メディアグランプリ

世界地図に隠されたネガティブ思考の脱却法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岡田ゆり子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「目標を達成するために、何をするべきか具体的に考えて発表してください。
目標達成のための行動は、先週と比べて、できたかどうかが明確にわかるものにしてください」
 
「心と体のバランスの健康を目指して」という8週間のワークショップに参加した。これはその際に与えられた課題だった。
 
このワークショップはここ米国に住む日本人女性向けのプログラムだった。講師から学ぶのではなく、ピア・サポート形式で、進行役2人と健康を向上させるという目的を持つ参加者10名が週に1度集まり、週毎に変わる健康に関するテーマに沿って話し合った。また、参加者各自が健康を向上するために、体、心、精神の側面から目標を立てて、どうすればそれを達成できるのか考えて行動し、参加者の前で各自の1週間の成果を発表していくという流れだった。
 
私は心の健康というカテゴリーで、「ネガティブ思考をやめる」という目標を立てた。
 
私は「超」がつくネガティブ思考の持ち主だ。しかし、生まれた時からディフォルトでネガティブ思考だったわけではない。どちらかというと、子供時代は天真爛漫で、何でも楽観的に行動していたような気がする。だが成長するにつれて、前向きに考えていても思うようにいかず、落ち込むことが増えていった。その経験から、「最初からネガティブに考えて、結果が良ければその方が嬉しさが倍増で良いんじゃない?」という結論に至り、気が付いたときには、私の中でのネガティブ思考が体に染み付いてしまっていたように思う。
 
ネガティブ思考を変えるために、私が考えた行動計画は、
 
「1日で良かったことを5個リストアップする」
 
だった。良かった出来事を記録することで、人生悪いことばかりじゃないと気付きたいという考えでこの目標を設定した。
 
家に帰って、寝る前に一日を振り返ってみたが、良いことなんて何も思い出せなかった。「家族皆が健康で一日過ごせた」とは書けるが、具体的ではないし、まだ後4つも良い事をリストアップしないといけない。でも、良い事なんて日常生活でそう何個も起こらない。これじゃ目標達成は無理だ。別の行動計画の方が良かったのかもしれない。そう自問自答した。
 
その翌日、私は子供の健康診断のために子供を連れて小児科に向かった。病院の待合室にいる時、壁に貼ってあったあるものがふと目に留まった。
 
それは、どこにでもある世界地図だった。
 
思わず日本を探したが、いつもの場所にない。アメリカの世界地図は、大西洋を真ん中に、左側に南北のアメリカ大陸、右側にアフリカ大陸とヨーロッパ大陸がどかんと位置していて、日本は正に極東で右の隅っ子に押しやられていた。
 
「面白いな。どこで地球を切るかによって、こんなに見え方が違うのか」
 
そう思った。昔、オーストラリアに行ったときに見つけた世界地図も、北半球と南半球が逆転していて物珍しかったので、自分用に買って部屋に飾っていたことがあった。その地図ではオーストラリアが中央の上に逆転して位置し、他の全ての国も逆転していた。もう私の中でイメージする世界地図の原型は留めていなかった。さらに、目的に合わせていろいろな世界地図が存在することを、高校時代に地理の時間で学んだことを思い出した。
 
その時、それらの世界地図は、物事を見る時の向きや切り口を変えてみると、全く違うものになると私に気づかせてくれたのだ。
 
私はこの考え方を利用して、起こった物事から派生する事も含めて、いろいろな角度から考えてみることにした。
 
ちょうどその時、私の夫は失業中だった。私の超ネガティブ思考が待ってましたとばかりに発動していた。
 
「次の仕事が見つかるまでに貯金が底をついてしまって、家まで差抑えされたらどうしよう」
 
「次の仕事が決まらなかったらどうしよう」
 
と、まだ起こってもいない事に思いを巡らせて不安のスパイラルに陥っていた。でも夫の失業という事実を違う角度から考えてみた。
 
「夫はずっと長時間労働で疲れていたのだから、しばらく体を休めることができて良かった」
 
「夫は前職では忙しくて、子供と過ごす時間がなく、それがストレスだったみたいなので、今、時間に余裕ができて、子供と過ごす時間ができて良かった」
 
「夫に時間ができたので、子どもたちの放課後や休日のスポーツや習い事の送り迎えを頼めるので、私は自分の時間ができて良かった」
 
などだ。毎日繰り返し考えることで、良いこと探しが難なくできるようになっていった。良いことがリスト化されて増えていくと嬉しくなり、良かったことを見つけるのが楽しくなっていった。だから毎日続けることができた。
 
こうして、私の行動計画の良いことのリストアップは成功し、次のワークショップで皆の前で発表することができ、目標も達成することができたのだ。
 
ネガティブ思考を克服する方法は、色々な種類の世界地図の存在を知る事だと思う。どの場所を中央に持っていくかで、世界地図が全く別の物に変わってしまうように、同じ出来事でも、どこに焦点を当てるかで、そこから派生する発想は全く別の事になるということに気が付くことができるからだ。
 
もし、あなたがネガティブ思考を克服したいと思っているならば、身の回りに起こった事を様々な角度から考えて、良かったことを探し、そこに光を当ててみてほしい。あなたがネガティブ思考を発動させるときに使うその想像力を発揮すれば、あなたに起こることは決して悪いことばかりではなく、良いことも数多く起こっていることに気が付く事ができるだろう。
 
光をどこに当てるかは、あなた自身が決めることができるのだから。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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