言い訳~どうして私はコンビニに長時間いるはめになっていたのか~
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:石本琴美(ライティング・ゼミ日曜コース)
「あぁぁ~。この白玉クリームぜんざい美味しそー。生クリーム食べたいー」
デザートコーナーの前でたたずむ時間、約3分。
3分は結構長い。ウルトラマンが戦って、相手を倒して、シュワッチ、と帰っていけるだけの時間。よく考えるとウルトラマンってホントに3分しか戦ってないのだろうか……。そんなことで映画版の尺は持つのか。
ということはさておき、コンビニに行くと、そんな3分間が私には何度もおとずれていた。
アルコールコーナーの前で3分。お惣菜・弁当売り場の前で3分。
そうこうしてる間に、10分、15分。下手すると30分。あっという間に経っている。
「なんでや……」
なんで、こんなに私はコンビニに長時間居るんだ。これはあかん。もっとやることがあるはずや。
そう考えるようになり、ある日私はコンビニ内での自分の思考を考察してみることにした。
まず、だいたい入ってすぐ雑誌・書籍・漫画コーナー。
「集中して結果を出す習慣~その完璧主義、やめませんか?~」
「夢が叶う、魔法の手帖術!」
「手塚治虫アンソロジー」
なんてキャッチーなタイトルなんでしょう! と立ち止まる。
最近は立ち読みができないようになっているので、表紙とにらめっこする。
「わー。読みたいわーー。惹きつけられるわー」
「でも、あんた、この手の本めっちゃ持ってるやん、買って読めへんわけやん。同じような内容なわけやん」
「でも、この『失敗を恐れず行動する』、とか『精神的な余裕をつくる』とかさー、今の私に必要やん」と、悪魔と天使の自分が言い合いをする。
この間、傍からみると、雑誌を見つめてぼーっと立っている怪しい人なのだ。
そして、3分ほど経ったころに「あかん、このタイトルに騙されたらあかん」と我に返って、次は日用品のコーナーなどをちらちら見ながらお惣菜やお弁当のコーナーへ向かう。
「えーと、今日ごはんまだ食べてないよなー」
「え! でももう24時過ぎてるやないか! ガマンしよ」
比較的短時間で脱出できた。
アルコールコーナーが目に入る。
「シャワーのあと、ビール飲みたいよなー。今日仕事頑張ったし、ちょっと贅沢してエビスやな」これも比較的短時間で脱出。
「あ、おつまみどうしよ」
お惣菜のコーナーに戻る。
「野菜食べたいから、インゲンの胡麻和えか、あーエビとアボカドのサラダも魅力的やなー。そういえば、お土産にもらったすだちがいっぱいあるなぁ。サラダかって塩コショウとすだちとごま油かけて食べても美味しいよなー。わー! どないしょ」
「やっぱ〆に月見とろろそば食べよかな。明日休みやし。うーん」
休みがなんの関係があるのかよく分からないが、悩むこと約3分。結局インゲンの胡麻和えと袋に入った生野菜と、温泉卵をカゴに入れる。
そして、私の中の最大の難関。甘いものコーナー。
これが困ったことに、第一関門と第二関門がある。
第一関門はデザートコーナー。
「ひゃー! この白玉クリームぜんざいの生クリーム、魅力的過ぎるやろ。でも、300円! コスパはいいのか!?」
「ツインシューは100円やけど、カロリーが結構あるね。保留」
そして第二関門のアイスクリームコーナーへ。
私のお気に入りのチョコぎっしりのチョコミントアイスが売っている。
「あー、風呂あがりにチョコぎっしりチョコミントさいこー。やー、でも、昨日も食べたし、毎日チョコミント食べ過ぎやろ、となるとやっぱりツインシューなのか?」
「いや、でも大阪に帰るまであと2カ月やから、少しでも体重減らしたいよね」
そんなこんなで、最大の難関では3分越えの格闘をしていることが多い。
なんとまぁ、コンビニでこんなにたくさんの思考をめぐらせていることに、気が付いた。
ときに悪魔が勝ってしまい、2,000円、3,000円と何を買ったんや、という金額のレシートが財布やかばんの奥から出てくることがある、ということも思い出させてくれた。
「これってコンビニ症候群? 現代病?」 「私セルフコントロールできてないやん……」
ちょっと自分が怖くなった。
どうしてこんなに長時間滞在してしまうのか。考察をして、客観的に自分を見つめてみた私は、その日を境にコンビニに行く回数を減らした。
まず、実家から送られてきた米をちゃんと炊こう、毎日じゃなくていいから自炊しよう、と思った。
いきなりストイックに始めるのは続かないから、コンビニは週に2回、行っていい事にしよ、アイスは週に1回は食べてもよし、とルールを作った。
客観的に自分を見つめることを、心理学用語で「メタ認知」というらしい。
メタ認知能力は、自己を統制するために大切な能力らしい。
私は、自分を考察してみることで、自分が思っているより「ストレスが溜まっている」「メンタルが疲れている」といことに気が付いた。
欲望のままに行動することは、一時的な幸福感は得られていても、余計に自分自身をむしばんでいっている。
「なんで、私はコンビニに長時間いるんだろうか……」そんな疑問から始まった自己考察は、自分をコントロールして、自分の体と心をもっと大切に扱ってあげよう、という気にさせてくれた。
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