【力を引き出し合って働く】今、SHIEN学がすごい!~恋愛にも仕事にも活かせる新しい人間関係の築きかた~《雑誌編集部:こころさんの読書エッセイ》
*この記事は雑誌編集部に参加されている品川こころさんに書いて頂きました。
こんにちは。「働きかた探索オタク」こと品川こころです。
私は小学生の頃から「働くこと」について、人一倍つよい強~い興味を抱いております。ワークシェアリング、時短術、営業ノウハウ、デスクの片づけ術、タスク管理術、リーダー論、チームワーク術・・・働きかたについての指南書は数あれど。
今回読んだ本は、それらのノウハウを活かすための土台となる、非常に新しく柔軟な考え方を提示してくれています。
タイトルは「世界を変えるSHIEN学~力を引き出し合う働きかた~」
(舘岡康雄/株式会社フィルムアート社/2012年)。
著者とファッションモデル、起業家、編集者、病院の院長といった面々との対談も見どころですが、私がこの本が大好きな理由がもう1つ。
それは、友人関係や家族・恋人との関係にまで応用できるメソッド本だと思うからです。(後ほど4項目で考察します)
著者の舘岡さんは静岡大学大学院の教授。「SHIEN(しえん、と読みます)学」を提唱しワークショップや講演活動をされています。しかし元々は大手自動車メーカーN社のエンジニア。巨額の負債を抱えていたN社が行った改革、それは「上位6段にいる上司が権限を手放し、200名の社員に会社の未来を任せる」というものだったのです。ダイナミック!
ここに新しいマネジメント・リーダー像の答えがあるのですが、一体、「働きかたのシフトチェンジ」、「SHIENしあう働きかた」とは何なのでしょうか?(←世界ふしぎ発見のミステリーハンター風に)
更に、天分や外側のものに惑わされすぎない価値観の作り方、これからの幸せについても語られている大変奥深い本となっています。
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1.なぜ働きかたのシフトチェンジが必要なのか?
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そもそもなんで働きかたの改革が必要なのかについて考察します。
「働く」って一言には、たくさんの意味が含まれているなーと思うんです。たまに「傍(はた)を楽(らく)にする」と説明する人もいますよね。(うまい!座布団一枚!)
ではちょっとニュアンスを変えて「働きかた」はどうでしょう。「傍を楽にする手法」?うーんよくわからないぞ。なんだそれ!(ちーん)
しかし、この本を読みますと、「働きかた」これすなわち「人間関係の構築方法」であることが分かったのです。マネジメント手法そのものであると言い換えてもいいかもしれません。
働きかたのシフトチェンジの必要性はもはや国家課題。
少子高齢化、待機児童問題、うんぬん。規制緩和による競争市場のグローバル化、かんぬん…。
「働きかた」は、これらの解決に密接に関わってきます。マクロな課題は挙げればキリがありません。
しかしこのコラムでは、少し前まで女子大生だった24歳絶賛会社員!な私が、なぜ新しい働きかたにシフトしていく必要があると感じるのか、という視点で語ろうと思います。
下記は私が思う4つの課題点です。
◆今の日本人の働きかたには、女性のキャリア形成に無理がある
(だから安部政権もウーマノミクスを掲げて頑張っていますね…)
◆長時間労働のままでは、親を介護しながら働くことに困難がある
(団塊世代が被介護層に突入する大介護時代です。ちなみに私の母も障がいを抱えてますので、私自身近い将来介護する側の生活になるかも)
◆うつ病発症、自殺者があまりにも多いことが悲しい
(電車の人身事故、多すぎませんか…)
◆自分の職場について考察したい。問題があるとすれば、私はどう動いてゆけばいいのか考えたい。
(働き方探索オタクであるとともに、実践者でもありたいです)
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2.21世紀型の働き方は「お互いの力を引き出し合うこと」Win-Win-Win!
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本の内容に迫りたいと思います。(本当に素晴らしい本ですよー!感動で震えます。)
著者の舘岡氏は1979年から2008年まで大手自動車メーカーN社でエンジニアをしていました。21世紀にさしかかる頃には、N社は巨額の負債を抱えていました。なんと、毎日100万円返済しても5000年かかる額です。
そこでN社は働きかたをダイナミックに変革し、たった4年で返済してしまいました。働いていたメンバーを総入れ替えしたわけではありません。借金を作ったのも返したのも、ほぼ同じメンバーです。舘岡さんはその復活劇のメソッド確立に携わった方なのです。
では、どういう状態からどういう状態へ、働きかたを変革したのか?
めっちゃ、省略して説明してみますね。(頑張れ私!)
「リザルトパラダイムからプロセスパラダイムな働きかたに、変革した」。
「プロセスパラダイムを実現するには、SHIENという問題解決方法を用いた」。
むむ、まだ分かりづらいですね・・・
んーとですね。
リザルトパラダイムとは、結果を重視した価値観・枠組み・考え方です。
これまでは「計画を立てて粛々と遂行してさえいれば、それなりの成果が見込める。結果重視で管理型、トップダウン方式、『やらせる/やらされる』関係」というリザルトパラダイムな働きかたの時代。私的には、最近で言うと「半沢直樹」とか、沢尻エリカ主演「ファーストクラス」というドラマで出てくる職場がイメージです。
一方プロセスパラダイムとは、過程を重視した価値観・枠組み・考え方。
今は「過程を重視し相互に支援しあう。『してもらう/してあげる』関係」というプロセスパラダイムな働きかたが成果に繋がる時代なのだそう。既に完全にそういう時代というよりは、リザルトパラダイムからプロセスパラダイムへのシフト期間が今、ということだそうです。だから労働問題が噴出しているんだなと納得ですね。
私見ではありますが、㈱ワーク・ライフバランス代表の小室淑恵さんが出されている、チームワーク術やマネジメントについてのいくつかの著作(何冊もあります!Let’s go to 本屋さん!)はこれに当てはまるなと感じます。
で、SHIENという考え方はこのプロセスパラダイムを実現するうえで大変重要なわけです。
自分ができないこと、苦手なことを相手にしてもらう。それによって相手の力を引き出したり、逆に相手からも自分の力を引き出してもらったりする相乗効果を目的としています。
ちなみに「SHIEN」とローマ字表記なのは、互いに助け合うことで重なりのなかったところに重なりをつくり、「してもらう/してあげる」を交換するという問題解決方法そのものを表現したかったからだそうです。漢字の「支援」だと上下関係のイメージが残ってしまいますね。
このSHIENというあり方、私がイメージしたのは、「縦割行政ではなく横のつながりもある行政」。同じ課題に経産省も文科省も農林水産省も協力して取り組んじゃうよん!みたいな。企業内で言えば、喧嘩しがちな営業部と企画部が肩を組んでプロジェクト遂行しちゃうよん!みたいな。もちろん、個人間での関係性にも当てはまります。
Win-Loseの関係ではなくWin-Winの関係へ。チーム内で問題が起きたら、個人を糾弾するのではなく「もしかしたら自分がこの人をSHIENする量が足りなかったのかもしれない」という視点で解決する。そんな働く姿勢、なんです!ぶらぼー!
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3.SHIENし合うために必要なこと~自分を立ち上げる~
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「えー、とはいえ自分の会社、ぜんぜんリザパラ(リザルトパラダイムの略)だし!無理!」
というあなたでも大丈夫。リザパラな職場や上司を糾弾しても仕方ありません。
親切なことに、65ページにはその解決策も書かれております。
それはずばり、「質問し合う&褒める」!!!とってもシンプルです。
さらに、SHIENし合うためには他に最も重要なことがあります。
それは・・・・
「自分が立ち上がっている」ということです。
舘岡さん曰く、「その人が本当に自分に合ったことをして(=天分)、そのことによりキラキラと輝いている、そしてまわりにもよい影響を与えている」状態なのだとか。ほほう。
SHIENし合う関係だと、例えチームに「まだ自分が立ち上がっていない」人がいたとしても、立ち上がるように周りの人がその人に風を送るんだそうです。まさに「してあげる」!
私、この本を読んで、決意しました。「クリアなエネルギーのたっぷりつまった文章を書いていこう」って。天分を全うしたいから。
舘岡さん、ありがとうございます。(感謝よ届け!)
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4.SHIENは友人や家族・恋人との関係にも応用できる!
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その人らしくあることを支援する関係。
問題を相手のせいにするのではなく、互いの関係性やSHIENの量が適切だったか?という視点で解決しようとする姿勢。
大切な友達に対しても、揉めがちな家族との問題も、ぶつかり稽古が必要な恋愛も。
全ての人間関係に通ずる概念であり、新しい人づきあいの手法だと思うんです。
そして、なんといってもSHIENし合える社会の兆しを感じませんか?
1人1人が自分の天分を全うしようと、若い世代も一生懸命に生きているということを。
スターやずばぬけた能力のリーダーが現れるわけではないはず。
誰もがみんな天分を持っていて、それを発揮し合いながら社会がよくなっていく。
新しい時代の、私のイメージです。周りにはそんな友人がたくさんいるんです。
ちなみに、特別付録としてSHIEN学を体感するワークショップの方法もシェアされているので、必読です!
こころさん、今回もありがとうございました。次回の雑誌編集部は7月5日(土)、ウェブライティング講座です。ぜひご参加ください。(天狼院書店スタッフ石坂)
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