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0歳から保育園に預けられる子どもは、可哀想なのか。


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記事:中根 瑶子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「まだ0歳なのに保育園に預けるなんて、可哀想ね~」
長男が生後9ヶ月だった頃、近所の顔見知りのおばさんからこう言われた。おばさんはきっと何気なく言ったのだと思う。
 
この時、長男は、生後10ヶ月で保育園に入園することが決まっていた。だから、話の流れでなんとなく、「来月から保育園なんですよ」と言っただけなのに。返ってきた予想外の言葉に、私は深く傷ついたのだった。
 
確かに、おばさんの言い分もわかる。だって世の中には「3歳児神話」なんて言葉もあるくらいだから。ご存知の通り、「3歳児神話」とは、子どもが3歳になるまでは母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと子どもの成長に悪影響を及ぼす、という考え方である。
 
一方で、私には働かなくてはいけない事情もあった。子どもに十分な教育を受けさせるためには、夫1人の収入じゃ心許ないし、もう1人くらい子どもが欲しい気持ちもあるし、大好きな海外旅行だって行きたいし。
 
とはいえ、0歳の子どもを保育園に預けてまで働くのは、私のエゴなのだろうか。おばさんの言葉に、私の気持ちがこんなにもざわついたのは、もしかして、心のどこかで私自身もそう思っているからなのではないのだろうか?
 
あれから5年が経ち、生後10ヶ月で保育園に入園した長男は現在6歳、保育園では年長になった。
そこで、「0歳で保育園に預けることは、果たして可哀想なのか」ということについて、今だから思うことを書いてみたいと思う。
 
保育園に預けてまず乗り越えるべき難関は、慣らし保育だ。保育園に入園して、初めて母親から長時間分離される子どもは、当然ながら、泣く。まるでこの世の終わりかのように大声で泣く我が子に、心が折れそうになりながら、保育士さんに子どもを託す。慣らし保育3日目、4日目ともなると、朝、自転車に乗せただけで泣くようになったりもする。
 
長男の場合、泣かずに保育園に行けるようになるまで、4ヶ月かかった。
その間、「我が子をこんなに泣かせてまで、私は仕事をしたいんだろうか」と本気で悩み、号泣している我が子を保育園に託して会社に向かう道中、ひっそり泣いたこともある。
突如残業することになって、いつもよりもお迎えが遅くなった時は、やりきれない気持ちを抱えながら、すっかり暗くなった道を、自転車でかっ飛ばしたこともある。
 
じゃあ我が子はやっぱり「可哀想」なのか?
親の私の心が折れそうになったことは何度もあるけれど、だからといって、「子どもが可哀想」とイコールにはならないはずだ。
 
「3歳児神話」では、母親が子どもに愛情をそそぐことが重要視されている。
 
確かに、母親の愛情って子どもにとって特別なのだとは思う。共働きの我が家の場合、子どもが生まれてからのスタンスは、家事も育児も夫婦平等。両実家は遠方で、滅多なことがない限りは頼ることはできないから、夫婦で分担しないと生活が回っていかない。
 
だから子どもたちは、パパのことが大好き! にも関わらず、体調が悪い時や、ここぞという時には何かと、「ママがいい~」となったりすることからも、母親の愛情が特別だということは、実感を持ってわかる。
 
とはいえ、母親の愛情がどれだけ特別だとしても、「一緒に過ごした時間の長さ=愛情の量」とは限らないはずだ。一緒に居られる時間が短いのなら、その時間をいかに密に過ごすかを考えたらいい。
 
私自身は、仕事をするのが大好き! 誤解を恐れずにいうと、1日中、子どもと一緒にいるのは正直キツイ。もちろん子どものことは心の底から愛しているけれど、離れている時間があることで程よい距離感が保てているからこそ、余計に子どもが愛おしくなって、一緒に過ごせる時間を大事にしようと思えるのも事実だ。
 
それに、子どもに注がれる愛情って、いろんな種類があっていいんじゃないだろうか。母親、父親はもちろんのこと、祖父母、親戚、近所の人たち……たくさんの人から愛されることだって、子どもの人格形成において大きなメリットになるのではないか。実際に息子は、保育園で、たくさんの保育士さんからたくさんの愛情を注いでもらって大きくなった
 
あれから5年経ち、あの頃よりは少しばかり経験値が上がった私は、こう思う。
「0歳で保育園に預けるのは、可哀想なんかじゃない」と。
 
結局は、「三歳児神話」を信じるかどうかも、「可哀想」と思うかどうかも、母親次第なのだ。子どもにどんなスタンスでどう関わるか。そこに確固たる愛情があるならば、誰がなんと言おうと関係なく、堂々とそのスタンスを貫き通せばいい。
 
現在6歳の長男は、こんなふうに話してくれる。
「保育園、楽しいよ! 先生もお友達もいるからね。僕は僕のお仕事(保育園)を頑張るから、ママはママのお仕事を頑張ってね!」
 
0歳から生粋の保育園育ちの彼は、自分のことを可哀想だなんて1ミリも思ってない。それが何よりの答えなんじゃないだろうか。
 
 
 
 
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2019-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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