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「結婚できない男」が結婚できないのはどうしてか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:篁五郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「僕はね、結婚できないんじゃなくてしないんですよ!」
 
僕は、このセリフが大好きだ。これは10月から続編が放送されるドラマ「結婚できない男」の主人公・桑野信介が言ったセリフだ。桑野は誰からも評価される家を建てている一流の建築士。ルックスも良く、背も高い。しかし独身という男だ。
 
彼が今でも独身であるのは性格は頑固で偏屈。こだわりも強く、周りとこだわりが原因で揉めることもしょっちゅうだ。しかも、いつも余計一言を言ってしまい相手を傷つけてしまうというおまけ付き。年老いた母も「この人は結婚なんてできません」なんて言っている。そんな桑野の性格を表すエピソードとしてこんなシーンがある。
 
とある日曜日。急に桑野は、はとバスの「寅さんツアー」に申し込む。そこで会ったのは、桑野の主治医であり、密かに好意を寄せている早坂夏美だ。夏美は日曜日も患者さんの希望で仕事をしていたが急に「自宅に帰る」と言いだしたため時間ができたので利用したという。
 
はとバスではバスガイドさんが浅草にある風神雷神についてガイドをしていると桑野が
 
「ちょっと、違うな。当時は木造建築がほとんどだから火事で怖かったのは隣の家に燃え移ることだったんです。だから雨を降らす神様を大切にしたんですよ」
 
と一言入れてしまったのだ。ガイドさんは「勉強不足で申し訳ございません」と謝るもショックを受けている姿がありありと見て取れた。その後も帝釈天でガイドさんの案内を無視して桑野は他の観光客の前で当時の建築物についてガイドを始めてしまう。桑野のマニアックな知識に観光客は興味津々に耳を傾けて、ガイドさんの話を誰も聞いていない。最初の時点でガイドさんの雰囲気を察知した夏美が気を配って「ああ、あれですね?」など質問をして場を取り持つが、遂にガイドさんは泣き出してしまった。夏美は桑野に話を止めるように促し、
 
「泣かしてどうするんですか」
 
と説教をすると、桑野は
 
「えっ? 俺?」
 
と全く気づかない様子。呆れた夏美は
 
「あの人を無視してペラッペラッペラッペラ喋るからでしょう。新人みたいだし、少しは気を使いなさいよ」
 
というと桑野はうんざりといった表情で
 
「また説教か」
 
と返すと
 
「説教させているのはあなたでしょ」
 
と少々お怒りの様子。見かねたバスガイドさんが「いいんです。私が未熟だから」と場を収めようとしても二人の言い争いは止まらず、周りの人が止めようとしたら桑野がとんでもないことを言いだした。
 
「この人(夏美)ね、一人でバスに乗っていたんですよ! 楽しそうにお菓子をどっさりと買ってね」
 
言わなくてもいいことを大声で話し出す。夏美も負けずに
 
「自分だって一人のくせに!」
 
と返すと
 
「一人の意味が違う。僕はね、自己啓発の一環で乗ったんですよ。あなたは単に一人寂しく乗ったんでしょ」
 
こんな酷い言葉を浴びせてしまったのだ。これに夏美は涙を浮かべてしまい
 
「あなたといるとろくなことないんだから! 最低な休日! 仕事してれば良かった!」
 
と桑野に怒りの言葉をぶつけて立ち去ってしまう。さすがにまずいと思った桑野は後日、夏美に謝罪。しかも「あなたがどうしてもと言うなら」と前置きをして神宮花火大会の花火がよく見えるスポットを知っていると言って誘いをかけたのだ。
 
僕はこのエピソードが桑野の人柄を如実に表しているなと感じている。人と関わることが大好きで、話をするのが大好き。でも、関わり方がわからないから人に対してストレートな物言いをしてしまう。本来なら多感な時期に人と関わって、気配りややんわりとした物言いを自然と学ぶのだが、桑野はそうしたことを学ばなくてもいい環境にいたのか、学ばなかったのかそうした様子が見えないキャラクターだ。褒められたり、気配りをされたりすると嬉しいのにそれを素直に出すことができないまま40歳まできてしまった男が桑野なのだ。
 
40歳以上の未婚率は現在24%程度、45歳だと20%という結果が出ている。これからこの数字は上昇すると言われている。40代の男が結婚できない理由は「出会いの場が少ない生活環境」「清潔感がない」「上から目線」「外見がおじさん臭い」などいろいろと言われている。それはどれも当たりだろう。しかし、殆どが多かれ少なかれ桑野みたいなところがあるからではないだろうか?
 
つまり人、特に女性との関わり方がわからない。それを経験不足と言ってしまえばそれまでだが、経験しなくても今まで生きてこられたのだ。それを「結婚できない」から新たに経験しようと思っても中々やろうと思えない。年を取って新たな経験をしようと思っても足がすくんでしまうのがおじさんの属性の一つなのだ。中には違う人もいるが、自分の慣れ親しんだフィールドで生きていたいと無意識のうちに思ってしまう生き物なのだ。
 
だが、その殻を破るような出来事があれば40代のおじさんも新しい道に進むことができる。ちなみに「結婚できない男」の桑野は最終回で夏美から「私はあなたと(会話の)キャッチボールがしたい」という告白を受けて、殻を壊したかのように見えて終わりを迎えた。今回の続編では、恐らく以前よりも殻に閉じこもっている桑野が見られるのか? 再び殻は破れるのか? 楽しみだ。
 
 
 
 
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2019-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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