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メディアグランプリ

サナギになってダイエットを卒業した


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岡田ゆり子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あんたの趣味はダイエットだね」
 
生まれつき太りやすい体質だった私は、高校に入学した頃から、新しいダイエット情報を聞くとすぐに試していた。それを見ていた私の母はいつも私を誂った。
 
試したダイエットは数しれず。パイナップルダイエット、プーアール茶、炭水化物抜きダイエット、朝食抜きダイエット、などなど。
 
耳つぼダイエットのサロンにも通ったし、発汗を促すために食品用ラップを巻いてジョギングしたこともある。
 
これらのダイエット法は、一時的に痩せたとしても、普段の食事に戻すとリバウンドしてしまい、長い目でみると、私にとってはどれも効果がなかった。また、あるダイエットをすると、体にその耐性ができたかのように、同じダイエットは効かなくなった気がした。
 
二十代の後半、派手に失恋した私は、その鬱憤を食欲にぶつけた。その結果、体重は過去最高を記録した。これではまずいと思い、その後に行ったダイエットがカロリー制限だった。その頃、栄養や健康への知識がなく、カロリーさえ制限すれば痩せられると考えた私は、栄養のバランスを無視してカロリー制限をした。
 
さらに、運動してカロリーを消費しようと、会社の最寄り駅から二駅歩くことにした。休みの日はジムに通ってエアロビクスや、筋トレをし、プールで千キロ泳いでサウナで汗を流した。
 
しかし、カロリー制限も運動も努力は報われず、全く体重は減らなかった。水を飲んでも空気を吸うだけでも太ってしまうような感じだったから、普通の食事にも戻せずお手上げ状態だった。
 
約一ヶ月後にイギリスへの長期留学を控えていた私は、このままイギリスに行って脂っこい食事が続くと、とんでもなく太ってしまいそうで、さすがに本気で焦りだした。そんな時、目に入ったのが、当時通っていたジムに貼ってあったポスターのダイエットプログラム「バイオメトリクス」だった。
 
そのプログラムは、四週間決められた食事と運動で痩せるという内容だった。今まで何をやっても失敗ばかりの私が、王道とも言える食事と運動で痩せることができるのか疑問だった。だが、崖っぷちに立たされた私は、藁をもすがるつもりで、五万円ぐらいを支払ってそのダイエットプログラムに申し込んだ。
 
最初に専任のトレーナーからプログラムの概要や食事のメニューが書かれた大きなファイルを渡された。そこにはレシピの他にも痩せるための体のメカニズムなどが書かれていた。私はそれを食い入るように読んだ。
 
決められた朝食と夕食のメニューは、栄養のバランスが整っていてカロリーが計算されていた。そのレシピは料理初心者でも簡単に作ることができるように配慮されていて、バラエティに富み、薄味だが、美味しいものばかりだった。
 
運動は軽い筋トレが中心で、おもりは軽いものから始めて、少しづつ負荷を増やしていった。かなりストイックに運動していた私からすると、こんなに少しの運動で体に効くの? という感じだったが、トレーナーを信じて忠実に筋トレを行った。
 
食事と運動に加えて水を沢山飲んだ。最初は二リットルから始まった。それまで水でも太ると思っていた私は、水分も控えていたので、水を飲むことが苦しかった。だが、トレーナーのサポートもあり、それにも徐々に慣れていった。
 
いよいよ四週間が過ぎ、プログラム最終日、トレーナーと体重や体周りを計測した。
 
体重はダイエット開始前と比べて1キロ減だった。プログラム参加者の中で、おそらく最低の減量記録を更新したと思われた。資料には、六週間のプログラムの場合だが、「2.5から9キロの減量を期待できる」と書いてあったからだ。
 
私はひざを突きそうになった。自分なりに頑張ったが、結局、ほとんど変わらなかった。また私のダイエットは失敗だったのだ。ウエストは二センチ程減っていたが、ビフォー・アフターの写真もほぼ変化が見られなかった。トレーナーの方も、私にどう声をかけたらいいのかわからないようだった。
 
ただ、三食食べても太らなくなったことは進歩だと思うし、朝の目覚めが良くなって、疲れにくくなったことはよかった。だから気持ちを切り替えて、イギリスに旅立った。
 
一年半後、留学生活を終えて、久しぶりに自宅で体重計に乗った。私は自分の目を疑った。留学前の体重から六キロ減り、目標体重に達していたのだ。
 
留学期間中は体重計がなかったから、ダイエットはしなかった。ただ、あの四週間で覚えた野菜や炭水化物、タンパク質の量を思い出して自炊した。食べすぎには気をつけていたが、甘いものも適度に食べていた。運動はできる範囲でジョギングと筋トレをしていただけだった。
 
私はその時はっと気がついた。
 
四週間のダイエットプログラムの期間、私は蝶になる前のサナギだったのだと。
 
ダイエット期間の四週間は、外見的にも体重もほとんど変化が見られなかった。しかし、芋虫がサナギの中で大きく変化して蝶になるように、私の体内では様々なことが起こっていたのだ。
 
まず、筋トレで筋肉量が増え新陳代謝が上がった。また、偏食のために止まっていた生理が始まったのも、ホルモン分泌が正常化したためと言えるだろう。水分を取るようになって、頑固だった便秘も治った。
 
あのダイエット期間は、私の体にとって、不健康な状態から健康になることが先決だったのだ。その後、時間を掛けて脂肪が減り体重が減っていったのだと思う。体は自ら何をすべきかという優先順位を知っていたのだ。
 
「バイオメトリクス」のお陰で、私は太りやすい体質を卒業し、同時に健康を手に入れることができた。ダイエットは健康の延長線上にあるということもわかった。そして二十年近く経つ今も、ほぼ同じ体重を維持している。
 
将来、私の子供達が「ダイエットしたい」と言ったときは、私のように間違ったダイエットを繰り返さないように、私が彼らの専属トレーナーになってこの健康的なダイエット法を教えてあげたいと思う。
 
 
 
 
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2019-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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