メディアグランプリ

ひとり暮らしの料理ビギナーに贈る“レシピ解放宣言”


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:砂口智子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「うそでしょ……?」
ひとり暮らしの狭い部屋。ひとりきりなのに、思わず声が出てしまった。
 
目の前には“ドドメ色”になったオクラとカブの煮物がある。自分でつくったのにも関わらず、何故こんな色になったのか皆目見当がつかない。
 
3D CADの仕事を始めて早10年。就職を期に念願の一人暮らしを始めた私は、未だに料理が出来ない。
 
レシピを見て作ってはいる。しかし出来上がるのは、味の濃すぎる生姜焼き。汁だらけの肉そぼろ。市販のルーを使用したカレーを失敗した時には、さすがの私も頭を抱えた。私、料理向いてない。
 
労力と結果が釣り合わなくて、げっそりする。レシピ通りに作ったはずなのに何故? 料理の知識が無くて原因もさっぱり分からない。世の中の料理をしている人たちを心底尊敬する。皆さん魔法使いか何かですか?
 
ドドメ色の煮物を食べながら、思う。
 
「料理教室に行くしかないのか……」
 
あのキラキラ女子が集まるあの場所に? 思わず首を横に振る。ハードルが高い。可能なら、他の方法に頼りたい。
 
そんな折、休日の昼間の情報番組で、ある家事の本が紹介されていた。
 
『勝間式食事ハック』
 
経済評論家の勝間和代さんの出した本で、最新家電やネットスーパーを最大限活用し、食事を作る手間を最小限にするという、まさにライフハックな内容の本らしい。料理を機械に任せる……。え? めっちゃ良くない?
 
思わず買ってしまった。ぱらぱらとページめくる。番組で紹介されていた通り、最新家電でいかに美味しく食材が調理できるかが紹介されている。ふむふむ。
その中、ある項目が私の目に飛び込んできた。
 
味付けはすべて塩分0.6%の法則
 
「塩分0.6%……? 塩だけで味付けするの?」
 
人間が美味しいと感じる味は塩分0.6%らしく、食材と水分の総重量の0.6%の塩を加えると自然に美味しいものが出来るという法則らしい。
元はシェフの水島弘史氏が提唱したロジカルクッキングという調理法の一部なのだそう。食事ハックではレシピは使わず、この法則だけで味付けするようだ。
 
簡単すぎやしないか? 今までレシピを見ながら四苦八苦していたのは何だったんだろう?
 
やり方も簡単で、まず食材と水の重さをはかり、そこから総重量の0.6%の塩を計算して加えるだけらしい。塩だけでなく、醤油なら3.75%。味噌なら5%で応用可能とのこと。料理ベタの私でも、計るだけなら流石に出来る。早速やってみることにした。
 
とりあえず家にあった食材、玉ねぎともやしで“野菜炒め”を作ることにした。
玉ねぎを薄く切って、もやしと共にキッチンスケールで重さを計る。その重さから0.6%を計算する。野菜が100gだったので0.6gだ。思ったよりかなり少ない。
 
フライパンに油をひいて、食材と塩を入れて炒める。10分程で完成。おお、簡単! 簡単すぎて逆に不安。早速食べてみる。
 
ちょっと目を見開く。
「嘘! おいしい! しかもちゃんと具材の味がわかる!」
 
今まで私がレシピを見て作っていた野菜炒めは、中華だし(いわゆるウェイパー)に醤油やオイスターソースで味付けしたものだった。すべての具が均等に“中華だしと醤油”味。塩分が強すぎて素材の味なんて殆ど分かっていなかったことに、初めて気がついた。
 
それがこの塩分0.6%で野菜炒めをつくると、具材によって味が全然違う。正に味覚が復活した感覚。簡単なのにかなり美味しい。恐るべし塩分0.6%。
 
しかも、今まで私が作ってきた料理はいつも味が濃くて、白米が無いと美味しくなかった。それが塩分0.6%で料理するようになると、おかず単体で丁度いい塩分なので、白米いらず。おかげで自然と野菜の摂取量が増え、以前より健康的な食事が出来るようになった。
 
私は急に自由になった気がした。
今までレシピを探していた時間も不要。レシピが無いので、どんな具材を使ってもいい。量も自分が食べたい分だけ作ればいいので、食材を無駄に余らせることもない。料理の煩わしさが軒並み改善した、今では少し愉しみなくらいだ。
 
「今日の晩ごはんは何にしようかな」
 
少しワクワクしながら帰宅する。
私は今まで料理って有名なもの、例えば生姜焼きやハンバーグをつくるのが料理だと思っていた。でももしかしたら、それが堅苦しかったのかもしれない。
 
日本には、ハレとケという考え方がある。
ハレ(非日常)の日なら、手間と時間をかけて、メイクをし着飾る。
ケ(日常)の日は家ではすっぴん、ジャージでリラックスする。
 
それと同じで、料理も“ケの日”は味付けもシンプルで簡単に作れるものでいいのかもしれない。 卵とピーマンと玉ねぎを炒めたやつ。大根と鶏肉を出汁で煮たやつ。豚肉を焼いたやつ。料理名はないけど、塩分0.6%さえ守ればちゃんと美味しいものが出来るのだ。
 
塩分0.6%は、私たちをレシピからから解放し、世界を広げてくれる。
騙されたと思って、是非やってみて欲しい。
 
 
 
 
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2019-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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