「別れは会うの始め」なり。
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記事:したみあきこ(ライティング・ゼミ平日コース)
『会うは別れの始め』ということわざがある。
人と出会ったら別れが必ずくるという意味のようであるが、なんとも切ないような悲しいようなことわざである。
切ないような悲しいようなことわざであるが、出会ったら別れがやってくるのは確かである。
その別れは大きく分けて二つあると思う。
人は生まれた時から死に向かっているというように、死別という別れは確実にやってくる。
そしてもう一つ、その人とのご縁がなくなった為の別れである。
一つ目の別れである『死別』については、まだ私にははっきりとした考え、答えはでていない。
しかし、二つ目の別れについては、私なりの経験をもとに一つの乗り越え方を編み出した。
私も過去数回、苦しい別れを経験した。
泣いたり、眠れない時期があったりと、別れにつき物の経験を何度かした。
自分がたった一人ぼっちになってしまったような気がして、何をしても涙が出た。
その時は苦しくて悲しくて、一日を過ごすのが辛いだけの日々だった。
けれど私は、今わりと楽しく生きている。
なぜなら、そのような出会いがまたあったからだ。
と、ここでまた考えてしまうのが『会うは別れの始め』ということわざである。
どんなに良い出会いをしたとしても、また別れの苦しみがやってくるのだ。
そう考えると、そもそも出会わなければ良いのではないか? などという極論まで思ついてしまう。
実際、良い出会いをした時に、
――ああ、またこの人ともいずれ、別れる日がくるんだな。
と思った。
さらに、
――別れるための出会いなのではないか。
とも思った。
別れるための出会いとは、なんという拷問だろう。
しかしである。
出会いのケースにより、誰かと別れたから出会えたというご縁もある。
というか、かなりそのご縁は多い。
私は、ある人と喧嘩別れをした時、その辛い状況の時に支えてくれた人がいる。
その事がきっかけで、その人とご縁が深くなった。もしその別れがなければ、その人と深くお付き合いをするような出会いにはなっていなかったと思う。
そして夫との出会いがその最たるもののような気がする。
以前付き合っていた人、そしてその時に一緒に失った友人。これらの別れがあったからこそ、出会えたように思う。
これに関しては、あの時の私に「えらいぞ、よくぞ別れた」と言ってあげたいくらいだ。
それに、仲良くしていた友人と疎遠になって落ち込むときもあったが、その後に誰かしらと出会っている。
職場で新しく出会った人であったり、数十年会っていなかった子どもの頃の同級生であったり、友達の友達だったりと様々だ。
けれど、この出会いは仲良くしていた友人と疎遠になる、という『別れ』がなければ成り立たないものだった。
それは自分の行動の変化である。
今まで別れた相手と共有していた時間が、自分だけのものになってしまった。だからその時間を使って違う行動をとる。
その行動は、その後の出会いに大きく影響しているように思う。
一人でのんびりとカフェに行った、本屋に行った、図書館に行ったとする。それを人に話したり、SNSに投稿したりする。
これだけでも人との関わりに影響があるのだ。
その行動を聞いた人が、その人のお気に入りのカフェや本の話をしてくれたりするのだ。
SNSを見た人が「そういう行動が好きならこんなイベントありますよ」とお知らせをくれたりするのだ。
それがきっかけで、新たな友人や仲間ができることが何度もあった。
だから、私は出会いと別れについての考え方を変えてみた。
『会うは別れの始め』でもあるが、『別れは会うの始め』でもあるのだと。
そう考えると、かなりポジティブに物事をとらえることが出来るようになった。
たとえどんな別れが来ようとも、自分の行動次第で必ず出会いはある。
そもそも人が社会で生きていくうえで、誰とも出会わずに生きていられるわけがない。
人と別れて辛い日々を送っていたこともあった。
その時は、私は一人なんだと思いながら過ごしていた。
今の私が、その頃の私に言葉をかけるとすれば、
――別れたからこそ、その『一人』の時間を大切にして、一人の時にしかできない『一人』の行動をとってごらん。『一人』でいるからこそ、新たな出会いが出てくるよ。
と、アドバイスをする。
『別れは会うの始め』なのである。
そして最初に、まだ答えは出ていないと述べた『死別』だが、
私より先に大事な人が亡くなったら、いつかあの世でその人と会う時のために、この世のいろんなことを経験して土産話をたくさん作ろうと思っている。
そして、私が死ぬときは、
――ああ、あの世で待っていてくれるあの人に早く土産話をしてあげよう。
と、別れた人と『会う』のを楽しみに息を引き取ろうと思っている。
これもまた、あの世とこの世での『別れは会うの始め』なのかもしれない。
そう考えつつ、いつかくる別れを恐れず、『会う』ために、今を精一杯生きようと思う。
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