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Twitterのススメ


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寺松一寿(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「新規の顧客にこの商品を売って来て欲しい」
 
((+_+))
 
ビジネスではポーカーフェイスを信条としているが、この時ばかりは、思わず表情が表に出てしまった。
ライバル商品と比較しても何の特徴もなく、品質も平凡。
しかも値段は高いと来た。
悪い商品ではないが良い所も特に見つからない。
何もかもが普通。
まさに、営業マン泣かせの商品だった。
大人の事情が背後にあるとは言え、奇跡が起きなければ、早期に契約するのは困難に思われた。
 
セオリーであれば既存の顧客先から順に本商品を紹介していく。
なぜなら話を聞いてくれる可能性が高いからだ。
永年培ってきた信用と信頼が下地にあるから、相手方は警戒せずに話を聞いて頂ける。
 
しかし、今回の事案は、ご丁寧に、新規の顧客で、という条件までついてきた。
案件を因数分解する度に、悪い冗談のように思えてきた。
 
結局、妙案も見つからず、高度成長期の猛烈サラリーマンのように、新規の見込み顧客のところに、部署で手分けして訪問することにした。
 
簡単に行くはずのない案件だった。
 
しかし、である。
 
結論を先に言えば、僅か3日で本案件の契約が纏まった。
 
成功に導いたのは、Twitterの過去の投稿だった。
 

 
Twitterは、facebookやInstagramと並び、言わずと知れたSNSの代表格である。
140文字の短文(ツィート、呟き)をネット上に投稿して情報発信することが出来る。
また、トランプ大統領のように、世界中で情報発信をしている人をフォローすることで瞬時に情報を共有することが出来る。
他のSNSと異なり、原則オープンになっている。
故に、googleなどの検索エンジンで検索することが可能になっており、情報収集しやすい。
 

 
先方に話を聞くと、名刺から名前を検索して、過去の呟きを見て頂いていた。
何気ない過去のツィートの履歴が、新規の取引先との時空の歪みを補正してくれていた。
その結果、商談する上で、最低限の信用と信頼を醸造しれくれていた。
こちらがビックリする位、トントン拍子で話は進み、あっけなく契約に至った。
 
「あなたのTwitterの履歴を“たまたま”ネット上で拝見してね。しっかりとした考えを持つ人だと思えて購入を決めたんだ」
 
正直、私が一番驚いていた。
 
( ゚Д゚)
 
東日本大震災前後の、嘘の様なホントの話。
契約まで至ったのは、たまたま、かもしれない。
案内した商品が、たまたま、欠乏していたのかもしれない。
でも、相手方は、たまたま、私の事をネット上で検索したのであろうか。
絶対にそれは違う。
先方は、間違いなく、ネットで私の事を事前に調べて商談に臨んでいたはずだ。
過去の呟きが、たまたま、担当者の心の琴線に触れたのだろう。
 
オレは2010年からTwitterを始めた。
日本語でのサービスが利用できるようになったのは2008年4月。
アメリカで公開されたのも2006年なので、比較的早い段階からの利用者だった。
文章の訓練になると思って1日1ツィートを目標に地道に書き込んでいた。
2,000文字を毎日書け! と言われるとゲンナリするが、僅か140文字であれば、スナック菓子を摘まむ感覚で気軽に書ける。
そうやって呟いてきたツィートも気付けば2,000件を優に超えていた。
政治ネタからグルメネタまでジャンルは幅広い。
一貫性のない呟きだが、その1件1件の呟きには、紛れもなく私の思考の筋が通っている。
 
書棚を眺めると、その人の人となりが分かると言われる。
どんな本を読んで、どんな影響を受けて来たか、そこから類推できるからだ。
呟きの履歴は、内面のアウトプットそのものである。
とすれば、Twitterの履歴はネット上の書棚そのもののように思える。
人は頭で考えて文章を書く。
故に積み上げた文章を逆算すれば呟いた本人の頭の中を覗くことが出来るという理屈だ。
 
テクノロジーの進化は、世知辛い気もするが、福音にも聞こえる。
なぜなら、自分の思考の履歴を見て貰えるのなら、他人と理解し合えるのがより容易になるからだ。
 
一昔前から考えれば魔法の様な話だ。
 
ビジネスシーンに限って言えば、有名企業の看板が使えない中小企業やフリーランスであれば、当然、過去の自分の履歴を活用すべきだろう。
過去の自分の呟きが時には自らの援軍になってくれるのであれば、これほど有り難いことは無い。
 
基礎となる自らの人間性と文章力の訓練は求められるが、高度情報化社会を生き抜くには、Twitterは非常に強力な武器になり得る。
 
Twitterをまだ利用されていない方は、ぜひ利用されることをお勧めしたい。
 
 
 
 
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2019-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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