お嬢様の私、執事の待つ邸宅に帰る。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:柴田和花子(ライティング・ゼミ特講)
「お帰りなさいませ、お嬢様」
普段は、世田谷で一人暮らしをしている私だが、今日は、久々に池袋の実家に帰ると、家の執事が扉を開けて出迎えてくれた。
「上着とお荷物をお預かりします」
と、促され、右手に持っていた鞄を渡して、上着を脱ぐと私の席に案内してくれる。
そう、ここは執事喫茶。お嬢様全員のご自宅だ。
友人が、同僚を連れて東京に遊びに来た。
友人の同僚は、李さんという、この春から日本で働く20代の中国の女の子。アニメが好きで、アニメを見て独学で日本語を勉強したそうで、今年、日本に来たばかりとは思えない語学力で、バリバリに日本語を使いこなして、見事な接客をしているらしい。
そんな訳で(おそらく、李さんの希望で)執事喫茶に行くことになったから、一緒に行かない? という打診をもらって、せっかくだからと、着いて行くことに。
人生初の執事喫茶。一人では、きっと行くことは無かっただろうけど、どんなモノなのか興味が募る。思い浮かべるイメージは「メイドカフェ」
コミュニケーション型のアトラクション的サービスがウリの業態かと思っていたら、そんな私の予想は覆される事になった。
荷物を預けると、お嬢様は、ご自宅のティーサロン(広い店内)に通される。
常時10名〜15名くらいの執事さんが、ホール もとい、ティーサロンに出ていて、テーブルに付くまでに、「お帰りなさいませ」と帰宅を歓迎してくれる。
(実際は、役割によって敬称が違うようだが、みなさん執事で統一。)
働いているのは、若い人ばかりかと思っていたが、20代くらい〜50代くらいの執事さんがいる。服装は、執事と言えばの燕尾服。あとは、とにかくみなさんいい声。ナイスボイス。
席まで案内され、椅子を引いてもらい座る。
張りのあるしっかりとした生地の椅子。天井には大きなシャンデリア。壁面にはティーカップなどが飾られたコレクションケース。予想と違い、しっかりと英国調につくり込まれた、重厚感のある空間に、テンションが上がってくる。
部屋を見渡しながら、メガネをかけて来なかった事を後悔していると、テーブルごとに専属でサービスをしてくれる執事さんが来て、メニューと一緒にハウスルールを説明される。
ルールを要約すると、
・昼のティータイムは80分(完全予約制)
・コース(セット)の注文の上、お好みによって単品を
・会計はテーブル会計
・携帯の使用禁止(撮影NG)
といった内容なのだが、これを「お嬢様のこの後のご予定は、乗馬のお約束があると伺っておりますので、14時頃、お声がけいたします」とか「シェフが、自慢の料理をお嬢様に楽しんでいただきたいと申しております」と、世界観を崩さずに、説明してくれるのが楽しい。
昼の時間帯のメニューは、デザートセット・パスタセット・アフターヌーンティーセットのどれか、といった感じで、どれもお茶がついて、予算感は¥3,500〜¥4,000 くらい。
お茶は、たくさん種類が用意されていて迷うけれど、大丈夫。料理に合わせたお茶はどれかと聞けば、丁寧におすすめしてくれる。
チェキで課金とか、指名したりとか、メイドさんにプレゼント。というようなシステムは無く、あくまで食事とお茶を楽しむ空間。
料理を待つ間に、改めて店内を見渡すと、都内の飲食店とは思えないほど、客席の間隔が広い。壁側の2名席もそれぞれ仕切があって、半個室のようなつくりになっている。1人で来店しているお客さんも多く、半数くらいが、お一人様といった感じ。
空間も人も贅沢に使っていて、すごいなーと、我が屋敷の財力に思いを馳せていると、料理が運ばれてくる。もちろん、誰がどの料理を頼んだかなんて、改めて説明する事もなく、それぞれが頼んだものをサーブしてくれる。お嬢様は談笑していればOKだ。
私が頼んだのは、アフターヌーンティーセット。ホテルのカフェとかである、一番下に、サンドウィッチとキッシュ、中段にスコーン、上段にケーキが乗っている。3段のプレートのアレだ。
華やかで美しい見た目に、思わず写真を撮りたくなるが、「食事中の携帯は、大旦那さまが、マナーに厳しい方ですので」と言われているので、無粋なマネはできない。網膜に焼き付ける。
お茶は、素敵なティーカップとポットでやってくる。ウエッジウッドや、マイセン、ジノリといった有名ブランドのカップも数多くあるそうで、ご帰宅回数に応じて、カップを選ぶ事もできるらしい。陶器好きには、たまらないサービスだ。
お茶を継ぎ足してもらうときは、テーブルのベルをチリンチリンと鳴らして、我が家の執事を呼ぶ。ここは、ご帰宅初心者の一番の緊張ポイントでもある。
そうこうして、この空間に慣れて来たころには、次の予定の乗馬のお時間が迫っている。「いってらっしゃいませ」と、送り出され、降りてきた階段を上がると、名残惜しいご自宅に別れを告げ、我々お嬢様たちは、現実に戻って行くのでありました。
執事喫茶、初めてでしたが、普通の飲食店でこのくらい付きっきりでサービスしてくれるお店に行こうと思うと、お値段的にも、メンタル的にも敷居が高いですが、明確な世界観が前提にあるので、気軽な気持ちでサービスを楽しめました。お客様として大事にされてる感じがとても良いです。1回飲み会に行くくらいのお値段で、この感じが味わえるのは、お得感もあるかも。居酒屋では、こんな感じにはなりません。笑
コスプレとか、ゴスロリとかビジュアル系のファッションが好きな人はもちろん、そういうのにあんまり興味がなくても、インテリアやサービスの本格感も含め、楽しむことができると思います。
気になるお嬢様は、一度、池袋の我が家を探してみてください。
平日でも全時間帯満席だったので、早めの予約をおすすめします!
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