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メディアグランプリ

舞妓パパラッチ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:青山真由美(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
祇園町南側という地名をご存知だろうか。
「一見さんお断り」の代名詞のようなお店、京都一力から南へ向かう花見小路通りあたりの場所を指すそうである。同じ祇園でも、四条通りを挟んで北側はネオン瞬く歓楽街であるが、南側は弁柄格子に簾・暖簾のあるしっとりとした上品な街並みがとても風情があり美しい。
お茶屋や料理屋が軒を連ねる祇園町南側を歩いていると、お座敷に向かう舞妓さんや芸妓さんをよく見かける。色鮮やかな着物に結い上げた髪、おしろいと紅のコントラスト、襟足の艶やかさ。また、おぼこを履いた舞妓さんが、こぽこぽと音をたてながら歩くことのなんともいえない可愛らしさ。そんな京都ならではのシーンが、そのまま祇園絵巻を観ているような気にさえしてくれるのが祇園町南側である。
 
ところが今の祇園町南側は、いつも外国人観光客であふれている。それはここだけに限らず、京都ではどこもかしこも同じような状況である。外国人観光客がゴロゴロとトランクを押しながら歩く姿、スマホの案内を片手にお目当ての場所を探す姿、そして添乗員に付き添われ、ぞろぞろと団体で移動する姿は、もう当たり前のことのように受け止められている。
長い歴史の中で、日本の中心であった京都には、歴史的文化遺産がたくさんある。そんな日本の文化に触れることが、外国人観光客には当然のことながら人気があるらしい。それを裏付けるかのように、京都の有名な寺社仏閣を訪れると、日本人よりも圧倒的に外国人の参拝客のほうが多いというのが現状である。
 
祇園町南側の花見小路どおりを南へと向かう石畳の道は、「一見さんお断り」のお店が並び、歩くほどにステイタスを感じる道であった。誰もが歩くことを許されないような特別な道だったようにも思う。その道が今では、外国人観光客のツアーの通り道となっている。旗をもった添乗員を先頭に歩くいくつもの団体のために、まっすぐ歩くことすらもできない状況である。時代の流れとはいえちょっと寂しさを感じてしまう。
「以前は、こんな街ではなかったのに……」と思いながらも、押し寄せる荒波のようにワイワイガヤガヤと軽装であるく集団を見ていると、本来の祇園は時代の流れとともに変化してしまい、どこか異国の地にある「祇園」という映画のセットのなかにいるような気にさえなってくる。
 
そして祇園町南側には今、さらなる異変が起こっている。それは、「舞妓パパラッチ」と呼ばれている。
夕方18:00前後の時間帯になると、祇園町南側の外国人観光客の数がさらに増えるようである。その人たちの中に、お座敷に向かう舞妓さんや芸妓さんの後を付けまわす「舞妓パパラッチ」と呼ばれる人たちがいるのである。
「舞妓パパラッチ」は、写真を撮るだけではなく、歩いている舞妓さん、芸妓さんを触ったり、お座敷の中をのぞいたり、お店のガラス戸越しに写真を撮ったりするそうである。そんな「舞妓パパラッチ」が横行しているせいもあるのか、舞妓さんや芸妓さんはそれらを避けるように足早に通り過ぎようとしているように見える。また、お店の真ん前までタクシーをつけるという光景がやたらと目についたのは、そのせいもあるのだろうか。通っているだけだった外国人観光客が、さらに進化し、舞妓さん、芸妓さんを追い掛け回すパパラッチになってしまったのである。
 
たまたまテレビでこの「舞妓パパラッチ」の報道を観たとき、まさに今の祇園町南側のありのままの姿を映しだしているように感じた。確かに夕暮れ時に一力の前に立っていると、一力の前で待ち伏せのように立っている外国人観光客を思っていた以上にたくさん見かけた。舞妓さんの姿が見えると一斉に駆け寄り、後を追いかけ、一緒に一力の中にまで入っていきそうな勢いであった。警備の方に制止させられ、入ることはできなかったが、やっていることはかなり強引なワイドショーのリポーターと同じであった。
外国人観光客が増え、京都の街が盛り上がり、観光収入が増えるのはよいことであるとは思うが、長い歴史のなかで育まれてきたお茶文化の象徴である舞妓さん、芸妓さんが、今はやりのご当地人気キャラクターのような扱いになってもよいものだろうかと思う。
 
「インスタ映え」という言葉が出はじめてから、今ではさまざまなところでこの言葉を耳にするようになった。外国人観光客だけではなく観光客のほとんどの人が、インスタ映えを狙って、ちょっとでも人とは違う写真、人に自慢できる写真を撮ろうと目標を探しているように見える。その姿はまるで、猟銃ではなくスマホを手に獲物を狙っているようにも感じられる。
確かに、舞妓さん・芸妓さんの写真を撮れば、京都を訪れたことへの最大の自慢になるであろう。これが寺社仏閣などの建造物であれば、その場に行けば必ず写真を撮ることができる。しかし、舞妓さん・芸妓さんの場合は、お座敷に呼ぶか、それとも歩いているところを偶然見つけなければ、写真を撮ることができないのである。それだけに、他のものよりはかなりレアな写真といってもよいであろう。そしてさらなるレアを追及して、ついにはパパラッチ化したというのが現状であろう。
 
祇園町南側の今のこの状況について、地元の方がインタビューに答えていた。
「祇園町が、チープな街になったような気がする」と。
たったこれだけのコメントの中に、現状を憂う気持ちが凝縮されているようであった。
 
「舞妓パパラッチ」、時代の流れというだけで済ませられる問題なのでしょうか。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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