メディアグランプリ

やりたいことをやらないのは「やりたくないから」だ


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記事:上園 剛史(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
新しいことを始める時、人はやらない理由を探すことが多いように思う。ああだこうだと理由をつけて最終的にそれをやらないという選択肢を取る。そういう人を見ると、ふと「その人の人生は本当に楽しいのか?」と僕は思ってしまう。
 
僕は某大手企業を一年足らずで退職した。その会社は給料は悪くはなかったし、休みも多く有給も取りやすかった。そういった条件だけで考えれば世間的に言う「ホワイト企業」というやつに当てはまる。そんな好条件を蹴った理由は単純に「仕事が楽しくなかったから」だ。
 
毎日ただひたすら同じ単純作業をこなし、成長している実感が得られなかった。自分の大学までにやってきた経験を一切活かせている気もしなかった。自分が何のために働いているのか分からない、そんな状況に耐えきれなかった。
 
別にその会社の仕事そのものを批判するつもりはない。そういう単純作業の方が性に合っているという人もいるだろうし、「仕事内容よりお金や休みの方が大事」という考え方の人もいるだろう。それはそれで幸せなことだ。
 
問題は僕と同じ悩みを抱えている人たちだ。その会社に勤めている頃から、会社の同期たちは仕事の愚痴をこぼしていた。その内容は「仕事が楽しくない」「もっと自分の成長に繋がるような仕事がしたい」そんなのがほとんどだった。
 
僕もそこに関しては同感だったし、同じ酒の席で同様の愚痴をこぼした記憶もある。ただ彼らと僕とで決定的に違ったものがある。それは「次への行動力」だ。
 
僕は人一倍、その会社に対する不満を抱くのが早かったため、働き始めて早々には転職することを決意していた。自分が何をしたいのかを探すのに手間取ったり、次の会社を選ぶのに手間取ったりで時間こそかかったが、決意自体はかなり早い段階で始まっていた。
 
決意してからはビジネス書もたくさん読んだし、転職サイトも毎日寝不足になるほど眺めた。学生時代にはほとんどやらなかった自己分析も、忙しい社会人になってからの方が数十倍頑張った。とにかく自分の人生を変えるのに必死だった。
 
そんな中、同じく会社の不満を言っていた同期たちはというと、何もしなかった。僕と同じように「転職してやる」みたいなことは言っていた。でもその言葉の前には必ず枕詞のように「いつかは」という言葉がくっついてくる。要するに「今はできないけど、いつかは転職したいよね」と言うのである。
 
ここで話を冒頭に戻そう。人は何かを行動に移すとき、何かに付けてやらない理由を探す。今話した会社の同期たちもそうだ。転職をしたいと強く思いつつもなかなか行動に移さない。「移せない」のではなく、「移さない」のである。それはなぜか? 要するにみんな怖いのだ。
 
みんなやりたいことをやった方が幸せになれると頭では分かっている。そりゃそうだ。だって現に今それをやってて楽しくないのだから。動けば少なくとも今よりは状態が改善されることなんて分かっている。それでも人は行動に移さない。
 
先程も言ったように、こうして行動に移さないのはみんな怖いからだ。人はなにか自分の身に変化が起きるとき、恐怖を感じる。もちろん、その変化で自分の身の回りが楽しくなることも想像はするだろう。そして一度は、その変化を受け入れる態勢にも入る。しかし、ここで人はそれにより起こる「不都合」の方も同時に考えてしまう。「その変化で自分にかかるデメリットは何か」そこまで想像してしまうのだ。結果的に「不都合」の印象が勝ってしまい、人は「やらないこと」を選ぶ。
 
会社の同期たちもそうだ。最初は転職したいと考える。転職して自分が華々しく第二の人生を歩み始める未来を考える。今よりもやりがいのある仕事、そこから得られる充実感、楽しい毎日を夢見て期待に胸を膨らませる。しかし、「転職した会社がブラックだったらどうしよう」「今より給料が下がっちゃう」などとマイナスなことも考え始めてしまう。最終的に「まあ、もうちょっとだけなら今の会社にいてもいいかな」と妥協してしまう。
 
結果的に今まで「やりたいこと」だったものは「やりたくないこと」に早変わりしてしまうのだ。今後起きるリスクを背負うくらいなら、今ほんの少し苦しいことを我慢すればいいだけだと、終いには今までやりたかったことを急に悪者扱いし始める。
 
しかし現実が変わるわけじゃない。何なら事態は悪化していると言っても過言ではない。現状維持したせいで今後動き出すことにさらなる心理的抵抗ができてしまっているからだ。
こういう時、僕は「準備不足で始める」ことを大切にしている。
 
多くの人は何か行動する時に、100%、少なくとも80%は準備が整っていて当然だと思っている。だから少しでもリスクがあると全く動かない。そもそも後先を考え出したらリスクなんて無数に出てくる。そのどれもが「やらない理由」になってしまう。
 
リスクの完全排除なんて土台無理な話だ。生きていれば何かしらのリスクは伴う、それを完全になくそうだなんておこがましい考え方だ。だったらやりたいと思ったらすぐに行動に移してしまえばいい。「やりたくないこと」に変わってしまう前に、「やりたいこと」をやってしまおう。
 
どうせ何をやったって大なり小なり問題は起きる。自分の興味が惹かれることを、思いのままに始めてみよう。何か問題が起きたらその時考えればいいのだ。人生、わりとなんとかなってしまうのだから。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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