健康ってHIP
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記事:水野雅浩(ライティング・ゼミ日曜コース)
「健康ってHIPですよね……」
パソコン画面の中にいる、30代半ばの男性がポツリとつぶやいた。
「ヒップ……ですか?」
私が会話についていけずに、困惑していると、男性が我に返ったように、「スミマセン、HIPってカッコいいって意味なんです。HIP HOPのヒップです」と、早口で解説をしてくれた。
東京の某大手出版社のメンズファッション雑誌の編集者とのオンラインのZOOMミーティングでのときのことだ。
私は、現在、健康マネジメスクールの代表として、企業、行政、大学などでビジネスマン向けに「仕事のパフォーマンスを上げる健康習慣」の講師をしている。主に、①食事 ②睡眠 ③運動 ④ストレスケアの活用法をテーマに企業でビジネスパーソンの生活習慣を整えるための研修講師をしている。
こういった仕事は、社員が健康で長く働ける職場づくりの一貫として健康経営が話題となっていることもあり、日経ビジネス、プレジデント、ビッグトゥモロウなど各種ビジネス雑誌から多数の取材を受けていた。
しかし、今回は、20代30代向けのファッション雑誌。
人前に立つ仕事なので、確かに、服装は清潔感があるものを選んでいた。それにしても、「なぜファッション誌から私に取材が?」というのが素直な疑問だった。私は福岡に住んでいることもあり、まずはオンラインミーティングをしましょう、となったわけだ。
パソコン画面の向こう側にいたのは、なるほどファッション雑誌を牽引するにふさわしい、スラッとした体格にスティーブ・ジョブズのように無駄のないスタイリッシュな感じの男性編集者だった。
今回の取材の主旨を聞くと、私にファッションの取材を求めていたことではないとのこと(そりゃそうだ)。最近の若者は、好きな服装を着こなすためにも健康にも敏感になっているので、健康をテーマとした特集を組みたいという主旨だった。
続けて話を聞くと、今の若者たちは「人生100年時代」を予めセットされてしまっている。その中で、気負うわけでもなく、自然と「健康的な心と体を持っていないと、この先やっていけない」ということが本能的に分かっているのだという。
多少のストレスがあろうと企業にしがみつくおじさん世代から
若者世代を見ると、
なぜ、あんなに忍耐力がないんだろう。
なぜ、あんなに企業へのコミットメントがないんだろう。
なぜ、あんなにカンタンに会社をやめてしまうのか。
と疑問に思うことだらけだ。
しかし、若者から見れば、「そんなに無理して、途中で体を壊してしまったらどうするの?ましてや、メンタルやられちゃったらお終いでしょ。先は長いんだし」
という訳だ。
こんな文脈の中で、若者たちは、「健康ってHIP」つまり、健康ってカッコいい。という価値観を持ち始めているという。健康を犠牲にしながら経済成長を追い求めた私達とは大違いだ。
時代は変わった。と思う。
私が20代の頃は、「健康に気をつけなさいよ」と母から言われたとしても、それは、一種、定型句のようなもので、私自身、実際に行動に移したことはなかった。腹が減れば、ラーメンに大盛りのライスを追加していたし、飲み物は砂糖たっぷりの清涼飲料水が当たり前だった。
しかし、今の20代は、高タンパク低脂質の鶏肉を選択し、低糖質の炭水化物を選択する。そして、その選択をする自分自身を、カッコいいと感じているのだ。彼らが語る「健康」という言葉に老人臭さもストイックさもまったくない。
私は日々40代50代のビジネスパーソンを対象に健康マネジメントの研修会を行っているためこの、20代30代の新しい価値観に唸り声を上げてしまった。
健康をHIPと捉えるのは、彼らの人生の生存戦略そのものなのだ。
私は若者の健康マネジメントの視点で、今回の取材を受けることにした。
健康の基本となる食事・睡眠・運動・ストレスケアに触れつつ、今回は、サプリメントの活用法についてもコメントをした。若者の間で、健康に気を使う気運は高まってきているものの、それでも身近なファーストフードや、インスタントフードに流されることもあるだろう。インスタ映えを追いかけて、糖質たっぷりのスイーツを食べることもあるだろう、体力が有り余っているからこそ、食事が疎かになることがあるのも否めない。食事を基本としつつ、サプリメントの活用戦略についてコメントさせて頂いた。
時代は変わった。
人生100年時代を踏まえ、若者たちは、健康をカッコいいと捉え、しなやかに自分たちの生活の中に取り込もうとしている。40代、50代のおじさん世代にとっては、自分の仕事のパフォーマンス維持であり、身内の介護が現実的になってくる時期だ。どうしても、「健康じゃないと」と肩に力が入ってしまう。
しかし、健康を仕事の延長のように努力すべきもの、頑張るものと捉えると、なかなかそれもしんどくなる。ここは一つ、健康ってカッコいいよね、とさらりと言ってのける若者たちを見習ってみよう。
そんな私たち、オジサン世代の取り組みを見て、若者たちも「ウチの上司、意外とHIP」なんて思ってくれるかもしれない。
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