『300 帝国の進撃』人間の根源的な欲望「暴力とエロス」について《映画を観た記》
天狼院書店店主の三浦でございます。
もはや、時効だと思うので思い切って告白しますが、小学生時代、僕は罪悪感と緊張感を覚えながらも父親が机に隠していた週刊ポストを隠れて見ておりました。もちろん、ヌードのグラビア写真を観るためです。隠れて読むというその背徳感が、興奮を呼び、今では何も珍しくないヌード写真が宝物のように光り輝いて見えたものでした。
そう、僕はとてもとてもエロい少年でございました。
また、同じような背徳感を持って見始めたのが、実は、NHKの大河ドラマでした。
中でも空前のヒットとなり、世界の渡辺謙の出世作となった『独眼竜政宗』にハマりにハマりました。当時、僕は小学校2年生か3年生だったと思うのですが、何にハマったかと言えば、戦のシーンでした。幼いながらも戦争や人殺しは悪いことだというのは、どこかで聞いてて知っていて、なんでこんなに興奮するんだろうと幼いながらも背徳感を覚えつつ、手に汗握り、人取橋の戦いのシーンや摺上原の戦いのシーンを見つめていたのでした。
言うまでもなく、人間には根源的な欲望として、エロスが備わっております。
そして、おそらく、特に男性には戦闘本能が備わっている。
『独眼竜政宗』を観て興奮するのも、そういった根源的な欲望を激しく刺激するからだろうと思います。きっと『ワンス・アンド・フォーエバー』も『プライベートライアン』も『バンド・オブ・ブラザース』も『永遠の0』も『パール・ハーバー』もさらに言ってしまえば、『風の谷のナウシカ』や『紅の豚』も『スターシップ・トゥルーパーズ』も『スター・ウォーズ』も、ほとんどの人は「戦争は、やってはいけないよね、だからしっかり観よう」と思ってみてはいないはずです。そう思う反面、単に「面白い」から観ているのだろうと思います。
それは、やはり、人間の根源に備わっている戦闘本能を刺激するからだろうと思います。
もっと言ってしまえば、サッカーやアメフトも、そうでしょう。スパルタカスの時代から、格闘技もそうで、戦闘本能を肯定しないことには、これらの映画やスポーツはそもそも発展してこなかっただろうと思います。
それを踏まえた上で、ここからが本題でございます。
先日、映画『300帝国の進撃』を観てきたのですが、これが激的に良かった。
なんでこんなに面白かったのだろうと考えたのですが、やはり、人間が多かれ少なかれ背徳感をもって胸に抱く、エロスと戦闘本能(暴力)を真っ向から描いている作品だからだという結論に至りました。
実は、スパルタの王レオニダスが300の親衛隊と共に100万のペルシア帝国軍を迎え撃った「テルモピュライの戦い」を題材にした、前作『300』では、暴力が全面に出ていたのですが、エロスの要素はそれほど多くはありませんでした。神を牛耳る老人たちや裏切り者が王女を無理に犯す場面にそういった要素を見れなくもないのですが、今回ほどではありませんでした。
今回の『300帝国の進撃』では、敵が絶世の美女なのです。帝国一の剣技の使い手であり、最強の司令官である超絶セクシーな女性アルテミシアを演じたのは、エヴァ・グリーン。これが、実に良かった。完全に魅了されました。
考えても見れば、暴力とエロスが同居したヒロイン(敵だけれどもヒロインでもある)というキャラクターはこれまで正面から上手に描かれていなかったのではないでしょうか。
暴力の使い手として一流であり、悲劇的なエロスの歴史を持ち、さらに熱情的なエロスをありえない状況で発露してしまう。
また『300』の映像美と暴力&エロスをさらに追求した作品に、実際にローマ帝国であった剣奴の乱を題材にしたテレビドラマ『スパルタカス』があります。あれは、きっとR18のドラマだったからこそ成せたことで、あの暴力とエロスを、ロードショーように昇華させたのが、今回の『300帝国の進撃』だった。
つまり、この作品は単に『300』の続編なのではないのです。
完全に昇華され、洗練された新たなる作品だと言えます。
おそらく、僕はもう一度くらい映画館で観て、そして、DVDになったらまたひたすら観ることだろうと思います。
『300』
↓
『スパルタカス』全作
↓
『300帝国の進撃』
このループは、もはや、背徳の極み。欲望の極み。
小学時代の願望が、ここで完全に満たされることになります。
『300 帝国の進撃』、ぜひ、御覧ください。
そういえば、天狼院では今週、こんなイベントもございます。
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