外見も中身も「書く道」を極める
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事 yuna(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
「『書く』ということは、なんて奥が深いのだろう」と痛感した。
その理由は、ライティングゼミに通い、文章を書くコツをたくさん聞いているから。
いや、違う。もっと何年も前、別の場所で、そう感じたことがある。
それは、5年前の書道教室だ。
社会人になってすぐの5年前、私は自分の特技をもちたくて、書道教室に通い始めた。なぜ書道を特技にしようとしたかというと、過去の小学校4年から中学校3年間にすでに習っていた経験があったからだ。
お正月の書き初め大会ではクラスで1等賞をもらえたり、検定試験では学童の部で六段を取得したり。
「それなりに書道はうまいほう」という自負があった。ただ、中学校卒業と同時に稽古を辞めて以来、筆を手にとることはほとんどなくなった。その8年後、ちょうど社会人になって何か履歴書にでも書けそうな特技がほしかったこともあり、「昔取った杵柄」を頼りに書道教室の門を叩いたのである。
教室で久しぶりに取り出した「お習字セット」
すずりや、文鎮、墨汁とかの、少し錆びた匂い。「8年間のブランクはあっても、書道の腕前は錆びついてない」と思っていた。大人になった分、手書き文字だって大人っぽく書けるのだから。筆でも綺麗に書ける。そう思いながら、まずは自分の名前を書いてみた。しかし、先生が書いた見本と自分の字を見比べると、文字のバランスや太さ、墨の滲み方がお手本とは似て非なるものだった。それは誰が見ても下手くそだった。自分の杵柄は錆びついて、バキバキに割れてしまっていた。
学生時代に習ったことは何だったか。必死で思い出そうとした。しかし、まったく思い出せない。
それもそのはずで、当時どのようにうまく書くようしていたかというと、正直なんとなくで、コツはあまり知らなかった。当時の先生は「のびやかにかけていますね」とか「力強く書けていますね」とかそういう自由さを求めていた。
だから、社会人になって先生が教えてくれた書道のテクニックは目から鱗だった。たとえば、横の線ひとつとっても「まっすぐに書けばよい」と思っていた。そうではなく、平行な線以外にも、カマボコみたいに曲線を描く線とか、真ん中がへこんでヒョウタンみたいになっている線など、数種類の形状の線を教えてくれた。
線の強弱についても、「力を入れるかいれないか」だと思っていた。力を込めて、ゆっくりと書くと線はもったりとして重い線になるし、力を入れず早く書くとスッキリとキレのある線になる。要は書くスピードも大事だ。
テクニックを教わると、お手本を見る意識も変わった。
文字を書く前にまずは、課されたお題の文字を1分間観察して分析する。
「この線は、序盤が細くて、真ん中でグっと力が入って、最後は流れるように抜ける」
「この文字のはらいは角がとがってない、丸いぞ」
文字をまるで顕微鏡をつかって高解像度で覗いているように、精密に捉えられるようになった。文字は、一画一画の線を積み重ねてできる。一線の長さ、太さ、角度、強弱を緻密にコントロールする必要がある。1画目のあとの2画目は、1画目に対した適切な位置や余白のとりかたも意識する。そうして一画一画が織りなしあいながら、美しい文字が形成されていくのだ。
こんな細かいこと、無意識に文字を書くときには一切意識していなかっただろう。新しい視点を獲得した私は、書道の奥深さにのめりこむようになっていった。
こうして私は、字のカタチの美しさ、そのデザイン性を追求する道を5年間にわたって突き詰めている。
もうこれで「書く道」は極めてきているのか?
いやいや、そうではない。今わたしは、ライティングというアプローチで、「書く道」を追求しようとしている。ライティングゼミでは、文章の書き方を習っている。文章においても、これまでの人生では「なんとなく」書いていた私であったが、上手に文章を書くための再現性のあるロジックを学んでいる。書道と同様に、文章の見方が変わり、良い文章がなぜ良い文章なのか、その秘訣を読み解けるようになってきた。
しかし、知識を得るだけでは、ライティングはできない。そもそも書きたいこと、伝えたいことがなければ、文章を表現することはできない。書道は、お手本の文字のカタチがあって、それを目指して書けばよいのだけれども、ライティングは違う。どう書こうかということ以前に、何を書こうかと頭を悩ませる。
つまり、見てくれよりも、中身が大事。それがライティングだ。
書くことの美しさが問われる書道、書くことの内容が問われるライティング
これから私は、外見と中身どちらからも、「書く道」を極めていきたいと思う。
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