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メディアグランプリ

一番の良薬は、「頑張る」ことを手放すことかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中根 瑶子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「笑いで病気を吹き飛ばそう」
 
こう提唱をしているのは、パッチ・アダムスというアメリカの医師だ。彼は、学生時代にいじめに遭い、自殺未遂と精神病院への入退院を繰り返していた。そこで出会った入院患者と触れ合う中で、笑いやユーモアが、体と心を癒やすことを知り、医師になることを決めたそうだ。
 
医師になった彼が目指した医療は、医学的な知識や薬による治療ではなく、「ユーモアによる治療」であった。実際、「笑う」ことで、細胞が活性化され、免疫力が高まることは、科学的にも証明されている。
 
私には、現在6歳になる息子がいる。彼は、生後3週間で乳児湿疹と診断された。その湿疹は1歳を迎えても治らないまま、診断名は「アトピー性皮膚炎」に変わった。
 
アトピー性皮膚炎とは、アレルギー疾患の1つだ。ダニ・ハウスダスト・食べ物など、その原因は様々で、まだメカニズムが解明されていない部分もある。症状としては、強いかゆみを伴う湿疹が、治まったり、また出たりを繰り返す。かきむしって悪化した皮膚に感染症が起こりやすいので、注意が必要だ。
 
だから、幼い息子の手にミトンをつけ、掻きむしりを防ぐことで、ジュクジュクした皮膚の状態が更に悪化するのを抑えていた。
 
そんな息子の様子を見るにつけ、この子がアトピーになったのは、私の食事が良くなかったせいなのでは? 妊娠中、ストレスを溜めて仕事をしたせいなのでは?
 
そう自分を責めてみては、「この子のアトピーを早く治してあげなくちゃ。そのためにどんな情報でもキャッチしなくては!」
 
そんな想いで、西洋医学のお医者さんはもちろん、東洋医学や漢方薬を処方してくれるお医者さんまで、息子に合う治療を探して、いろんな病院で診ていただいた。アトピーに関する本を読み漁り、夜な夜なネットで情報を収集しまくった。アトピーに良いとされる高価な保湿剤や、輸入もののサプリを取り入れてみたこともあったし、ちょっぴり怪しげな民間療法を試したこともあった。
 
多かれ少なかれ、どれも一旦は効果があるように思えるのだけど、また元の状態に戻ってしまうことを繰り返す日々。息子の皮膚の状態に一喜一憂するのに疲れ果てた頃、いつものようにネットでアトピー関連の情報を検索する中で出会ったのが、冒頭の医師、パッチ・アダムスの言葉であった。
 
笑いで病気を吹き飛ばす!
 
その言葉に、私はハッとしたのだ。なぜなら、いつも、しかめっ面をして、息子の皮膚の状態をチェックしていた自分に気づかされたからである。
 
アトピーを治そうと必死になるあまり、いつしか笑いなど忘れていた……。母親にしかめっ面を向けられる、息子の気持ちはどうだろう? 嬉しいわけがない。むしろ、悲しい気持ちになっていたのではないだろうか。何よりも大事な息子に、そんな気持ちを抱かせてしまっていたであろうことに、私は愕然としたのだった。
 
「~しなくては」という言葉は危険だ。
 
息子のアトピーを治さなくては。「治さなくては」と思うから、つい頑張りすぎてしまう。頑張りすぎてしまうから、「なんで治らないんだろう」と、思い通りにならない現実に、イライラしたり、落ち込んだりする。そして今度は、イライラしてしまった自分に自己嫌悪を抱き、ダメ出しをして、もっと頑張らなくては、と思う。
 
「頑張る」とは、「頑なに張る」と書く。
 
頑なに張りつめた状態を維持し続けることを、想像してみてほしい。
きっと息が詰まるのではないだろうか。
 
頑なに張り続けた先にあるのは、張りつめすぎてプチンと切れる未来。そんな未来など誰も望んでいないはずなのに。
 
ならば、いっそ「頑張る」ことを手放してみた方がいいのかもしれない。
 
そう思った私は、まずはパッチ・アダムスの提唱に従って、笑ってみることにトライした。最初は表情がこわばって、うまく笑えなかった。だから、無理やり口角を上げて笑顔を作ってみた。そうしているうちに、いつのまにか自然に笑えるようになって、ガチガチに強張っていた肩の力も抜けていった。
 
息子の体は驚くほどに正直だった。
 
私が笑顔でいられる時間が増えるにつれて、彼が生後3週間だった頃からずっと悩まされてきたアトピーの症状は、いつの間にか消えていったのである。
 
まさに、母である私の笑顔が、彼にとって、一番の良薬だったのだ。
 
自分が目にする世の中の出来事は、すべて自分への何らかのメッセージだと言われている。そう捉えるのならば、息子のアトピーは、私に何を伝えてくれていたのだろうか。
 
今、振り返ってみて、私はこう思う。
 
息子のアトピーは、つい頑張り過ぎてしまう私が、もっとリラックスして生きられるようにと、息子がくれたギフトだったのかもしれない、と。
 
頑張ることを手放せないままだったら、アトピーの症状そのものに囚われすぎて、その問題の奥にあるメッセージなど、考えもしなかった。
 
おかげさまで、私は今、「笑顔が素敵ですね」という言葉をいただけるくらい、心の底から笑えるようになった。肩の力を抜いてリラックスする術を知ったので、余裕を持てるようになり、とても生きやすくなった。
 
だから、もしもあなたが、何か問題に直面して解決策が見出せない時は、無理やりにでもいいから、まずは口角を上げて笑顔を作ってみてほしい。そして、肩の力を抜きながら、「問題の表面だけに囚われていないだろうか?」と自分に尋ねてみてほしい。そうすれば、その問題の奥に隠れた真の答えに気づくことができるかもしれないから。
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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