メディアグランプリ

男と女の「仕事と生活」論


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:神保あゆ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あなたはいつも忙しいね」
LINEでメッセージが入った。
他人行儀なメッセージは、夫からだ。
ちょっとイヤミかな? LINEの画面からなんとなくそんな雰囲気を感じてしまった。
 
どことなくイヤミを感じさせるそのLINEメッセージは、夜に送られてきたものだ。
そのメッセージの直前に私が夫に送ったメッセージは
「ごめんね。ちょっと今からバタバタするから、返信は22時過ぎになると思う」
 
私と夫は同じ会社で働いており、なおかつ、夫は単身赴任をしている。
 
毎日お互い仕事が終わる夜に、仕事の相談や打ち合わせなどやりとりしているのだが、仕事が終わったといっても、私は忙しいのだ。
 
女の夜は忙しい。
夕食作り。
3人の子どもたちも、それぞれ帰宅時間がバラバラなので、夕食時間もバラバラだ。
料理していると宅配便も来るし、新聞屋さんも集金に来るし、回覧板も回ってくる。
私が在宅なのを待ってましたとばかりに、次々と来客が押し寄せる。
 
日中干していた洗濯物を取り込み、畳み、アイロンをあてる。
 
子どもたちそれぞれ運動部に入っているので、毎日のユニフォームの洗濯が多い。
「明日までに乾かして欲しい」
というリクエストもある。
極めつけは「日本拳法部」という特殊な部活に入っている高校生の末娘だ。
毎日毎日、汗で重くなった道着を持ち帰るので、帰宅後すぐに洗濯しなければならない。
放置していたらカビも生え、匂いもこびりつく。
 
こうして「名前のある家事」はもちろん、「名もなき家事」も山積みである。
しかも私は自宅でも仕事をしているので、本当に息つく暇もないのだ。
 
家事に追われながら、ふと夫のことを思う。
 
夜、仕事を終えて一人の部屋に帰宅する夫。
洗濯や身の回りの家事、パパッと食事も済ませても、おそらく。
おそらく20時頃には終わるだろう。
 
きっと仕事のこと、私に喋りたいこといっぱいあるだろうな。
子どもたちのことも考えたりしてるんだろうな。
 
かまってあげたいけれど、いかんせん、時間に追われている。
 
その状況で冒頭の
「あなたはいつも忙しいね」
だ。
 
以前の私なら
「いやいや、私の状況も考えておくれよ」
と、プンスカ怒ったかもしれないが、今は怒らなくなった。
 
Twitterである言葉を見つけてから、私は怒らなくなった。
 
「男は仕事の中に生活があり、女は生活の中に仕事がある」
 
ああ、まさに。
そうだ、そういうことなんだよ。
どっちが良い悪いじゃなくて、男と女はそういう仕様になっているのだ。
 
私は仕事の段取りと、冷蔵庫の中身と、子どもの予定が同列に並んでいる。
常に帰宅後の時間配分を考えているし、何なら月曜日の朝、起きる時間を1時間失敗すれば、1週間の予定がずれ込む恐れがある。
 
働くママたち、そんなこと、ない?
あるよね?
 
夫は
「最近は早く日が暮れるのでありがたい」
と言う。
よし、今日も一日終わるーっという気持ちになるそうだ。
 
私は逆。
日が早く暮れると焦る。
早く帰って料理しなきゃ。
洗濯しなきゃ。
あ、メールの返信もあったな。
明日のお弁当のおかず、仕込んでなかったな。
いつ寝よう?
何時に寝られる?
振り込みしてない!
ん? 長男晩ご飯要るのかな?
 
頭の中の引き出しが、同時にばーーーーーっとたくさん開いてしまう。
 
働くママたち。
そんなこと、ないですか?
冬の夕暮れ、焦るよね。
 
女は帰宅後も予定がぎっしりだから、焦るんだ。
 
なんかいつも女は雑用で忙しく、キャリアを極めたいと思う女性には不利なんじゃないかと感じていた。
 
でも今は少し見方が変わった。
男と女は、そもそも「仕事」と「生活」の捉え方が真逆なんだ。
そういう「生き物」なのだ。
そう思うと、とても「楽」になった。
 
夫からの「拗ね」とも「イヤミ」ともとれるLINEメッセージも、「ごめんね」と怒りもなくシンプルに申し訳ないなと思える。
 
それに、女性は生活の中の小さな事にこそ、喜びを感じられるようにできている。
庭の花がかわいく咲いた。
漬物がおいしく漬けられた。
仕込んでいたお味噌が食べ頃になった。
拭き掃除がささっとできた。
子どもがご飯を残さず食べた。
 
仕事でどれだけの成果を上げても、生活の中の小さな喜びを拾うだけの心のゆとりがないと、幸せを感じにくいように感じる。
 
それというのも「生活の中に仕事がある」と捉えているからであろう。
 
男性の喜びは言わずもがな、仕事での成果である(と思う。男性じゃないから本心はわからないけれど)。
だからこそ、どれだけ男前であろうが、自分が思う成果が仕事で出せないと、自身の存在意義をも疑ってしまうほどにしんどいのではなかろうか?
「仕事の中に生活がある」からだ。
 
「女ばっかり家のことして、損してる!」
と訴える女性もいらっしゃるが、ちょっと深呼吸してみよう。
生活の中の、目の前の小さな幸せを、見つけてみよう。
太古の昔から、男性が狩りに出かけ、女性は男性の帰りを待っていたのだ。
男性は「獲ること」に喜びを感じ、女性は家を守ることに喜びを感じていたのではないだろうか。
時代は変われど、身体に刻まれたDNAは変わらない。
であるなら、身体の仕組みに素直に、幸せを感じる生き方をすれば、喜びあふれる毎日になるはずである。
 
「男は仕事の中に生活があり、女は生活の中に仕事がある」
美味しい漬物が漬けられて、夫と仕事の話ができたら、9割方成功、幸せである。
土台が整うと、仕事も捗る。
捉え方一つで、幸せを見つけるのが上手になった。
毎日が喜びで溢れている。
 
 
 
 
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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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