来るのか、どこが痛くてどの筋肉が張っているのかを感じる事が目的で、最初は当然キツいだけのポーズである。
思っていた通り、筋力のない私は下半身がぐらつく。笑っちゃうくらい出来ない。座り仕事だからか、背面の筋肉はガチガチに張っているし、足裏の重心なんて今まで感じたこともなかった。
この世に産まれてからずっとこの身体で生きてきたけれど、私は私の身体の事を何も知らなかった。
ヨガの時間は、まるで長年無視していた身体の声を聞いているようだった。
 
ただひたすら言われるがままのポーズを取っていた私に変化が訪れたのは、1カ月経った頃だろう。
私の右足裏が、ヨガマットを捕らえた。初めての感覚だ。力強く踏み込んだその右足からエネルギーを感じる。少し息が上がる。身体の内側から、だんだんと温かくなる呼吸を感じる。
 
不思議だ。今までだってずっと大地に立っていたのに。走ったら呼吸だって上がっていたはずなのに。私はそれを感じた事はあったのだろうか?
私はここに来て、ようやく地に足が着いたようだ。
心と身体は繋がっている。
 
「今日も頑張って動いてくれたご自分の心とカラダに感謝をし、この優しく穏やかな呼吸が皆さまにずっと続きますように」
 
ありがとう。今日もありがとう。
素直に自分にそう言えることが嬉しかった。
 
ヨガをする目的だって、ヨガに対する感じ方だって人それぞれだと思う。
流派もあるし、レッスンをする先生にも寄る。
生徒だって、ダイエット目的の方もいるだろうし、体を整える目的の人もいれば、私のように心を整えたい人もいる。
 
ヨガの良いところは、正解がないところだ。
目的も自由だし、出来る出来ない、やるやらないだって自由。
気持ちよすぎて寝てしまっても良いし
集中したいのに余計なことを考えてしまっても良い。
あえて正解を作るなら、あなたにとってはあなたが正解で、私にとっては私が正解と言ったところだろうか。
 
あんなに斜に構えて、ヨガなんて興味ないという姿勢だった私がヨガを勧める。
友達に知られたら、ちょっと恥ずかしい。
でも、そんな斜に構えている私も正解だったし、それでもヨガを始めた私も正解なのだ。ヨガはそれを教えてくれた。
「絶対ヨガやった方が良いよ~」と、そこまで強くは言えないけれど。
 
私はヨガを始めて良かったし、ヨガと出会えて良かったよ。
 
 
 
 
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2019-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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